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健康

《医師が解説する体力回復術》睡眠は7時間がベスト、入眠後90分がカギ! 食事はたんぱく質がとれる「ささみめかぶ」と「酢納豆」がおすすめ

 年を取るにつれて、眠ってもなかなか体力が回復しなくなり、体力の衰えを感じる場合がある。疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(アスコム)を上梓した、整形外科専門医の吉原潔さんによると、体力の回復と底上げには、やはり睡眠と食事が重要だという。シニアが上手に体力を回復するための睡眠と、底上げのための食事のポイントについて詳しく教えてもらった。

体力回復には睡眠が最重要

 吉原さんは「体力を回復するには、何を置いても『睡眠』しかありません」と話す。食事が取れない場合は点滴で栄養を補うこともできるが、眠らずに体を休めることはできないためだ。

 眠っている間、人の体は「回復モード」になり、「成長ホルモン」が分泌され、傷ついた筋肉や細胞の修復が行われる。成長ホルモンの分泌量がピークになるのは、入眠から約90分後の深い眠りのときだ。

「このときに、しっかりと成長ホルモンを分泌させることができれば、疲れた体を翌日まで持ち越さずに済むわけです」(吉原さん・以下同)

7時間前後の睡眠時間が理想的

 ベストな睡眠時間には個人差もあるが、多くの研究データからは、1日の睡眠時間が7時間前後の人が最も健康状態がよく、死亡率も低いということがわかっているそうだ。6時間未満や9時間以上となると、体と脳の動きが低下し始めるという。

「さらに、睡眠は腸をしっかり休ませる時間でもあります。体力を回復しようと、食事内容に気をつけているかもしれません。しかし、消化、吸収にはエネルギーを使います。ですから、食べることと同じくらい、腸を休めることも大切なのです」

睡眠の質を高める入浴法

 体力を効率的に回復させるためには、7時間前後の睡眠時間を確保しつつ、入眠後の90分を深く眠ることが大切。このとき、深く眠るために効果的なのが「入浴」だ。人は、内臓や脳など体の中心部の体温が下がったときに眠気を感じる性質があるが、入浴で体を温めると、その後放熱しながら自然と体温が下がっていく。

 睡眠の質を高めるための入浴では、お湯の温度は40℃、入浴時間は10分を吉原さんはすすめている。お湯が熱すぎると交感神経が刺激され、ぬるすぎると中心部の体温が上がりづらい。また、入浴時間も短すぎると体温が上がり切らず、長すぎるとのぼせたり、脱水状態になってしまったりというリスクがある。

「さらに、入浴するタイミングにも気を遣えば完璧です!湯船に浸かるベストタイミングは、布団に入る90分前。入浴で上がった深部体温は、約90分かけてゆるやかに下がっていきます。それにより、自然な眠気を感じた状態で眠ることができます」

体力の底上げには「たんぱく質」をしっかりとること

 体力の回復には睡眠が大切だが、底上げには食事も大切だ。特に、年を取るにつれて自然と食事量が減っている場合も多く、必要な栄養素が十分に取れないことで、筋肉量が減ってしまう可能性もある。そのため、まずはしっかりと食事量を維持し、栄養不足を避けていくことが大切だ。

「具体的には、五大栄養素、特にたんぱく質をしっかりとること。五大栄養素とは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル。当たり前のことですが、なかなかバランスよくとれていないのが現状です。そのなかでも特に、不足しがちな、たんぱく質を積極的にとるとよいでしょう」

たんぱく質を意識してとるべき理由

 シニアがたんぱく質を積極的にとるべきなのは、食欲の低下や噛む力の衰え、消化・吸収能力の低下などによって、たんぱく質を豊富に含む肉などを食べる量が減りやすいためだ。

 たんぱく質は、髪の毛や血液、内臓、筋肉など体のあらゆる組織の材料になるもので、不足すると新しい細胞を作れず、新陳代謝が滞り、体調の悪化につながる。また、免疫細胞の材料にもなるため、免疫力も低下する。

「もう1つ注意すべき点は、たんぱく質は、炭水化物や脂質とは異なり、貯蔵ができないのです。したがって、定期的に補充する必要があるのです」

おすすめは「ささみ」と「納豆」

 たんぱく質には肉や魚、卵などの動物性と、大豆製品などの植物性があり、理想は1対1の割合でとること。動物性たんぱく質を含む食品は脂質も多く含むことが多いが、「ささみ」であれば脂質が少なく、高カロリーになってしまう懸念は少ないため、吉原さんがすすめているのはささみだ。

 また、植物性たんぱく質では、吉原さんは「納豆」をすすめている。

「納豆は調理もお皿も必要なく、とにかく手軽でありながら、たんぱく質だけでなく、ビタミンや食物繊維も豊富な、栄養価にすぐれた発酵食品です」

「ささみめかぶ」と「酢納豆」の作り方

「ささみ」と「納豆」をもう一品として加える場合、「ささみめかぶ」と「酢納豆」がおすすめだ。

《ささみめかぶの材料》(1人分)
鶏ささみ…1本
めかぶ…1パック

《作り方》
【1】鶏ささみを5分程度ゆでる。電子レンジの場合は、耐熱皿に入れてラップをして、600Wで約3分加熱する。
※加熱時間は目安のため、中まで火が通っているかは必ず確認する
【2】鶏ささみが冷めたら手で裂いて、めかぶと和える。
※鶏ささみは包丁で薄く切っても良い
※味がついていないめかぶを使う場合は、めんつゆやぽん酢などをお好みで加える

《酢納豆の材料》(1人分)
納豆…1パック(約50g)
酢…大さじ1
※酢は醸造酢、米酢、黒酢、りんご酢などお好みで

《作り方》
【1】納豆に酢を入れる
※胃が弱い人は酢の量を減らす
【2】ふわふわになるまでしっかり混ぜる。味が足りなければ、付属のタレを足す。刻みオクラやちりめんじゃこなどを加えてもおいしい。

教えてくれた人

吉原潔さん/整形外科専門医

 よしはら・きよし。整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士、アレックス脊椎クリニック名誉院長、日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)など。

●自律神経調整のカギを握る「時計遺伝子」 正常に働かせるために“毎日やるべき”食事と習慣を解説

●「知の巨人」が語る“本物の教養”「教養を高めるには読書がもっとも効果的」「知識や情報を集めるだけでなく、人間関係の中でブラッシュアップする」

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