【老眼・白内障・緑内障・加齢黄斑変性】“加齢で増える目の病気”を防ぐ生活習慣 100才まで見える目を守る方法を医師が解説
「目」の機能を保つことは、健康寿命とQOL(生活の質)を大きく左右する。年齢を重ねても、適切なケアやトレーニングによって機能の維持・改善は十分可能だという。100才まで見える目を作るメソッドを病状別に医師が解説する。
教えてくれた人
室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト
平松類さん/二本松眼科病院副院長
“日常生活と密接に関わる”部位が健康長寿の鍵となる
健康診断や人間ドックでは血液検査やX線、心電図の結果など重病の予兆になりうる項目ばかり気にしがちだ。
しかし、健康寿命をより直接的に左右するのは“日常生活と密接に関わる”部位だと医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは言う。
「すなわち食べるための『歯』、見るための『目』、聞くための『耳』です。人間は1日のなかの大半をこの3つの機能を使って過ごしており、胃腸や腎臓などの臓器よりも機能低下がQOLに直結しやすい。できないことが増えることで精神的な豊かさや幸福感も失われやすくなります。歯、目、耳の機能維持や改善こそが健康長寿の柱だと言えます」
室井さんによれば、目の衰えは「別の病気」の重大リスクにつながることが世界各国の研究で明らかになっているという。
「米ペンシルベニア大学の研究グループは2025年9月、約4万7000人分の電子カルテデータを分析した結果、緑内障患者はアルツハイマー型認知症のリスクが60%増加していたと報告しています」(同前)
健康長寿の鍵となる歯、目、耳だが、機能を維持・改善する方法もまた多数あることが分かってきた。日常のなかでできる目の対策を見ていこう。
目の衰えは命にも関わる。転倒・事故・フレイルの原因にも
人が外部から得る情報の80%は視覚からだと言われている。それゆえ目の衰えは時に命の危険に直結する。
二本松眼科病院副院長の平松類医師が語る。
「視界不良によって転倒し骨折から寝たきりになるリスク、車の運転中に事故を起こしたり、歩行者として事故に遭うリスクもあります。目が見えにくくなることで外出の機会が減り、フレイル(虚弱)になる可能性も高まります」
100才まで見える目を維持するためには、年齢とともに罹患しやすい目の病気について、異変と兆候を正しく知り、予防と進行防止に繋がる習慣の実践が欠かせない。
平松医師が「甘くみてはいけない」と注意を促すのが老眼だ。
「老眼の原因は加齢によって目のレンズにあたる水晶体が硬くなることと、毛様体筋が衰えてピント調節機能が低下すること。より深刻な目の病気とも密接に関係しているので、“年だから”と言って見えにくいまま過ごすのは非常に危険です」(平松医師。以下「」内同)
書類の細かい字が読みづらい、手元のカレンダーの日付を間違える、などの異変が現われたら老眼のサインだという。
「老眼を防ぐ第一のポイントは、水晶体の厚みを調整する『毛様体筋』をゆるめること。スマホを長時間使用すると毛様体筋が凝り固まり、老眼が発症・進行しやすくなる。1時間以上スマホを見続けるのは避けましょう」
目の疲れを感じた時には、目を温めるのが効果的だ。濡らして絞ったタオルを電子レンジで40秒ほど加熱し、瞼の上に1~3分ほど当てると血流がよくなり、疲れをとると同時に毛様体筋をほぐすことができる。
鍛えるのではなく“ゆるめる”「毛様体筋ストレッチ」
さらに平松医師が推奨するのが「毛様体筋ストレッチ」だ。
「顔から約30cm離して持ったペンなどにピントを合わせて約10秒見る。次に6m以上、難しければ2m以上先の目標物にピントを合わせて約10秒見る。これを10回繰り返すのが1セットです。鍛えるのではなく“ゆるめる”イメージで毎日1セット行ないましょう」
もし「老眼かな」と感じたら、速やかに老眼鏡をつくることも肝要だという。
「老眼鏡を使わずに無理に手元を見続けていると、毛様体筋の緊張・収縮が続き、老眼にもマイナスになります。100円ショップなどでも売られていますが、眼鏡店できちんと自分の度数に合ったものを作ることが望ましい」
100才まで見える!平松式メソッド【老眼編】
<兆候>
●役所で書類の細かい字が読みづらかった。
●手元のカレンダーの日付を間違えた。
【メソッド1】1時間以上スマホを見ない
手元のスマホの画面を長時間見続けるということを繰り返すと、ピントを調節する毛様体筋が凝り固まり、老若男女問わず、老眼の発症・進行が早まる可能性がある。
【メソッド2】温タオルで目を温める
濡らして絞ったタオルを電子レンジで40秒ほど温めて、瞼の上に1~3分ほどあてる。血流がよくなることで、疲れ目だけではなく、凝り固まった毛様体筋がほぐされる。
【メソッド3】毛様体筋ストレッチをする
顔から約30センチ離したペンなどにピントを合わせて約10秒見て、それから2メートル以上先の目標物にピントを合わせて約10秒見る。これを10回繰り返す。
【メソッド4】速やかに老眼鏡を眼鏡店でつくる
老眼鏡を使わずに手元を見続けてピントを調節する毛様体筋を緊張・収縮させ続けて目を酷使すると老眼にもマイナスに。老眼鏡は度数が合うものを眼鏡店でつくる。
