疲れを取るには「体の疲労」と「心の疲労」をわけて考える 精神科医・和田秀樹さんが教える心と体の上手な休ませ方
しっかりと休むことは大切だが、ただ眠って体力を回復させるのではなく、心を休ませることが大切と話すのは、『体力がない人の仕事の戦略』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓した、精神科医の和田秀樹さん。精神科医の視点から、心と体を上手に休ませる方法について詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
和田秀樹さん/精神科医
わだ・ひでき。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。幸齢党党首。著書に『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)、『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(同)など。
「心を休ませる」という視点
体力を回復させるために休日を寝て過ごすと、休み明けにむしろ調子が出なくなるということがある。これは、体ではなく心が疲れており、心の疲れは睡眠だけではリカバリーできないためだという。
「体力のないビジネスパーソンが、休日に体力を回復させるためには『体の疲れ』と『心の疲れ』を分けて考えることが最初のステップです。これまでのように、体を休めているだけでは不十分です。心の疲れにも目を向けて、両面からリカバリーを図ることが有効な戦略となります」(和田さん・以下同)
体と心の疲れは分けて考える
体と心は、疲れているときのサインがそれぞれ違うため、自分の体調や気分をチェックし、体と心のどちらが疲れているのかを見極めることが大切だ。
《体の疲労サイン》
【1】倦怠感:体が重い、何をするのも億劫に感じる
【2】筋肉・関節の痛み:肩こり、腰痛、関節痛
【3】頭痛・めまい:頭が重い、ボーっとする、立ちくらみ
【4】消化器系の不調:食欲不振、便秘、下痢
《心の疲労サイン》
【1】集中力・思考力の低下:注意力が散漫、考えがまとまらない
【2】やる気の低下:意欲が湧かない、気分が沈みがち
【3】イライラ・不安感:ソワソワする、落ち込みやすい
【4】感情的になる:すぐに怒る、泣く、感情の起伏が激しい
「自分の体調や気分をチェックする際のポイントは、『いつもと違う微妙な変化』を見つけ出す…という意識を持つことです。普段から、あまり体調がよくないビジネスパーソンであっても、疲労が蓄積してくると、日ごろとは異なる変化が自分の体と心に起こっています」
体の疲労対策には健康三原則と入浴を
疲労サインをチェックして、体が疲れていた場合は、十分な睡眠や栄養のある食事をとるほか、軽い運動やストレッチをしたり、ゆっくりと湯船に浸かったりといった、健康の三原則である睡眠・食事・運動に入浴をプラスするのが効果的だ。
「いずれの項目も、普段から日常的にやっている生活習慣です。運動不足であれば近所を軽く散歩したり、シャワーだけの入浴を湯船に浸かるようにすれば、たったこれだけのことで体力の回復が図れるのです」
心の疲労には「楽しいと思えること」を
心が疲れている場合は、一般的には瞑想やヨガなどがいいと言われている。しかし、「精神科医としての私は、仕事のストレスや職場の人間関係などによって心が疲れている場合には、『自分が好きなこと』や『楽しいと思えること』をやるのが一番だと考えています」と和田さん。自分の好きなことに無心になって熱中する時間を持つことが心を癒してくれるのだという。
「自転車が趣味ならば、週末を使ってサイクリングの旅に出れば、新しい風景に出会うことで心を癒すことができます。ショッピングが好きならば、家族や友人と買い物に出かけるだけで心をリフレッシュすることができます。サイクリングやショッピングというのは、本来ならば疲れを伴う行動ですが、心が疲れている場合には、休日を寝て過ごすよりも疲れを取ることができるのです」
年齢を重ねるほど「意欲」が大事
年を重ねると体力と同時に「意欲」も衰えていきやすい。体力が衰えることで意欲がなくなる人もいれば、意欲が起こらなくなって体力が衰えてくる人もいるが、重要なのは、早い段階で自分に合った休み方を見つけ、体力を回復させる習慣を身につけたり、気力が衰えない工夫をマスターしておくことだ。
「体力と気力のどちらも大事ですが、あえて優先順位をつけるならば、意欲の維持を意識する必要があると考えています」と和田さん。自分が楽しいと思うことが何かわからない、という人は多いが、自分の楽しみを見つけられないと次第に無気力になっていく。今は趣味がないと思う場合は、学生時代にやっていたスポーツを再開したり、途中でやめてしまったことをもう一度挑戦してみたりするのでもいい。
「体力に自信がないビジネスパーソンにとっては、自分の好きなことに目を向けて、それを休日に思い切り楽しむことが自分の心を癒すことにつながり、将来的にも意欲の衰えを食い止める有効な戦略となるのです」
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