介護する人・される人にやさしい「ベッド周りの環境づくりと便利アイテム」【福祉用具専門相談員解説】
高齢者にとって「快適な眠り」の環境を整えることは健康長寿にかかせない。さらに介護が必要となり、だんだん体が弱ってくると「ベッド」で過ごす時間が長くなる。そこで在宅介護におけるベッド周辺の環境づくりのポイントについて福祉用具の専門家に伺った。
教えくれた人/山上智史さん
プロフィール/福祉用具専門相談員・山上智史(やまうえさとし)アップサポート代表
福祉用具貸与事務所・便利屋事業を行う「アップサポート」を起業し、代表を務める。ホームセンターでの勤務経験をいかし、便利な道具や100円グッズなども活用した生活環境を提案。住環境コーディネーター2級、介護福祉士、行動心理士などの資格もいかし、要介護者や介助者のために活動している。https://www.instagram.com/yamaue.satoshi/
高齢者や介護中の「ベッド」周りの環境作り
高齢者や介護が必要な人にとって「ベッド」周りの環境は、睡眠や生活の質にかかわる問題だ。どんなことに気をつければいいのか、福祉用具専門相談員として活躍する山上智史さんに話を伺った。
「介護を受けているかたが日中の多くの時間をベッドで過ごされる場合、心地よく過ごせるためのベッド周りの環境つくりは大切ですよね。介護を受けるかたの気持ちが明るくなるように心がけたいものです」
ベッドの周りにあると便利なもの
「ベッド生活になっても季節感や時の流れを感じてもらいたいので、横になっていても見える位置にカレンダーや時計を置いてあげてください。
季節や時間を意識することは認知症予防にも繋がります。カレンダーに『今日はヘルパーさんが来る日』といった予定を書き込んでおくことで、ご本人も認識しやすくなるのでおすすめです。
ご家族の写真やお孫さんが描いた絵、ご自身が作った作品なども飾っておくと温かみが感じられると思いますよ。
寝た状態で過ごすことが多くなっても、まだご自身でできることはあります。テレビを見たり、エアコンをリモコンで調整したり、そうしたことはご自身でできますので、リモコン類や携帯電話、充電器などは、カゴなどにまとめてベッドの脇につるすなどして、手が届く場所に置いておけるといいですね。
ティッシュの箱などもケースに入れてベッド脇にS字フックでぶらさげておくのがいいでしょう。ちょっとした収納グッズは、だいたい100円ショップで揃えられます。
あると便利なのが、トングやマジックハンド。ベッドの下に落ちた物を拾うときに使っているというかたもいらっしゃいます。ふらついてしまうことが心配なかたが、無理して頭を下げて落ちた物をとろうとすると、体を支えられずベッドから落下する恐れもあるので、こうしたアイテムをうまく活用してください」
介助者が動きやすい工夫を
次に考えたいのが、介助者が介護をしやすくするための工夫だという。
「おむつやおしりふきなど、普段、介護に必要なものはベッドの近くに置いて、取り出しやすい状態にしておきたいですよね。
ただし、介護用品は、できれば介護される人の目に入らない場所がいい。棚の位置を工夫するとか、布をかけて隠れるようにしておくとか、ご本人の気持ちがふさがないように配慮したいものですね」
ベッド周りに置かないほうがいいもの
一方で、ベッドの近くに置かない方がいい物もあるという。
「ベッドの上や枕元には物を置かないこと。リクライニングベッドの場合、ずれてきて頭にあたったり体に挟まったり、危険なことも。前述のように、手が届きやすい場所に引っかけるなど収納の工夫をしてみてください。
また、ベッドの下にスリッパを置いておくと、踏んですべったりつまづいてしまったり、事故に繋がるケースものあるので注意が必要です。
ベッドから立ち上がるときに手すりを使っている場合、手すりの近くには物を置かないようにしましょう。
おむつなどニオイの問題もありますので、ゴミ箱を置く場所もご本人にあまり近い位置にしないほうがいいですね」
ベッドで食事をするときの注意ポイント
「要介護度が進むと、ベッドの上で食事を摂ることもあります。食事は誰にとっても楽しみなひとときです。ベッドの背もたれを起こしても、背中とベッドの間に透き間ができてしまうかどうか確認し、背中にクッションを入れるなどちょっとの工夫で食べやすくなることもあります。
ベッドでの飲食をサポートするアイテムもあるので、ケアマネさんや福祉用具のプロに相談しながら、より良いアイテムを見つけてほしいと思います。
食事時に気をつけたいのが、腕や肘の重みによって、首に負荷がかかって嚥下(のみ込み)にも影響してくること。ベッドで食事をとる場合、“肘”をしっかり支えられる仕組みのテーブルがあると食べやすくなります。
また、マットレスは、頭を起こして座位で食事をしやすいかどうか、最近では、食事時のベッドのフィッティング(お試し)ができることもあるので、福祉用具専門相談員に相談してみてくださいね」
ベッド周りを快適にするアイテム3選
山上さんのお話をもとに、注目のアイテムをピックアップ。
“嚥下”をサポートするマットレス
『ここちあ結起Rise』(パラマウントベッド)
嚥下サポートをする「背上げ支援機能付き」の全自動エアマットレス。頭を起こして座位で食事がとりやすいのが特徴。マットレス内部のエアセル(空気が入った袋状の筒)で体圧を分散しながら、体重や体型を推測するセンサーにより、利用者ごとに適した硬さに自動調節してくれる。
【データ】
商品名:『ここちあ結起Rise』
メーカー:パラマウントベッド
価格:オープン価格
https://www.paramount.co.jp/series/2/2000196
足の底面をしっかり支える”フットレスト”
『笑(エミ)フットレスト』(シーホネンス)
ベッド上で食事をとるなどに、支えとなる足底をサポートするフットレスト。足底が安定することで、下腹部に力が入れやすくなり、体幹部が安定して姿勢が保ちやすい。なお、取り付け可能なベッドは同社製のみとなるので、ベッドと合わせて検討が必要。
「シーホネンスの介護ベッドや周辺アイテムは、食事などの生活シーンに向き合って考えられていると思います。ベッドで背上げをして食事をする際、足元にスペースがあると、だんだん姿勢が崩れてしまうことも。足元に雑誌やタオルケットなどを置いているかたもいらっしゃるんですが、不安定なんですよね。こうした専用のフットレストがあると安心ですね」
【データ】
商品名:『笑(エミ)フットレスト』
メーカー:シーホネンス
希望小売価格:7万4800円
介護保険: 適用
レンタル:可(特殊寝台付属品として介護保険レンタル対象)
レンタル価格:各事業所にお問い合わせください。
https://seahonence.co.jp/hp/positioning/EmiFootrest_characteristic.html
ベッドでの「食べやすさ」をサポート
『笑(エミ)テーブル』 (シーホネンス)
ベッドのサイドテーブル(別売)に取り付けて使うひじ置き。ベッドだけではなく車いすにも使用でき、ひじをつくことで姿勢を保ち、食事をしやすくする。姿勢が崩れないので、誤嚥予防にもつながる。
サイドテーブルなどに簡単に着脱できるひじ置き『笑テーブル』
【データ】
商品名:『笑(エミ)テーブル』
メーカー:シーホネンス
希望小売価格:2万1800円
介護保険:適用
レンタル:可(サイドテーブル『PT-7000F』もしくは『PT-7500F』シリーズとセットで介護保険レンタル対象)。
レンタル価格:各事業所にお問い合わせください。
https://seahonence.co.jp/hp/bed03/Emi_characteristic.htm
取材・文/本上夕貴
