「鍋ものは汁まで使い切る!鍋とリハビリのゴール地点」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第63話
山口県で慢性膵炎を抱える母と暮らす漫画家のうえだのぶさんは、栄養士の資格をいかし、母のためにヘルシーな食事作りに奮闘中。母は、肩の腱を痛めて新たにリハビリに通うことになり――。
肩を負傷した母、リハビリ開始
肩の腱(腱板)を痛めて「念願の」整形外科のリハビリを受けることになった母。この連載を振り返ってみると、2025年はほぼ「母の脚」ネタでした。
「謎の脚の不調」から始まって「整骨院」「整形外科」「整体院」を渡り歩き、「地域包括支援センター」に繋がって「リハビリ型デイサービス」に辿り着き…と盛りだくさん。
さらに、ここに来て突然始まった「理学療法士さんのリハビリ」。ネタが多いのは嬉しいのですが、読者の皆さんが消化しきれないんじゃないかと心配です(みんなついて来てねー!)
さて、そのリハビリですが、整骨や整体と違って「医療行為」だという事は知っています。でも何が違うのかはわかりません。なので私も興味津々で見学しました。
リハビリ室の様子は母が通っていた整骨院とあまり変わりません。電気治療の器械にウォーターベッドと、治療用のベッドが数台。
初日にまず驚いたのは「リハビリを受けられるのは診断日から150日間です」と言われたこと。整骨院も整体院も基本自分の意思で好きなだけ通えますよね。期限があるんだ、へえ~。で、母の肩の状態から「基本的に週2回」の通院に決まりました。
治療は、まず血圧を測って患部を温めてそれから肩をぐりぐりして…と、「これも整骨院と変わらないなあ」と言うのが正直な感想です。違うのは毎回、分度器みたいなので母の腕の上がる角度を測っていることくらいかな。
――と、思っていたのですが。
4回目のリハビリで、母が理学療法士さんから「私の手を握ってこちらに押してみてください」と言われたんです。こ、これは初めて見る景色だわ。整骨も整体も基本「受け身」ですもんね。
「身体をほぐす」からの次のステップがあるの?と思い、この日の終了後に「リハビリって母がどうなったらゴールなんですか?」と聞いてみました。
すると理学療法士さんがちょっと戸惑った表情になって(ん?なんで?私変なこと言った?)
「基本的にリハビリは、日常生活ができるようになることがゴールです。肩の可動域を広げて自分で動かすための筋肉をつけて…」
なるほど、「筋肉をつける」までがセットなんですね。あ、だから今通っているデイサービスは「リハビリ型」って付いてるんだ。なるほどです~。了解です~。
納得してうなずく私の横で理学療法士さんがおずおずと、
「あの…回復が早ければ予定よりも早く治療も終われますので。そうですよね、ご家族のかたも送り迎えが大変ですよね。すみません。」
え!? 待って待って!! 今の発言、クレームと思われた???
(妄想の私)『ねえ、ちょっとー、いったいいつまで通えばいいの?何がどうなったら治療終わるわけぇ?こっちも忙しいのよねぇ』
いやいやいやいや違いますんで~!! いくらでも機嫌よく通いますから何卒よろしくお願いいたしますう~~!! 日本語むずかしいね~~~!!
リハビリ後、今夜は「鍋」の残りを…
というわけで、リハビリが終わって、帰りは夜。寒い寒い。
家にあるのは昨日の「水炊き鍋」の残り(ほぼ汁だけ)。野菜を足してお味噌汁にして、鮭でも焼いて大根おろして、と思っていたけど、面倒なので今夜は簡単にすませます。
お鍋に冷凍うどんを2玉投入。油揚げ(1/2枚)を細く刻んで一緒にぐつぐつ。うどんが煮える間にネギと春菊を刻んでスタンバイ。卵を2個ボウルで溶いておきます。
うどんがやわらかく煮えたらおろし生姜を入れて、汁の味を調え(わが家はめんつゆ足し)水溶き片栗粉で全体にとろみをつけて、溶き卵を流し入れ、ネギと春菊を乗せたら火を止めてフタをして、1分蒸らして出来上がり♪
以前テレビの旅番組で見た「おろし生姜入りあんかけうどん」に心奪われて、冬になると我流で作っています。身体も温まるし消化もいいしでお気に入り、お鍋の残りも片付いて満足満足♪
ちなみに、このエッセイの本来のテーマである「慢性膵炎」は、ありがたいことにおとなしくしてくれています。今年6月の検査では「症状の変化なし、このまま経過観察」でした。そして今月、また検査を受けます。「これ以上ネタが増えませんように」と願う私です。
NO老いるMemo「うちの鍋ものアレンジメニュー」
わが家では鍋ものに限らず「料理&食材は食べきる」をモットーにしています(母は冷蔵庫にため込んだり買ったのを忘れたりする人なのでよくケンカになりますけど)。
「おでん」は、じゃがいもを入れておいて残りをカレーにしたり、具を全部刻んで出汁を入れて炊き込みごはんにしたりします。鶏鍋や寄せ鍋の残り汁は「おいしい出汁の出たスープ」。ちょっと具を足して、みそ汁やうどんに、スキムミルクでクリームシチューにアレンジ。カレーやシチューは水溶き片栗粉でとろみをつけます。
「食べ切る=エコ」はもちろんですが、市販のルーを使わないことで脂質もカットできます。NOオイルな食事をしている母にとっては「エコでヘルシー」2倍お得な食べ方です。
*参考「日本食品成分表2025(八訂)」医歯薬出版株式会社。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。
