「姪たちの深刻な悩みにどう対処したらいい?」妹家族との関わり方に悩む女性に「親切とお節介は紙一重だよ」と毒蝮三太夫が助言|「マムちゃんの毒入り相談室」第78回
自分になついてくれている大学生の姪っ子たち。時には「ママには言わないで」と深刻な悩みを話してくれることも。いろいろ心配だが、どこまで立ち入っていいのか、伯母である自分に何ができるのかわからず、もどかしい思いがふくらんでいく。マムシさんは「まあまあ、もう少し力を抜きなよ」と、こわばっている肩をもみほぐす。(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み:「仲良しの姪っ子たちとどう接すればいいのかわからない」
今年もあと一カ月になっちゃったよ。みなさんにとって、どんな一年だったかな。いいこともあれば、よくないこともあったかもしれない。今年の悩みも憂さも、今年のうちに晴らしたいと思っているあなたに、ピッタリのイベントがある。
題して「年忘れ! マムちゃんねるスペシャル!!」だ。12月23日(火)の夜は、横浜にぎわい座に集まってくれ! ゲストの篠田三郎や山田雅人や長峰由紀や柳田真宏といっしょに待ってるよ。電波には乗せられない「ここだけの話」がたくさん飛び出すはずだ。大笑いして、新年を気持ちよく迎えようじゃないか。
今回は、姪っ子との接し方に悩んでいる50歳の会社員の女性からの相談だ。
「妹家族のことで相談です。妹には、いま大学生の娘が二人います。私には子どもがいないので、妹の娘たちが我が子のようにかわいくて、いっしょに買い物に行ったり、食事したりする間柄です。
姪っ子たちも大きくなって、だんだん深刻な悩みも増えてきました。『ママには言わないで』と言って、私に打ち明けてくれる話にびっくりするようなこともあります。
私には親の気持ちがわからないのかもしれないと不安になりながらも、先日、妹にそれとなく娘たちのことでアドバイスをしたら、『もう娘も大人なんだからと』とあまり親身に聞いてくれませんでした。
自分はどういう立場で妹や姪たちに接するのがいいのか、わからないこの頃です。妹の子どもとはいえ、私は家族ではないので、余計な心配は無用なのでしょうか。何か自分にできることはないかと、もどかしい思いです。妹とも妹のダンナさんとも、とても仲良く付き合っています」
回答:「姪御さんたちの秘密は守ろう。あなたの胸にしまって、避難場所でいてあげて」
理想的な家族関係だね。素晴らしいよ。姪っ子たちにとっては、お母さんには言えないことを話せる伯母さんが身近にいて、伯母さんも姪っ子をかわいがってる。姪っ子の親である妹さん夫婦も、すごくありがたいと思ってるじゃないかな。
誰しも覚えがあるけど、若い頃は恋愛にせよ人生にせよ、いろんな悩みがあるよ。答えなんて出ないことがほとんどだ。だからこそ、誰かに聞いてほしい。同年代の友だちもいいけど、大人に聞いてもらえたらやっぱりうれしいよ。ただし、親以外の大人にね。
あなたにしてみたら心配になるかもしれないけど、聞いてあげるだけでいいんだ。悩み多き若者の「避難場所」になってあげるのが、あなたの役割だよ。妹さんにアドバイスしたらしいけど、それはやらなくていいことだったね。
具体的に悩みの中身を話したわけじゃなさそうだから、まあギリギリセーフかな。でも、自分が話したことが母親に伝わってると知ったら、姪っ子はどれだけショックを受けることか。あなたとの関係が壊れるのはもちろん、大人を信用しなくなっちゃうよ。
あっさり流した妹さんは、賢い人だね。娘とあなたのいい関係を壊しちゃいけないと思ったんだろう。娘を信用してるから、自分の知らない世界があってもいいと腹をくくっている。あなたが余計な情報を耳に入れるのは、ただのお節介だ。そりゃ、闇バイトに足を突っ込んでるとかロマンス詐欺に騙されてるなんて場合は、もちろん話が別だけどね。
あなたが親切心で妹にアドバイスしたのは、よくわかる。だけど、親切とお節介は紙一重なんだ。姪っ子に対しても、悩みを打ち明けられると、つい「こうしたほうがいいんじゃないの」と助言したくなるかもしれないけど、それもたいていお節介でしかない。
そもそも、自分の子どもじゃなくて妹の子どもなんだから、ベースのところで「どうでもいい」という気持ちを忘れないことが大事じゃないかな。ちょっと距離がある関係だから、姪っ子たちもあなたを慕ってくれて、あなたが大事な存在になっているんだと思う。
オレもいろんな人に相談を受けるけど、自分の胸の中にちゃんとしまっておくよ。共通の知り合いに「あいつから相談を受けた」なんてことも、絶対に言わない。カミさんもそういうタイプみたいだ。だからなのか、友だちや近所の人がやたら相談しに来てるよ。
今は、いろんな情報がすぐに大っぴらになって、秘密を持つのが難しい時代だ。だからこそ、「この人は秘密を守ってくれる」っていう信用や関係性が、なおさら大事になってるんじゃないかな。他人の秘密をポロっと漏らしていたら、その時は気持ちが楽になるかもしれないけど、周囲に「こいつはそういうヤツなのか」と思われちゃう。
姪っ子たちがあなたを信用して話してくれたことはグッと胸にしまって、これからも大事な避難場所でいてあげてくれ。たまには、あなたの恋の悩みを相談するのもいいかもね。ハハハ。
毒蝮さんに、あなたの悩みや困ったこと、相談したいことをお寄せください。
※今後の記事中で、毒蝮さんがご相談にズバリ!アドバイスします。なお、ご相談内容、すべてにお答えすることはできませんことを、予めご了承ください。
※以下の画像をクリックすると、「お悩み相談のフォーム」に遷移します。
毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『金曜ワイドラジオTOKYO 「えんがわ」』内で毎月最終金曜日の16時から放送中。89歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。2021年暮れには、自らが創作してラジオでも語り続けている童話『こなくてよかったサンタクロース』が、絵本になって発売された(絵・塚本やすし、ニコモ刊)。この連載をベースにしつつ新しい相談を多数加えた最新刊『70歳からの人生相談』(文春新書)が、幅広い世代に大きな反響を呼んでいる。
「年忘れ!マムちゃんねるスペシャル!!」は、2025年12月23日(火)19時開演(18:30開場)。場所は横浜にぎわい座・芸能ホール。入場料4000円(税込・全席指定)。チケットのお問い合わせは「カンフェティWEB販売ページ」http://confetti-web.com/@/mamuchan TEL:050-3092-0051(平日10:00~17:00)。
YouTubeの「マムちゃんねる【公式】」も、毎回多彩なゲストのとのぶっちゃけトークが大好評! 毎月1日、15日に新しい動画を配信中。
YouTube「マムちゃんねる【公式】」(https://www.youtube.com/channel/UCGbaeaUO1ve8ldOXX

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」「失礼な一言」など著書多数。新著『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中。この連載ではマムシさんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。