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暮らし

人気YouTuber服部美智子さん、67才の挑戦「夫婦で乗り越えた危機、友人に託した遺言」

 日々の暮らしを丁寧に描いたVlog(ブイログ)が幅広い世代から支持を得ているpokkama(ポッコマ)さんこと、服部美智子さん。時折、映像にも登場する夫と2人、穏やかでシンプルな暮らを送っているが、これまで多くの壁を乗り越えてきた。そしていま、新たに挑戦していることがあるという。【Vol.3/全3回】

pokkomaさん(服部美智子さん)67才/プロフィール

1958年徳島県生まれ、大阪育ち。3才年上の夫と二人暮らし。長男、次男、長女の3人の子供と5人の孫を持つ。日々の生活を丁寧に綴ったYoutubeチャンネル、Vlog『pokkoma life』が人気。著書に『60歳を過ぎてから見つける ちいさな暮らしの幸せヒント』(Gakken)がある。https://www.youtube.com/@pokkomalife

紆余曲折あった夫婦生活

――動画では、ご夫婦の穏やかな暮らしが垣間見られます。

 長い年月をかけて、お互いを思いやる気持ちになったんですよ。お互い年を取ったのだと思います。

 50代のとき、夫とは4年ほど別居生活をしていたことがあるんですよ。私は、母の闘病生活を、仕事をしながら支えてきたのですが、ちょうど同じ頃に義母が倒れてしまって…。働きながら母と義母の面倒も見て、なんで自分だけ?なんで?と相手を責めていました。モヤモヤした気持ちが抑えられず、母が亡くなった翌年にマンションを借りてひとり暮らしを始めたんです。自分だけがしんどい思いをしていると思い込み、相手を思いやる余裕も無かったんですね。

 4年ほどそんな状態が続いていたのですが、あるとき尿路結石で七転八倒する痛みに襲われて。救急車で搬送されたのですが、もうお産よりも痛い経験でした。

 搬送先の病院に夫が来てくれたのですが、そのときすごくホッとしたんですね。ああやっぱり夫という存在を頼りにしていたのだと。ひとり暮らしの不安や心細さを感じていたんですよね。

 ちょうどその頃、夫と暮らしていたマンションの水回りをリノベーションしなければならなくなり、再び一緒に暮らすことになりました。決してドラマチックな理由で元に戻った訳ではないんです。

 親も看取って義母の家じまいも経験し、子どもたちも独立していましたから、自分が暮らしやすい空間を作っていきたいと思うようになりました。

――暮らしをシンプルにしていく、ものを減らしていく生活が始まるのですね。

 そうですね。YouTubeを始めたのもそのタイミングです。ちょうど60才になる頃、体調を崩したこともあって仕事を辞めましたから。生活を見直すタイミングだったんだと思います。新たな場所で、物を減らして自分が好きなものだけを残していこうと。

 父親の会社が倒産してからは家を売却して一部を負債の返済に充て、新たなマンションを購入することにしたんです。以前住んでいたのは駅近の物件だったので、わりと好条件で売れたのは幸いでした。今は駅から遠くなりましたが、バス停が目の前にあるので、暮らしてみれば意外と便利なことに気がつきました。

――新たなマンションでの暮らしはいかがでしたか。

 それがまた色々ありまして…。当時夫は年金をもらいながら仕事も続けていたので、なんとかやりくりして生活をしていました。

 新たな家で、ようやく穏やかな暮らしが始まったと思ったら、夫が心不全で倒れてしまったんです。倒れたとき、心配してくれた長男から「もっと自分たちの近くに引っ越せば」と提案してくれて、ありがたかったのですが、それは断りました。ようやくたどりついた今の暮らしが心地よかったですし、今はまだ変えたくないと思ったんですね。

 発見が早かったこともあって、命は助かりました。定期的に通院はしていますが、後遺症もなく通常の生活ができていますが、夫が倒れてからは、老後の現実や不安をひしひしと感じました。貯金だってそう多いとは言えませんし、この先収入がなくなったらどうするんだろうと、保険の見直しもしましたし、老後のことを真剣に考えるようになりました。

――自身や夫に介護が必要になったときのことを考えていますか。

 ええ、切実ですよね。自分たちの身に何かあった時は、我が子でなく、介護のプロに面倒を見てもらいたいと考えています。介護が必要になったら、マンションを売却して、その資金で施設に入りたいと、子どもたちには話をしています。なるべく子供たちに迷惑をかけないように、家の中のものを減らすようにしています。ものが少なくなれば掃除が楽になりますからね。ものを減らすことで自分も楽になると思います。

67才からの挑戦「もう一度、働いてみよう」

――新たに保育園の先生を始められたそうですね。

 20代のときに新卒で幼稚園で4年間勤めていたのですが、67才にして、思いがけない変化が訪れました。春から保育士として仕事に復帰することになり、YouTubeの更新は少しお休みしています。

 同じマンションのかたが、保育所に勤めていたんですね。いつも野菜を買いに行くお店で立ち話をしていて、「保育士免許を持っている人を探しているんだけれど、誰かいない?」とたずねられ、昔幼稚園に勤めていたことを話したんです。

 子育てや親の看病が大変だった間は、幼稚園や保育所で働くことは考えた事がなかったんです。体力のいる仕事ですし、保育の現場から退いて40年あまり経っていたので、「67才だし、もう無理ですよ」って、一度はお断りしたのですが、『65才以上でも採用しているから、見学だけでも来たらどう?』と。初心に立ち返ると、私は子供が好きなんですね。心が動きました。

 保育園に正式に採用していただきました。そこは事業所内の小規模保育施設なんですが、最初は週2〜3回くらいと思っていたのですが、人手不足もあって、フルタイムで働く日もしばしば。

 60才を超えたかたがまだまだ元気に働かれていますし、自分もまだ頑張れそうだなと、元気をもらえます。私の職場は定年は70才で、75才まで嘱託で働くことができる。高齢者も働ける社会に確実に変わっているなと感じますね。

 そうそう、夫も病院が運営するデイサービスのドライバーとして新しい仕事を得て、頑張っているんですよ。夫はいま70才ですが、職場では自分が一番若くて、78才の人もまだまだ現役だそうです。夫とは色々ありましたけど、いまはお互い体を労り合い、思いやりながら、暮らしていく。そんな境地に至っていますね。

YouTubeの動画は「私の遺言」

――職場ではYouTubeのことは知られているのですか。

 ええ、バレてしまいました(笑い)。最近では保育園でもデジタルスキルが必要で、昔は紙だった連絡帳も、タブレットでのやり取りになって、お子さんの様子の映像もタブレットから送るんですよ。これには、動画制作のスキルが役に立っていると思います。どこで何が役立つかはわからないものですね。

 体力が許す限り、この仕事を続けたいですね。保育士として再就職した時に、YouTubeをやめるか悩んだんですが、やめる必要はないという結論に至りました。自分のペースで続けていけばいいのかなと。

――YouTubeは自分が亡くなっても後世に残りますよね。

 そうですね。YouTubeを始めたときちょうど孫ができたタイミングでした。孫たちが大きくなったら、おばあちゃんのチャンネルだって見てくれたらいいなと思っていました。

 自分の動画を残しておくことについては、友人に頼んでいることがあるんです。

 海外で暮らすYouTube仲間、10才年下の女性と時々オンラインでおしゃべりをしています。彼女には、もし自分に何かあったときは、私のYouTubeのことをお願いしているんです。私のチャンネルにログインして、管理できるように託してあります。そして、子ども達には彼女に託していることを伝えてあります。

 以前、YouTubeで、ある医師のかたが、がんになられてから、元気なときの動画を作って亡くなった後に公開されていたのを見たことがあって。

 私も自分に何かあった時の動画を制作しようと思っています。家族や親しい友人やお世話になったかたがたにお礼が云えられたらいいなと。堅苦しくない、私なりの遺言ですね。

写真提供/服部美智子さん 取材・文/廉屋友美乃

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