猫が母になつきません 第469話「はれる」
私のいきつけの歯医者さんは父と息子の二人の先生がいて、私の担当はお父さんの方でした。予約制ですが「急患の方はこの限りではありません」とホームページに書かれていたので診てもらえるか電話をすると「ちょうど明日ひとりキャンセルがでたので、担当の医師でなくてもよいなら」とうことで予約をしました。ちょうど週末で、このままの状態で来週まで持ち越すともっと腫れそうだなと思っていたのでラッキーだと喜びました。
その日は息子先生だけで診療していて、かなり忙しそうでした。私以外にも何人もの患者さんが治療用の椅子に寝かされています。先生が来る前に衛生士さんが患部をチェックして状態を先生に伝えていました。私のところに先生が来て「見せてください」と言ったので口を開けると息子先生は金属の道具で腫れている患部を乱暴にぐいっと押しました。激痛が走りました。それまで痛みはひどいというほどではなかったのにその瞬間からずきずきと激痛に変わりました。私の顔はその痛みでかなりゆがんだはずです。ホームページでは「痛みに配慮した治療」を謳っているのにぃ…(苦)。息子先生は「来てもらって悪いけど、まだ治療するとかいう段階ではないので、とにかくうがいをしてください」と言って次の患者さんのところに行ってしまいました。私は激痛をこらえながら衛生士さんに痛み止めをだしてくださいとお願いしました。次の予約は父先生で予約をいれたものの、それは12日も先でした。コンビニで冷たいミネラルウオーターを買ってずきずきする頬を冷やしながら帰りました。うがいで腫れはおさまらず、うがい薬の使い過ぎで喉がからからになっただけでした。
週が明けてすぐに診てくれる歯医者さんを探しました。幸い急患を受け入れてくれるところが見つかり、そこで治療してもらって無事に腫れはおさまりました。
お医者さんを選ぶというのはいつも悩ましいものです。情報過多の時代ですが、ネットの口コミなどを見てもすべての人がよいと思うというところはないので、結局行ってみなければわからない。いい病院だと思って通ってもずっといいとは限らない。父先生はもうご高齢なので診療する日も少なくなっているのだと思います。仕方ありません。さようなら父子先生、私は新しい病院に通います。昭和の人間なのでネットに悪い口コミを書いたりはしません。黙ってただ去るのみです。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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