セコムグループが手がける「安心」がテーマの介護付有料老人ホーム<前編>
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回紹介するのは、介護付有料老人ホーム「アライブ品川大井」だ。
アライブ品川大井
年を取ってからの住居に求めるものは人それぞれだが、「安心」を欲しない人はいないだろう。入居者本人はもちろん、その家族にとっての願いでもある。東京の品川区、大森貝塚遺跡庭園や鹿嶋神社から程近い「アライブ品川大井」は、入居者に安心を届けるために基本を忠実に守っている。それは介護サービスの提供に地道に15年間取り組み、品質を常に進化させていこうとする積み重ねだった。
受付で挨拶をすると、スタッフの方から早速、「手洗いとうがいをお願いします」と入り口にある手洗い場を案内された。入居者を守るための行動が自然に徹底されているのだ。アライブ品川大井は、次の4つのサポート体制を掲げている。
1:介護の質
2対1以上の手厚い人員体制。
2:リハビリテーション
理学療法士が個別に介護予防メニューを策定しチームで実施。回復期には個別リハビリを実施。
3:活力生活
ホーム専属のアクティビティコンシェルジュと介護予防運動指導員が連携した活力と楽しみのある暮らしの実現への取り組み。
4:医療
提携医療機関の「牧田総合病院」と近隣クリニックのホームかかりつけ医が連携して診療。
この4つのサポート体制をしっかり機能させているのが、アライブ品川大井のホーム長である里見総一郎さんである。社会福祉士でもあり、介護現場での経験も豊富だ。
入居者への声がけを徹底
「資格が仕事をするのではなく、人が仕事をしているのです。ご入居者の方とのコミュニケーションから、その方の変化、声とならない訴えなどに気付くことが重要です 」(里見さん 以下「」内は同)
里見さんにホームの中を案内してもらっている間に一番印象に残ったのは、入居者への声がけだ。
「声がけは大切にしています。過去の経験上、自分からは何も話さない方にも話したいことがあるものです。どこかに自分のことをちゃんと見てほしいという気持ちがあるものです。ケアが必要のない場面でも声がけは必須ですね」
静かに椅子に腰をかけていた入居者に里見さんが声をかけると、堰を切ったように話し始めた。話しかけられるのを待っていたかのように、体調のこと、日常のことを話すのだ。
「建物にも他のホームと違う特徴を持たせています。1階にメインダイニングがあり、全ての階のご入居者がお食事でのご利用の他、毎日のアクティビティにもお使いいただけるスペースです。たくさんの方が一堂に集い、触れ合うスペースを作っています。他者との触れ合いが、その方の社会性を維持することにつながると考えています」
また、アライブ品川大井独自の職種として「アクティビティコンシェルジュ」を配置している。介護予防運動指導員による運動指導と合わせ、4つのサポート体制のうちの一つである「活力生活」を実現する要の職種である。その活躍の場が1階のこの広々としたスペースだ。取材時にも介護予防プログラムが実施されており、それぞれの状態に合わせたペースで楽しんでいた。
全てのスタッフが全ての入居者を把握
介護離職が問題になって久しいが、スタッフが頻繁に変わってしまうと入居者の安心も損なわれてしまう。里見さんにスタッフのことも聞いてみた。
「この仕事ではコミュニケーション能力が必要となります。人と人との接点が仕事になっていくので、人に関心が持てないとこの仕事は続きません。ホームに関心を持たれている方は、建物や設備が気になると思いますが、見学時にはスタッフの声がけの様子や挨拶時の表情などを気にすると良いかと思います」
2015年2月に開設して以来、スタッフ間の情報共有には力を入れている。毎日朝晩に入居者の申し送りを行い、さらに隔週ごとに困難なケースを話し合う会議とケアリーダー層の会議を実施している。それを受けて毎月の全体会議を行っている。仕組み化された情報共有と課題改善の場が整っているのだ。アライブ品川大井は全てのスタッフが全ての入居者のことを知る仕組みにしており、それが自ずと入居者の安心感につながっている。
建物内部にもこだわりを持っている。「施設っぽさ」を少なくするためにお手洗いのマークを付けていないのもその一つだ。自宅のお手洗いにはマークを付けていないのだからという発想からの施策だ。
運営会社の株式会社アライブメディケアはセコムグループの一員だ。そのためセキュリティにも力を入れており、入居者の安全とスタッフの負担と不安を減らしたセキュリティシステムを導入している。また、持ち運びのできる非常通報システムも導入されており、不測の事態にも備えている。
まだ1年半の運営でも安定感があるのは、会社全体で介護サービスの提供をしてきた15年間で培ってきた目に見えない積み重ねであろう。施設は新しく清潔だが、入居者も多く、もう何年もそこにあったかのような安心感がある。
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次回後編ではさらに、アライブ品川大井がサービスの質を高めるために行っていることをお伝えしていく。安心を届けるためのこだわりが、まだまだそこにはある。
【データ】
施設名:アライブ品川大井
公式WEBサイト:http://www.alive-carehome.co.jp/home/shinagawa_oi/index.shtml
所在地:東京都品川区大井5-21-18
最寄駅:JR京浜東北線「大森」駅 徒歩10分
類型:介護付有料老人ホーム(一般型)
運営主体:株式会社アライブメディケア(セコムグループ)
敷地面積:1,221.67平米
延床面積:2,306.75平米
居室数:58室
定員数:58人
入居要件:入居時、要支援・要介護の方
構造:鉄筋コンクリート造 地上5階建て(1~4階がサービスフロア)
開設年月日:2015年2月
料金:1か2を選択
1 一括払い方式/入居一時金1,364万円~
(一括払い方式とは、支払いが1回限りのプラン。入居後退去した場合は所定の計算式にて返還)
2 年払い方式/入居一時金170万円~
(年払い方式とは、1年ごとに契約を更新するプラン。入居後退去した場合、所定の計算式にて返還)
※月々かかる費用/24.5万~28.1万円~(管理費および食費)+介護保険利用料の自己負担額
※その他の別途費用
・入居一時金に加えて、上乗せ介護費用の一括払い(月払い)あり
→標準コース/210万円(一括払い)、90歳以上コース/150万円(一括払い)、年払いコース/2.5万円(毎月払い)
・介護用品、その他日用品、消耗品、理美容費、居室の電話代、医療費等の個人に関わる費用
・当ホーム基準を超えるサービスおよび介護保険適用外のサービスに係る費用
撮影/津野貴生