Z世代が介護職に抱く印象は「体力・精神的にキツそう」「給与が良くなさそう」などマイナスイメージ。調査で判明した介護業界の課題
少子高齢化により需要が高まりつつも、慢性的な人手不足の状態にある介護業界。そんな現状を打開するためにはどんな対応が必要となるのか。18才~28才の「Z世代」を対象に行った介護職に対する意識調査から、浮き彫りになった介護業界の課題についてレポートする。
介護職に興味なしが過半数「Z世代の介護職に対する意識調査」
超高齢社会へ突入し、要支援・要介護状態の高齢者が増加するばかりの現代日本。介護職への需要はますます高まる一方で、慢性的な人手不足が続いているのが現状だ。
そこでシックスワンが運営する介護情報サイト『ケアワークス』は、過去・現在含め介護職未経験のZ世代(18才~28才)を対象に、介護職に対するイメージや意識についてのアンケート調査を実施。調査の結果浮き彫りとなった、介護業界の抱える課題をレポートする。
20代後半の社会人が大多数!回答者の属性は?
まずはこのアンケート調査への回答者の属性を明らかにしておくと、年齢については「24-26才」(43.5%)が最多となり、「27-28才」(31.5%)、「21-23才」(13.5%)、「18-20才」(11.5%)と続いた。
また、現在の職業について尋ねると、「社会人(正社員・契約社員・派遣・アルバイト等)」(61.5%)が最多となり、「現在は就労していない」(25.5%)、「学生(高校・大学・専門学校等含む)」(13.0%)と続く結果となった。
介護職への印象は「体力的・精神的にハードそう」が半数近くに
初めに、「介護の仕事について、どのような印象を持っていますか?」と尋ねた。その結果、最も多かったのは「体力的・精神的にハードそう」(47.5%)となり、次いで「給与や待遇があまり良くなさそう」(33.5%)といった回答となった。
消極的な回答が約6割を占める介護職への興味・関心
続く「介護職に少しでも興味を持ったことはありますか?」という質問に対しては、「あまり興味がない」(17.0%)、「全く興味がない」(42.0%)と、消極的な回答が59.0%と過半数を占めた。前向きな回答は「とても興味がある」(3.0%)、「やや興味がある」(11.0%)と14.0%に留まる結果に。
介護職に興味がないのは「体力的にきつそう」だから
次に、前問の回答を選択した理由をそれぞれ尋ねた。「介護職に興味なし」と回答した理由として最も多かったのは、「体力的にきつそうなイメージがあるから」で、全体の51.7%を占めた。次いで多かったのは「特に関心を持てなかったから」(41.5%)という回答となった。
また、「介護職に興味あり」と回答した理由として最も多かったのは、「家族の介護を身近に感じたことがあるから」で、42.9%と半数近くに上った。次いで多かったのは、「将来どこかで役に立ちそうなスキルだと思ったから」(39.3%)という回答となった。
介護職を「体験したくない」が半数超えの53.0%
続いて、「もし、条件が整えば介護の仕事を一度体験してみたいと思いますか?」と尋ねたところ、「あまり体験したくない」(17.0%)、「全く体験したくない」(36.0%)と、半数を超える53.0%の人が体験に消極的な結果となった。「ぜひ体験してみたい」(4.0%)、「やや体験してみたい」(14.5%)と、体験に前向きな回答は18.5%に留まった。
介護職への興味・関心を高めるために必要なこととは?
最後に、「介護の仕事が、より多くの人に『やってみたい』と思われるようになるには、どのようなことが必要だと思いますか?」という質問を行った。すると「給与や待遇がもっと良くなること」と回答した人が55.5%で最多となり、次いで「働きやすい職場(人間関係や職場環境)が整っていること」が44.5%という結果となった。
介護職の魅力を高めるためには、賃金面の向上とともに、職場の人間関係や環境整備といった働きやすさの向上が重要な要素と捉えられていることが窺える。
自由記述回答欄のZ世代のリアルな声を紹介!
また、「介護職に対して持っている印象」についての自由記述回答では、主に以下のような意見が多く寄せられた。
1.身体的・精神的負担に関する声
・「サービス残業が多く体力的にも精神的にも大変そう」(27才・社会人)
・「心の余裕が無くなっていって、同僚や先輩後輩にもキツく当たるような性格になってしまいそう」(28才・社会人)
・「セクハラとかパワハラにあいそう」(29才・社会人)
・「罵詈雑言などを浴びるつらい仕事、ミスをしたら患者と同僚に責められ、ストレスをかかえまたミスをする悪循環」(27才・社会人)
・「一日の仕事を通して気を遣うイメージが強く、少しでも忍耐力が重要になると感じます」(26才・社会人)
2.給与・待遇への懸念や改善要望
・「仕事内容に対して給与や社会保障等の面での待遇が悪いイメージがある」(28才・社会人)
・「低賃金で、残業時間も多そう。離職率も高そう」(19才・学生)
・「とにかくまずは待遇が良くなることが第一だと思います」(25才・社会人)
・「頑張っている方たちの待遇が良くなって欲しい」(24才・社会人)
3.社会的意義とやりがいへの評価
・「介護職は高齢化社会ではとても重要な仕事だと思う」(23才・無職)
・「これからますます高齢化が進みもっと必要となるので介護職の方の負担が軽減されることを期待します」(25才・社会人)
・「高齢社会を支える仕事」(25才・社会人)
・「精神的にも体力的にも大変だが、ないとこまる仕事」(25才・社会人)
以上のように、自由回答では、「介護職の社会的意義」や「やりがい」を評価する前向きな声もある一方で、「身体的・精神的な負担感」や、「待遇面への不安」を抱えている人が多いことが浮き彫りとなった。現場への理解促進と合わせて、働く環境や待遇面の改善が、関心を高めるうえで重要な要素であると考えられる。
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調査の結果、Z世代の多くが介護職に対する関心が低いことが窺える。その要因は、「身体的・精神的な負担への不安」や、「待遇面への懸念」が高いスコアとなっている。若い世代に介護職への興味・関心を持ってもらうためには、こうした職場環境や待遇の改善が特に必要だ。
人生100年時代となった今、介護職への需要は高まり続けていくことだろう。介護をする側もされる側も無理なく自分らしく暮らしていける環境が整っていく未来を期待したい。
【データ】
シックスワン
https://six1.jp/
ケアワークス
https://care-works.info/
Z世代の介護職に対する意識調査
https://care-works.info/news/aEoqzhMAAC0AhVY6
【調査概要】
調査対象:Z世代(18才~28才)の過去・現在含め介護職未経験の方
調査方法:選択式及び自由記述形式のアンケート
調査期間:2025年6月2日~6月3日
有効回答数:200件
※シックスワンの発表したプレスリリース(2025年6月12日)を元に記事を作成。
図表/シックスワン提供 構成・文/秋山莉菜