【将来の介護に関する意識調査レポート】不安なこと、具体的に知りたい情報とも1位は「介護にかかる費用」という結果に
加齢による衰えを感じたとき、ふと「将来の介護」についてが頭を過る人もいるだろう。いざという時のために、介護への準備や心構えは早いうちにしておきたいもの。「将来の介護に関する意識調査」のランキング結果を参考に、あなたも介護に対する不安や知りたい情報をはっきりさせてみてはいかがだろうか。
介護への備えは大丈夫?「将来の介護に関する意識調査」
親や自身が年齢を重ねて来ると、気になってくるのが介護問題だ。周囲に介護を経験した人が増えてきたり、帰省時に親の老いを実感したりすると、自分事として考え始める人も多いのではないだろうか。
そこでAlbaLinkが運営する「訳あり物件買取プロ」は、30代以上の男女500人を対象に「将来の介護に関する意識調査」を実施。そのランキング結果から、「将来の介護に対する不安」や「介護について知りたい情報」など多くの人が介護についてどんな悩みを持っているのかをレポートする。
家族や自分の介護に備えている人は約2割
最初の質問は、「家族や自分の介護に備えているか」。その結果、「充分備えている」「ある程度備えている」と回答した人は合わせて18.4%だった。
ただし50代以上になると、「備えている」と回答した人は27.5%と、全年代よりも10%近くアップする結果となった。年齢を重ねて親や自分の衰えを実感すると、準備をしようと考える人が増えることが窺える。
介護の不安対象は「自分の親」が7割超えで最多
続いて「誰の介護について不安があるか」という問いには、「自分の親」と答えた人が73.6%で圧倒的多数を占めた。自分の介護について強く心配している人の中には、独身だったり既に親が亡くなっている人もいるようだ。
なお男女別で見ると、「配偶者の親」と回答した人の割合が大きく異なり、女性の方が「配偶者の親」の介護を心配している傾向にある結果となった。また、女性が挙げた「介護が心配な対象」は1人あたり平均1.39個なのに対し、男性は平均1.18個。つまり女性は「心配する範囲」が広いことも判明した。
将来の介護に対する不安1位は「介護にかかる費用」
次に「将来の介護について具体的に何が不安か」を尋ねた。すると「介護にかかる費用(58.8%)」が圧倒的1位という結果に。2位には「仕事との両立(14.0%)」が続き、「金銭面」と「今の生活との両立」についての不安が多く寄せられた。仕事をしながら、あるいは遠方からの介護となると、仕事や生活に大きな影響が出ることが予想され、仕事に影響が出ると金銭面での不安も大きくなるのだろう。
なお「介護スキル」「体力」「精神的負担」「バリアフリー」といった回答から、在宅介護を念頭に置いている人が多いことも窺える。
<1位 介護にかかる費用>
公的な介護サービスを利用する際に使うことのできる介護保険。とはいえ全額無料になるわけではなく、また介護用品や介護用リフォームなどにも費用がかかり、介護が必要な状態で長生きするほど、介護関連のコストは積み重なっていくものだ。
また要介護になることを見越して「介護付きの賃貸物件」「シニア向けマンション」などに住み替えする場合にも費用がかかる。そのため「本人の年金で賄えるのか」「子供世代が援助する場合、いくらくらい必要なのか」などを心配している人も多くなった。
<2位 仕事との両立>
「介護離職」という言葉があるように、介護と仕事の両立に苦しみ、仕事を辞めたり転職したりする人も多い。長く続けてきたやりがいのある仕事を辞めるのは辛く、また離職後に条件の良い仕事がすぐ見つかるとも限らない。無職の状態だと経済的な不安も大きくなる。
そのため、できるだけ今の仕事を続けたいと考えるものの、介護と両立できるのかを不安に感じている人も多いと判明した。
<3位 施設に入所できるか>
比較的費用の安い特別養護老人ホームは、入居希望者が多く入居待ちになるケースも。親や自分が入居したい時にすぐ入れるのか、不安になるのも当然のことだろう。特に「介護を頼める人がいない」「自分では親の介護をしたくない」と考える人は、強い不安を感じているようだ。
入居型の介護施設には特養だけではなく色々な種類があり、特養も地域によっては空きがあるため、範囲を広げて調べてみるのもおすすめだ。
<4位 遠方からの介護になる>
親と離れて暮らしている場合には、親の介護が必要になった際にどうしたらいいのか不安に思う人も多いだろう。自分で日常的に介護しようと思うと、一般的に「親の近くに引っ越す」「親を近くに呼び寄せる」の2択となる。
自分が引っ越す場合には仕事や家庭との兼ね合いが難しいという声や、親が転居したがらないことを心配する声が挙げられた。
<5位 介護スキルがない>
介護の経験がないと、どうやって要介護者の身体を支えたり移動させたりすればいいのかという不安が付き物だ。家族が認知症になってしまった場合には、声のかけ方などに戸惑うこともあるだろう。
ただ介護スキルに関してはYouTubeの動画などで学ぶこともでき、実践で学びたいと考えるのであれば介護系のスクールで「介護職員初任者研修」を受講する方法もある。認知症の家族を持つ人向けのオンラインセミナーなども開催されているので、一度調べてみるのもおすすめだ。
<6位 体力がない>
特に女性が男性を介護する場合、体格差があるため体力面で苦労することもある。男性でも病気や怪我の影響で体力に不安がある場合、実際に介護を担うことになると不安を感じるだろう。
また要介護度の高い人を在宅で介護していると、1日中つきっきりになるケースも。このような場合には、介護者が健康で若くても「介護疲れ」を感じやすくなる。
<7位 精神的負担が大きい>
介護の体力的な負担が大きくなったり、介護している期間が長くなったりすると、精神的な負担にも繋がるものだ。「いつまで続くかわからない介護に、自分の自由やお金が奪われている」と感じてしまう人もいることだろう。
また責任感の強い人ほどひとりで抱え込んでしまい、誰にも相談できずに孤立感を深めてしまうことも。認知症の介護では、コミュニケーションが上手く取れないことで悩むケースもあるようだ。
<8位 家がバリアフリーでない>
在宅介護をする場合には、要介護者と介護者双方の負担を減らすため、住環境を介護しやすいように整えたいものだ。しかし、段差の多い家や水回りが狭くて車椅子で移動できない家などを介護向きの家へするためには、リフォームが必要となる。このような場合には、「リフォームできるのだろうか」「リフォームにはいくら費用がかかるのだろうか」といった不安が生まれることも。
約半数が「介護にかかる費用」の情報が知りたいと回答
最後に「介護について具体的に知りたい情報は何か」を尋ねたところ、最も多い回答は「介護にかかる費用(49.2%)」で、2位「利用できるサービス(30.4%)」、3位「介護保険制度の詳細(16.2%)」、4位「介護施設の選び方(13.4%)」と続く形となった。
前問で介護の費用について不安を抱えている人が多いことからも、「費用の情報を知りたい」という回答が多くなるのも自然なことと言えるだろう。介護保険制度についてよくわからないという人も多く、「制度の詳細」「手続き方法」「介護施設の種類や選び方」の情報を求める声も目立った。わからないことが多いからこそ、気軽に相談できる場所の情報も必要とされているようだ。
<1位 介護にかかる費用>
介護費用は一般的に月々83,000円程度と言われている。ただ「要介護度」「介護の期間」「利用するサービス」「在宅介護か施設介護か」によって実際の費用は変わるので、自分や親の場合はどうなるのかを知りたい人が多いと判明した。
また、費用をより安くする方法や、介護費用が足りない時に利用できる制度なども合わせて知っておきたいという声も。「介護にかかる費用の目安」「介護に関する助成金・慰労金制度」などについて知っておくことで、実際に介護が始まった時に金銭面で困らないための準備ができる。
<2位 利用できるサービス>
介護保険を使ってどのようなサービスが受けられるのかや、民間の介護関連サービスについて知っておきたいという人も多くなった。利用できるサービスを知っておくと、いざ介護が必要となった時の心構えもしやすくなる。
一方で「国や地域の支援サービスを知りたいが、自分が助けてもらえる対象にはならないだろうと諦めている」という声も。財政悪化や介護職不足による介護サービスの縮小を危惧している人もいることが窺える。
<3位 介護保険制度の詳細>
介護について不安がありながらも、「介護保険制度についてよくわかっていない」という人も多いようだ。介護に備えるにあたり、根幹となる制度について理解していないのは確かに不安だろう。
仕事で介護に関わっている人以外は、実際に介護保険を利用する段階にならないと、なかなか介護保険について意識することがないのだと推測できる。
<4位 介護施設の選び方>
介護施設と一口に言っても、「特別養護老人ホーム」「グループホーム」「介護付き有料老人ホーム」など、様々な形態が存在する。雰囲気も施設の運用方針も様々なため、比較してより良い施設を選びたいと考えている人が多いことが判明した。
施設入居する際はケアマネージャーから情報提供を受けられるが、ケアマネージャーがよく知っている施設に偏りがあることも。そのため、たくさんの情報を得て選びたいと考えている人もいるようだ。
<5位 仕事との両立方法>
多くの人が今の仕事を続けながら介護ができるのかという点を気にしている一方で、「今の仕事を辞めた時、介護と両立しやすい仕事はどう見つければいいのか」という視点で情報を探している人も。物理的な距離や時間などの兼ね合いで今の仕事を続けられない場合は、新しい仕事を探す必要があるためだろう。
具体的な情報としては、仕事と介護を両立している人の体験談などが求められているようだ。例えば、「どの介護サービスをどう有効活用すればいいのか」「介護との両立を支援するような会社の制度」「介護のために転職する時の注意点」などがあると、安心しやすいと推測できる。
<6位 相談できる場所>
相談窓口を知っていれば、実際に介護で困った時に連絡しやすくなるため、安心感を得られるだろう。「介護保険の利用を考え始めた時の窓口」「介護中に困った時の窓口」「緊急時の窓口」など、用途に合わせて複数の相談窓口を知っておくことも大切だ。
また、「気軽に相談したい」という声も複数あり、窓口の相談しやすさも重視されていることが判明した。
<7位 具体的な手続き>
「家族に介護が必要になった時や、介護施設への入所を希望する時の手続きについて知りたい」と考えている人も多いようだ。介護保険制度についての理解が曖昧な人も多いことから、「入口の部分がわからない」と感じる人が多いことにも納得できる。
実際、介護サービスを利用したい時に本人や家族がまずすることは、「市区町村に要介護認定の申請を提出すること」だ。それから介護が必要だと判断されたら、ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼する流れとなる。要支援と認定された場合には、保健師などによって介護予防ケアプランが作成されることになる。
不安の軽減のため「わからないこと」を調べておこう
調査の結果、介護についての不安としては「費用」「仕事との両立」と答えた人が多くなった。また知りたい情報としては「費用」「介護保険制度の詳細」が多く挙げられた。
介護保険制度についてよく理解しないまま不安を感じている人も多かったことから、「知らないことで不安が強くなっている」とも考えられる。利用できる介護サービスや費用感を把握しておけば、「自分で介護できない時は〇〇サービスを使おう」「介護に備えて〇〇円くらい準備したい。親に貯金や年金の額を聞いておこう」といった心構えもできるだろう。
また、ランキング上位には入らなかったが、「介護を受ける本人の意向がわからないので不安」という声もあり、こちらも「わからないこと」への不安となっている。
介護保険制度や近隣の介護施設の情報を調べると共に、介護について家族と話し合うことでも、不安は軽くできるだろう。身寄りがなくて不安な人は、成年後見人制度などについて調べておくのもおすすめだ。
【データ】
AlbaLink
https://albalink.co.jp/company/
訳あり物件買取プロ
https://wakearipro.com/
【将来の介護に対する不安ランキング】男女500人アンケート調査
https://wakearipro.com/anxiety-about-nursing-care/
【調査概要】
調査対象:30代以上の男女
調査期間:2025年1月28日~30日
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:500人(女性351人/男性149人)
回答者の年代:30代48.0%/40代31.6%/50代14.6%/60代以上5.8%
※AlbaLinkの発表したプレスリリース(2025年3月10日)を元に記事を作成。
図表/AlbaLink提供 構成・文/秋山莉菜