70代のファッション系インフルエンサー島崎真代さん、 フォロワー数3万人超、SNSで支持される理由は「親しみやすさかしらね」
SNSを積極的に活用するアクティブなシニア世代が増えている。OVER60のシニアインフルエンサーにインタビューする企画、第二弾はYouTubeとして活躍し、Instagramも人気の島崎真代さん(71才)を直撃! 美しいグレイヘアに真っ赤な口紅、古着をおしゃれに着こなす姿で注目を集める彼女の素顔に迫る。【Vol.1/全3回】
島崎真代さん/プロフィール
島崎真代さん/1953年埼玉県生まれ。71才。2020年にYouTube『ビバ美婆チャンネル』https://www.youtube.com/channel/UC8zOw0iw0g3nBj_zkHKaVxAを開設し、現在登録者数は1万6000人超。Instagram『島崎真代グレイヘアファッション』@masayoshimazakiのフォロワー数は3万人超。美しいグレイヘアの作り方や古着の着こなし方などを発信し、幅広い世代に支持されている。ファッションのお悩み相談や買い物同行、コーディネートを行う『マヨ塾』も好評で、これまでの受講者数は100人を超える。
67才でYouTubeを開設し、人生が一変
「いつも着ているのはほぼ古着。3000円超えたら高いって思うわね。フリーマーケットや近所の古着屋で掘り出し物を見つけるのが大好きなんですよ」
グレイヘアを束ね、サングラスに帽子。編み上げのブーツスタイルで真っ赤なパンツを履きこなす――Instagram(インスタ)は3万人を超えるフォロワー数を誇る人気のインフルエンサー、島崎真代さん。彼女はいかにしてYouTuberになったのか?
――そもそもSNSを始めたきっかけは?
お笑い芸人のヒロシさんのYouTubeを見たんですよ、あのソロキャンプでまたブレイクされた「ヒロシです」。彼にインスパイアされました。
60代も後半に差し掛かって何か打ち込めるものはないかと思っていたとき、たまたまヒロシさんのYouTubeを見たんです。
『なんでみんなYouTubeをやらないんだろう? 楽しくてワクワクするのに』というお話しをされていたんです。そうか、YouTubeをやってみたらいいんだって。
私の周りには素敵な女性がたくさんいて、彼女たちを紹介したいという思いがあってYouTubeを始めました。YouTubeでは素敵なシニア女性に会いに行って、インタビューしたり、ファッションやグレイヘアのことも紹介したりしています。
平日は孫のお世話もありまして、動画の編集をして投稿して、土日はフリーマーケットに行ったりと、なかなか毎日充実していますね。
――SNSで支持されている理由はどこにあると思いますか?
私、こんな感じだから(笑い)。モデルさんみたいなスタイルでものすごく美人だったら親しみがわかないでしょ? ごく普通のおばあちゃんが古着を格好良く着こなせたらいいじゃないですか。私にもマネできそうって思ってもらえたらいいですよね。
子供の頃からファッションが大好きで、着道楽の母譲りかもしれません。サラリーマン家庭でしたが、母もよく洋服を買っていましたね。安い服でも小物を工夫していろんなアレンジを楽しんでいました。
――美しいグレイヘアも魅力的ですね。
最初は生え際の白髪隠しのためにターバンを巻いていたんですけど、それが素敵だねって言われ始めて。頭にターバンやスカーフを巻いた写真をアップすると、『その発想はなかった』や『その色の組み合わせは斬新です』など書き込みがどんどん増えて驚きましたね。
グレイヘアにするまでは3年くらいかかりまして、なかなか根気がいりました。染めるのをやめたらお金もかからなくなって良かったけど、お手入れもけっこう大変ですよ。
日本では白髪イコール老婆というイメージでしょ。だから、パサつかないようにオイルなんかでお手入れをしています。服装だって、あんまりくたびれた格好はできないわよね。以前は真っ黒な地味なスタイルもしていたけど、グレイヘアにしてからは、華やかな色や明るい色の服を選ぶことが多くなりましたね。
白髪には真っ赤な口紅も似合うと思うんですよ。いつもコートのポケットにはシャネルの赤を入れています。
フォロワー数が増えた「トークショー」
――SNSの投稿はどのように学ばれたのでしょうか。
インスタは2016年から友人のすすめで教えてもらってすぐにできるようになりました。YouTubeを始めたのは4年前(2021年)。当初、友達の息子さんに依頼して、2時間2000円のアルバイト料を払って動画の編集を手伝ってもらっていました。
動画を作っているのを隣で見ていたら、だんだん自分でも覚えていって、これなら自分でもできそうだなと。動画に音楽をつける、効果音を入れるって、自分でやった方がタイミングも合う気がするんですね。最初の数本以降は、すべて自分でやっています。
――フォロワー数が増えた背景とは?
自分で企画してトークショーをやったんです。それの成果は大きいかしらね。
フォロワー数が4000人を超えたあたりで、福岡在住のYAMAMOTO MICHIKOさんという女性カメラマンと知り合ったんです。彼女のインスタのファンで、一度お会いしてみたいなあと思ってインスタのDM(ダイレクトメッセージ)を出してみたんです。そうしたら返事をもらえて、しばらくDMでやり取りをしていました。
彼女はカメラマンなので写真の撮り方、撮られ方のノウハウがありますし、私はファッションが好きでコーディネートが得意。じゃあ、ふたりでトークショーをやってみよう!という話になりました。
東京・京橋のイベントスペースを借りて、そこでファッションと写真の撮り方・撮られ方についてのトークショーを開きました。最初の参加者は30名ほどでしたが、回を追う毎に徐々に反響が大きくなってきて、北海道や沖縄からも会いに来てくれるようになって。彼女とのイベントは計4回開催しました。
イベントの反響もあって、インスタのフォロワー数が1万人を超えたあたりから、企業からの依頼が少しずつ来るようになりました。自分のスタイルに合うものに関してはお引き受けしています。
フォロワー数が3万を超えた頃からは、少しずつ講演会やイベントに呼んでいただけるようになりました。『bjbコレクション』*でファッションの講演をさせてもらうこともあります。bjb、バブル世代のジジイとババアがターゲット(笑い)。出演者もお客様もみなさんとっても元気なんですよ。
SNSをきっかけに、どんどん人と人が繋がっていくのは楽しいことです。気になった人にはDMを送ってやり取りをして、縁が広がっていくのよ。この時代に、スマホを使いこなせるようになっていて良かったと思います。
*バブル世代、一生引退しない生き方の提案をするメディア『bjb life』主催。
ファッションを通じて広がるネットワーク
――お買い物同行サービス『マヨ塾』もされています。
インスタで募集をして、希望者はDMで予約をしていただいています。私の行きつけの古着屋などにお連れして、洋服を選んでコーディネートさせいただいています。『買わなくても大丈夫だから着てみて!』とおすすめして、鏡の前に立つと、みなさんテンションが上がるんですよ。
ある女性は、今までカラー診断や骨格診断などを散々やってきたけど自分に似合う服が見つからなかったというんですね。私が選んだものを着てみたら『こんな色は自分では絶対選ばないし、似合わないと思っていた』と。思い込みを取り払える瞬間に立ち会えるのがいいんですよ。ファッションによって自分で気づいていなかったその人の個性を引き出せる。これがなんともいえず楽しいのよね。
マヨ塾もおかげさまで依頼が増えまして、同行者が100人を超えたので卒業生たちを集めて同窓会をしました(笑い)。仙台や新潟から新幹線代をかけてわざわざ会いに来てくださって、嬉しかったですね。
そういえば先日娘に言われたんですが、『ママは憧れのモデルさんとは違う。手が届くアイドルなんだよ』って。たしかに一理あるなって(笑い)。
写真提供/島崎真代さん 取材・文/廉屋友美乃