《戦後80年 慰霊の旅へ》天皇皇后両陛下が硫黄島をご訪問 上皇ご夫妻から受け継がれた“平和への思い”
2025年4月7日、天皇皇后両陛下が小笠原諸島の硫黄島へ訪問された。太平洋戦争の激戦地である硫黄島では、日米合わせて2万7000人が戦死した。
両陛下が硫黄島に訪問されたのは今回が初めて。おふたりは日本人戦没者を慰霊する「天山慰霊碑」(硫黄島戦没者の碑)、旧島民の慰霊碑がある「硫黄島島民平和祈念墓地公園」、日米両軍の戦没者を追悼する「鎮魂の丘」の3か所を訪問された。
31年前に硫黄島を訪問された上皇上皇后両陛下 お気持ちを短歌に
上皇上皇后両陛下(当時は天皇皇后両陛下)も31年前の1994年2月に硫黄島を訪問され、「天山慰霊碑」に献水、「鎮魂の丘」で花束を供えられた。
硫黄島訪問後、上皇さまは《精根を込め戦ひし人未(いま)だ地下に眠りて島は悲しき》、上皇后美智子さまは《慰霊地は今安らかに水をたたふ如何(いか)ばかり君ら水を欲(ほ)りけむ》という短歌を詠まれた。
火山活動が盛んな硫黄島の地下壕で亡くなった兵士たち。過酷な環境のなか、喉の渇きを訴えながら亡くなった戦没者を悼む、おふたりのお気持ちが伝わる御製だ。
平和への願いを上皇ご夫妻から受け継いだ天皇皇后両陛下
天皇陛下は2025年2月に開かれたお誕生日の会見で、上皇ご夫妻から戦争の体験を聞いてこられたことを明かされている。
「上皇上皇后両陛下には、これまで様々な機会に、戦争によって亡くなられた方々を慰霊され、平和を祈念されています。私と雅子は戦後生まれで、戦争を体験していませんが、上皇上皇后両陛下の戦時中の御体験のお話など、平和を大切に思われるお気持ちについて、折に触れて伺う機会がありました。愛子も、両陛下から先の大戦についてお話を聞かせていただいております。
私は、日本国及び日本国民統合の象徴として、上皇陛下のお気持ちをしっかりと受け継ぎ、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、象徴としての責務を果たすべくなお一層努めてまいりたいと思っております」
戦後80年となる今年、両陛下は沖縄、広島、長崎への訪問も予定されている。上皇ご夫妻の平和への思いは両陛下に受け継がれ、「慰霊の旅」がスタートした。
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