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離れて暮らす親の4割が特殊詐欺と思しき電話に出た経験あり「まだまだ自分ごと化していない人が一定数いる」と専門家 有効な対策を紹介

 オレオレ詐欺をはじめとした振り込め詐欺など、いわゆる「特殊詐欺」による被害は一向に減らず、なかでも高齢者はターゲットにされることが多い。身近な高齢者として自分の親は大丈夫だろうかと不安に思っている人もいるのではないだろうか。「離れて暮らす親に関する意識調査」の結果から、親元を離れて暮らす人々の特殊詐欺への不安意識や対策状況を分析し、合わせて対策を紹介する。

離れて暮らす親は大丈夫?特殊詐欺への意識調査

 高齢者を標的とした特殊詐欺事件が連日各所で報道されている昨今。警察庁によると、2023年の特殊詐欺の認知件数は前年比8.4%増の1万9038件と過去15年間で最多となっており、被害額は前年比22.0%増の452.6億円に及んでいるようだ。

 そこでセコムは、全国の30才~69才の男女560人を対象に「離れて暮らす親に関する意識調査」を実施。社会的に危機感が高まっている特殊詐欺に焦点を当て、不安意識や対策状況などを調査した。セコムIS研究所の研究員・濱田宏彰さんの分析とコメントと合わせ、その結果を紹介する。

約9割が別居の親の生活に不安を感じつつ31%は「対策していない」

 まず始めに、別居している親の暮らしで不安に感じることは何かを尋ねた。その結果87.0%の人が何かしらの不安を感じていることが判明。中でも「病気や怪我」という回答が最も多く66.3%で1位となり、「認知機能の低下」(42.5%)が2位、「車の運転」(30.2%)が3位と続く形となった。

  続けて、何かしらの不安を感じている人に対し、具体的な対策について尋ねると、「連絡の頻度を増やす」(43.1%)が最も多く、31.0%は「対策していることはない」と回答する結果に。

 なお、上記の質問に「介護サービスを利用する」(16.2%)と回答した人を年代別に見ると、60代が33.3%と30代・40代(5.9%)の5倍以上となっており、年代が上がるにつれて介護サービスの利用が増える傾向が窺える。

約4割の親が特殊詐欺と思しき電話に出たことあり

 次に、別居している親が特殊詐欺の被害にあう不安を感じているかを質問。「感じている」(18.0%)、「どちらかと言えば感じている」(38.0%)と合わせて56.0%が不安を感じていると回答した。

 その一方で、別居している親が特殊詐欺にあわないための対策の有無について尋ねると、32.0%が何も対策をしていないことが明らかに。

 また、別居している親が特殊詐欺の被害にあった経験の有無を尋ねると、35.9%が「被害にあったことはないが、特殊詐欺と思われる電話に出たことがある」と回答し、実際に「被害にあったことがある」と回答した人も3.2%と危機は身近にあることが見て取れる。

特殊詐欺への対策「方法が分からない」が4割

 続いて、別居している親が特殊詐欺の被害にあわないよう対策をしている人に具体的な対策内容を尋ねた。最も多かった回答は「知らない番号からの電話は出ないようにしている」で、54.4%と半数を超えた。また、「家族との電話で合言葉を決めている」と回答した人はわずか9.9%と1割に満たない結果となった。

 一方、何も対策をしていない人にその理由を尋ねたところ、1位は「どのような対策をすればよいかわからないから」(42.5%)となり、2位「今まで被害にあう危険を感じたことがないから」(30.2%)、3位「親が自分は大丈夫だと思っているから」(29.1%)が続く結果となった。

セコムIS研究所の研究員による対策紹介

 今回の調査から、別居している親が特殊詐欺の被害にあう不安を感じつつ、何も対策をしていない、対策の方法がわからないといった人が少なくないことが判明した。セコムIS研究所の研究員・濱田宏彰さんはこのアンケート結果を受け、以下のような対策を紹介している。

電話に出ない、話を聞かないことが有効

「電話中に同居の家族がいる場合は、不審な電話を受けたとしても話の流れで詐欺に気付ける可能性がありますが、親が一人暮らしの場合はより慎重な対応が求められます。対策としては、空き巣や強盗と同様に“家に入れさせない”ことが重要で、具体的には“電話に出ない”“話を聞かない”ことが有効です」

 また、対策をしていない人の中には「今まで被害にあう危険を感じたことがない」「親が自分は大丈夫だと思っている」など、“自分ごと化”していない人が一定数いることも判明した。

自分も騙されるかもしれないという意識を持つ

「これから対策を講じるかたは、“自分も騙されるかもしれない”という意識を持つことが重要です。その上で、“家に入れさせない”ために、“知らない番号からの電話は出ない”よう親と話し合うほか、親への連絡や帰省の頻度を増やして変わったことがないか把握することで、被害にあわないよう備えていただきたいと思います」

 特殊詐欺の手口は年々巧妙化しており、認知件数と被害額は増加傾向にある。今まで被害にあっていないのだからこれからも大丈夫だろう、などといった根拠のない思い込みは一旦捨て、一度しっかりと家族で対策について話し合うことをおすすめする。

【データ】

セコム
https://www.secom.co.jp/

【調査概要】

調査期間:2024年10月4日(金)~10月7日(月)
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国の30才以上、70才未満の男女560人
調査機関:セコム調べ【実務委託先:楽天インサイト(2024年10月)】

※セコムの発表したプレスリリース(2024年11月21日)を元に記事を作成。

図表/セコム株式会社提供 構成・文/秋山莉菜

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