食事で美味しく楽しくフレイル予防「母を想う気持ち」から生まれた冷凍スープ開発秘話
「フレイル」とは、加齢により身体的や精神的な働き、そして社会的な繋がりが衰えた虚弱状態のことをいう。栄養面だけでなく、食を通じて楽しい気持ちにもなれる。そんな多面的なフレイル予防にアプローチした“スープ”が人気を集めている。
美味しく楽しく「食べる」ことで心も身体も健康に
「美味しくものが食べられなくなった」「疲れやすく何をするもの面倒だ」「体重が以前よりも減ってきた」――そんな状態が重なるようであればフレイルかもしれない。
「フレイル」とは加齢により身体的や精神的な働き、そして社会的な繋がりが衰えた虚弱状態のことだ。骨や関節、筋肉が衰えていく身体的な虚弱だけではなく、うつや認知機能の低下といった精神的な虚弱、閉じこもりや孤食といった社会との繋がりがなくなる社会的な虚弱など多面的な側面があり、これらの各状態が悪化すると要介護状態へ進んでいくと言われている。
※公益社団法人東京医師会「フレイル予防」より https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty
フレイルは、早めの発見と適切な対処を行うことで健康な状態へ戻ることもあるという。福岡を拠点にレストラン・ブライダル事業を展開するグラノ24Kでは、食を通じたフレイル予防に着目し、新たなスープを開発。
同社が運営する地産地消をテーマとした健康応援レストラン「野の葡萄」より、フレイル予防のための冷凍スープ『母へ贈る健康習慣スープ』(3213円)として、クラウドファンディングサービス『Makuake(マクアケ)』にて販売し、多くの応援サポーターを集めた(現在は終了)。
フレイル予防の合言葉は「さあにぎやかにいただく」
フレイル予防のために推奨されているのは、さ(魚)・あ(脂)・に(肉)・ぎ(牛乳)・や(野菜)・か(海藻)・い(芋)・た(卵)・だ(大豆・大豆製品)・く(果物)の10の食品群。1日7品目以上の摂取が重要とされており、『母へ贈る健康習慣スープ』はこれらを手軽に摂取できるよう開発されている。
3つのシリーズで美味しく楽しくフレイル予防
スープには3つのシリーズがあり、心と体、社会的な繋がりをテーマとしている。
1.不足しがちな栄養素にクローズアップ「からだシリーズ」
「からだシリーズ」は管理栄養士の監修のもと、不足しがちな栄養素を手軽に摂取できることを目指したシリーズ。フレイル予防で大切なタンパク質を1食当たりに10g以上含んでおり、塩分や鉄分、カルシウムといった特定の栄養素をクローズアップした商品で気になる栄養素を補うこともできる。
2.思い出の味で食への意欲アップ「こころシリーズ」
食事に対する意欲が湧かなくなってしまった人や、外食が出来なくなってしまった人へ向けたシリーズが、シェフの味を自宅で楽しめる「こころシリーズ」だ。レンジアップ中に出来る脳トレや簡単なストレッチなどをリーフレットに添えることで、美味しく楽しく認知症対策に取り組める商品となっている。
3.規格外野菜で社会貢献に「つながりシリーズ」
「つながりシリーズ」は、地元農家の規格外野菜や近隣漁師の未活用魚などを使用しており、食べることで社会貢献に繋がるシリーズとなっている。同梱されるリーフレットには1食に使われている規格外野菜の栄養価や使用量、未活用魚の特徴、生産者の顔などが記載されており、社会貢献や社会との繋がりを感じられる商品だ。
母へ贈る健康習慣スープとは
これら3種のシリーズを3食セットにして、『母へ贈る健康習慣スープ』として展開している。3食セットの概要は以下の通り。
もち麦入り 参鶏湯風スープ
1食でタンパク質が11.8g摂取できる。九州鶏ともち麦、こんにゃく米をはじめとしたオリジナル雑穀米を使用している。また、ナツメや松の実、クコの実、生姜など漢方に使われる食材も含まれている。
和漢膳カレースープ
野の葡萄のオリジナル薬膳カレーにあごだしを加えた優しい味わいのスープ。ブロッコリーやレンコンなどの具材をゴロゴロと加え、「噛む」ことにも特化したスープとなっている。
17種類の野菜のミネストローネ
100g中の塩分が0.2gと、塩分を控えめに抑えたミネストローネ。地元農家の規格外トマトを中心に、17種類の国産野菜を使用している。
開発者が語る「食」を通じたフレイル予防
「フレイル予防食」開発のきっかけとなったのは、商品企画を担当する同社の吉田雅子さんの母親への想い。吉田さんの母親は、持病や体力の低下から食への興味を失い、一時期はまったく食事に手を付けなかったという。
「やせ細っていく母親の姿を目の当たりにし、栄養価が高く高齢者が食べやすい食事を作っても手を付けてくれない日々が続きました」
そこで、もっと「食事」として美味しく楽しく食べられるものを、という考えから生まれたのがこの『母へ贈る健康習慣スープ』だ。
開発の折、フレイルには身体的な面だけではなく精神的・社会的な側面があると知ったことや、かつての来店客から寄せられた声をきっかけに、フレイルの側面ごとの商品開発を行った吉田さん。
「お店で食べたことを思い出して“楽しかった気持ち”をご自宅で味わっていただくことで心理面でもフレイル予防につながるのではないか。母が食べられるものをという想いから始まったフレイル予防食ですが、多くのシニアの皆様へお届けし、普段の食事にちょい足しして頂いたり、食べられない時の一助になればと考えています」
第一弾はクラウドファンディングでの先行販売だったが、8月22日(木)よりぶどうの樹公式オンラインストアでの先行予約販売も始まった。今後は第2弾として新たな味の3種のスープや、タンパク質が摂れる溶けないアイス等の販売も予定しているとのこと。この先の展開に注目していきたいところだ。
【データ】
グラノ24K
https://budounoki.co.jp/
ぶどうの樹公式オンラインストア
https://oishitsushin-budounoki.com/
MAKUAKE「毎日の食事にちょい足し。からだ、心よろこぶ、野の葡萄が贈る健康習慣スープ」
https://www.makuake.com/project/budounoki/?utm_source=a54&utm_medium=email
公益社団法人東京医師会 フレイル予防
https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty
※グラノ24Kの発表したプレスリリース(2024年7月18日)を元に記事を作成。
図表/株式会社グラノ24K提供 構成・文/秋山莉菜