「介護テック」分野の産業発展を後押し 厚労省のヘルスケアスタートアップ支援がスタートへ
厚生労働省は2024年6月27日、「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」の最終とりまとめを発表。ヘルスケア領域のスタートアップ支援に関する具体的な提案が示された。
「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」が考えるスタートアップ支援
厚生労働省は2024年6月27日、「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」の最終とりまとめを発表。ヘルスケア領域のスタートアップ支援に関する具体的な提案が示された。
同チームは、ヘルスケア領域のスタートアップ支援を目的に2024年2月5日に設立。各領域の専門家が参加し、様々なヘルスケア市場の特性に応じた最適な支援策を議論。さらに新しい政策形成ツールの試みとして、いわばオンライン目安箱と言える「ヘルスタ・アイデア・ボックス!」を通じて、国民からも政策提案を募集し、幅広い意見を反映している。
最終提言のポイント
1.現状分析:
日本は超高齢社会に直面し、ヘルスケア領域でのイノベーションが不可欠。しかし、ヘルスケア関連でのスタートアップの数や成功例は少ない。国民皆保険制度の下でデータ集積が容易な点から、日本の潜在力は高いが、それを活かす仕組みが不足している現状がある。スタートアップを生み出すエコシステムの強化が求められている。
2.目標設定:
ヘルスケアスタートアップの振興を通じて、日本のヘルスケア水準向上とスタートアップのグローバル市場での成長を目指す。具体的には、国民生活に不可欠なヘルスケアの質を高め、持続可能なシステムとすること。また、日本発のサービスや製品を海外市場に展開し、グローバルな競争力を持つ産業に成長させる。
3.戦略的支援アプローチ:
各市場の特性を見極めて、最適な振興・支援のアプローチを行うこと。主に次の3つのアプローチにわかれる。「世界直行型アプローチ」では、国内市場と世界市場が近い分野で、初期から世界市場を視野に入れて展開するための支援をする。「段階的海外展開型アプローチ」では、国内市場での成功を基盤に、段階的に海外進出を目指す支援をする。「国内充実型アプローチ」では、国内で必要な医療・健康・介護を持続的に提供するための支援をする。
4.具体策:
主要5分野での問題意識をもとに、25本の提言が示されている。分野は、総論、バイオ・再生医療、医療機器、SaMD(Software as a Medical Device)、医療DX、AI、介護テックの5つ。
今回の最終とりまとめは、日本のヘルスケアスタートアップを振興するための重要なステップ。高齢化が進行する中、革新的なヘルスケアサービスや製品の開発と展開は急務となっている。厚生労働省のプロジェクトチームの提言が実行に移されることで、日本のヘルスケア産業が一層発展することが期待される。
参考資料:ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー- 健康・医療・介護の未来を拓く起業大国へ -概要版https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001269763.pdf
構成・文/介護ポストセブン編集部