新設介護法人が5年連続増加 競争激化の中で求められる経営効率化
2023年に新しく設立された介護事業者(以下、新設介護法人)は3203社に上り、前年から6.1%の増加となったことが東京商工リサーチの調査でわかった。
2023年の新設介護法人は3203社 全産業に比べると低水準
これは5年連続の増加となるが、過去10年で最多だった2014年の3611社には及ばなかった。一時鈍化していた新設介護法人の増加は、2018年の介護報酬プラス改定を境に再び上昇を始めたが、2023年の増加率は全産業の新設法人の前年比7.8%増に比べると低い水準で推移している。
新設介護法人が増加する一方で、介護業界は人手不足や物価高の影響を受けている。2018年の介護報酬プラス改定以降、新設法人は増加に転じたものの、倒産や休廃業・解散も 増減しながら長期的には増えつつある。2024年の上半期だけでも過去最多の72社が倒産しており、経営環境の悪化が浮き彫りとなっている。
また、2023年の新設介護法人を都道府県別に見ると、大阪府が最多の562社で、前年比8.7%の増加となった。次いで、東京都の279社(同9.4%増)、愛知県の207社(同5.0%減)、福岡県の174社(同1.1%減)、兵庫県の173社(同16.1%増)と続く。一方で、山形県ではわずか4社(同42.8%減)と新設数が少なくなっている。鳥取県(新設介護法人数6社)や福井県(同)など、人口が少ない地域では新設数の減少幅が大きいほか実数としても少なくなっており、介護サービスが今後逼迫していく可能性もある。
今後の課題と展望
高齢化 の進行に伴い、介護市場の拡大は見込まれるが、介護事業者の経営安定には人材確保と効率化が不可欠である。政府や自治体による財政的な支援とともに、事業者自らの経営革新が求められるだろう。2024年以降も競争が激化する中で、いかにして持続可能な運営を実現するかが課題となりそうだ。
構成・文/介護ポストセブン編集部