「栗きんとんは金運や勝負運、えびは健康長寿を願う」おせち料理に込められた意味を解説【関東編】
お正月といえばおせち料理。おせちには縁起の良い食材が宝石箱のように詰まっているが、ご当地ならではの食材や特定の地域だけで食べられている料理も多い。おせち料理について読者アンケートを実施。関東地方でよく見かけるおせちに欠かせない一品やお重の定番料理を紹介する。
教えてくれた人
今泉久美さん/料理研究家。山梨県出身。
関東では黒豆、数の子と並び「田づくり」がおせち料理の定番
海のない県のごちそうは「あわび」や「たこ」の海産物「あわびの煮貝は、市販品を買ってきてお重に詰める家庭が多いですね。酢だこがバケツに入って売られるのも年末の風物詩。
また、わが家のお雑煮は、『郷土料理けんちゃんのおつゆ』をアレンジしたもの。1cm角に切った根菜類を煮てみそ仕立ての汁に仕上げ、香ばしく焼いたお餅を入れていただきます。(今泉久美さん)
【東京都・埼玉県・神奈川県】伊達巻(だてまき)
昔は重要な文書や絵を巻物にしていたことから、おせち料理には巻いた料理が多く登場する。伊達巻は巻物の書物に形が似ているため、知恵が増えることを願う縁起物。派手でおしゃれという意味の「伊達」を用いたという説もある。
【東京都・埼玉県・神奈川県】えびのつや煮
加熱後の背中が曲がった姿を老人に例え、長寿の象徴として知られている。「えびを加熱すると赤くなって跳ね上がるので運気が上がりそう」(69才 女性)
【東京都・埼玉県・神奈川県】田づくり
別名「ごまめ(五万米)」とも呼ばれ、昔、いわしを肥料としてまいた田が豊作だったことから、五穀豊穣を願ったもの。おせち料理の定番で、関東では黒豆、数の子と並び「祝い肴三種」といわれている。
【東京都・埼玉県・神奈川県】栗きんとん
漢字では「栗金団」と書き、金色の団子を指すことから金運や勝負運を願う料理。アンケートでは「自分好みの甘さにしたいため、必ず手作りする」(55才 女性)、という手作り派も多かった。
【千葉県】はば雑煮
かつおぶしを使った関東風のだし汁に、餅と香りや旨みの強いはばのりをたっぷりと入れた雑煮。「年のはじめに食べると一年中“幅を利かす”ことができ、縁起がよいといわれています」(52才 男性)。価格は1枚1000円以上の超高級品。
【栃木県】しもつかれ
粗くすりおろした大根とにんじん、油揚げ、お正月に使った塩引き鮭の頭や節分の豆の余り(古くは2月初旬に供えたため)など、家にある残り物と酒粕を合わせて煮込んだ料理。地元ではそのまま食べるほか、ご飯やトーストにのせて食べたり、お茶うけやおつまみとしても親しまれている。
【茨城県】ふなの甘露煮
ふなが多く獲れるという古河市の名物。尾頭つきを尾から頭まで食べることで「最初から最後までまっとうする」という健康長寿の願いが込められている。「市内には甘露煮を扱う店がいくつもあり、そこで購入しています」(45才 女性)
【群馬県】ゆず巻き
薄く切った大根で千切りにしたゆずの皮を巻く。大根は、生、または干したものを使う。酢や砂糖を合わせた調味液に数日間漬け込んで完成。お祝い事だけでなく、保存が利くため冬の家庭料理として重宝されている。お重に紅白なますの代わりに入れることも。
【山梨県】あわびの煮貝
煮あわびは薄くスライスし、肝は小さめのひと口大に切る(肝はすり潰し、マヨネーズと和えてソースにしてもよい)。レモン汁をかけてシンプルに食べるほか、カルパッチョやサラダに合わせるなど食べ方の幅は広い。
※おせちに関する情報は、女性セブン読者1584人のアンケート調査結果(10月23日~11月5日に実施)、紀文食品『お正月に関するデータベース/全国の郷土のおせち料理』、農林水産省「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」(ともにサイト記事)を統合し、編集部で総合的に判断したものです。
※各県の一部地域でのみ確認できる料理、県境を越えて食される料理、また一部雑煮、冬期に食す郷土料理等も含まれています。
※各地の料理(または使われている食材)は、大手通販サイトや地方の特産品サイト等で取り寄せが可能なものもあります。
撮影/宮司信吾、菅井淳子 写真/PIXTA、農林水産省Webサイトから編集・加工
※女性セブン2024年1月4・11日号
https://josei7.com/
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