猫が母になつきません 第378話「ふくをきせる」
母はだいぶ良くなり、もうすぐ施設に戻る予定です。皆様が送ってくださったパワーのおかげです。ありがとうございます。戻るとはいえ、まず施設内にある病院に転院し、リハビリをして食事が摂れるようになったら施設の部屋に戻ります。今は鼻から栄養を入れていて、口から食べられるように嚥下機能の回復が必要です。「一時は危なかった」と担当医から言われるほど母の体の状態は良くなかったのですが、脳出血は広がることなく、大きな後遺症も残らないだろうとのこと。また少し後退ですが、少しの後退ですんだことを幸いと思うべきなのでしょう。体調が悪かった原因は《尿路感染症》でした。おむつの装着でおこりやすい病気ですが、尿の通り道である腎臓、尿道、膀胱に菌が入ることにより発症します。母の場合は血管にまで大腸菌が入っていたため重篤な症状になったそう。脳出血と尿路感染症の因果関係ははっきりしないが、もともと尿路感染症で体調が悪かったのではないか?ということでした。排泄ケアも命にかかわることなのだと思い知らされました。
さびの怪我も日に日に良くなっています。傷にパッドをあてて包帯を巻き、その上から保護服を着せるのですが、「いにゃーーーっ」と拒否の鳴き声をあげるわりには着せ始めるとびっくりするくらいおとなしく着せられてその動きはむしろ協力的。動物病院で先生から着せてもらう時にもさびはされるがままに診察台の上でくるんくるんと回転して「こんなに着せやすい子は初めてだなー」と言われるほど。最初は全身タイツでしたが、前脚だけ保護できればいいので今はTシャツタイプにしています。少しでも毛繕いできる部分が大きくなるように。服を着た姿も見慣れるとかわいくてちょっとクセになりそう。
おむつとか、保護服とか、健康を守るため必要だから使用するのですが、本来の姿とは違うので本人にとっては不快でしかない。でも説明してわかってもらえる相手ではないので強制しているような形になってしまう。この頃「守る」ということのしんどさを感じることが多くなりました。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。