猫が母になつきません 第448話「しゅうきんする」
おかげさまで町内会費の集金は無事に完了しました。
「拝啓 春暖の候、皆さまお元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます。日頃より町内会活動にご理解とご協力をいただき誠にありがとうございます。」などという大人っぽい時候の挨拶に始まる町内会費集金のお手紙とうちの地図を封筒に入れ、表にそれぞれのお名前を書いて各家のポストに入れていく。その封筒にお金を入れてうちのポストに投函してもらえば、宛名で誰のかわかるという仕組みです。うちのポストには鍵をかけられるので盗難の心配もないですし。あえて期限は決めませんでした。持ってきてもらうので。準備段階のクライマックス、手紙をプリントしようとしたらインク切れ、速攻でインクを買いに走ったのですが、コンビニでプリントしたほうが断然安かったなと後で反省しました。
封筒を投函して3日後くらいから会費はぽつぽつと集まり始め、「一年間どうぞよろしくお願いします」というメモを入れてくださる方がいたり、表で植物に水やりをしているときに持ってきてくださった方とお話したり、組長さんになったからこそのコミュニケーションも少しできました。
お隣の大家さんちでは、封筒を持って行ったときにご主人が庭の芝生を芝刈り機でお手入れしているところに出くわし、「今払いますよ」とおっしゃって奥様に声をかけてくださいました。待っている間にご主人に「この時期草がどんどん伸びて大変ですよねー」と言ったら「うちにね、住んでるもうひとりの人は全然(庭の手入れを)やりませんよ」と。「家内」とか呼ばないのがおもしろい。後日、そのもうひとりの人にそのことをお話ししたら「やらないんじゃないのよぉ、できないのよぉ。うふふ」とおっしゃっていましたが。
残り最後の一軒になったところでそのおうちに集金に伺ったら「持って行こうと思っていたんですが、すみません」と恐縮されていました。いえいえ、そんな、こちらの都合なので。その時点では小銭もしっかり貯まっていたのでお釣りにも余裕で対応できました。
回収記録という紙を記入して会費と一緒に会計担当の方のおうちに持参すれば任務完了なのですが、近いと思って歩いて行ったら距離はないけど坂がキツイ…。びっくりするくらい体力がなくなっていることを思い知らされました(汗)。お金をお届けして息切れしながら家に戻る。坂の途中に何枚かの貼り紙がしてある町内会の「掲示板」がありました。ガラス付きの屋外掲示板。アナログすぎるし、見ている人もほとんどいなさそう…でもこれにも町内会費は使われているんだよな。ちょっと複雑な気持ちで残りの坂をぜいぜいしながらのぼって帰りました。
【関連の回】
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
※現在、1話~99話は「介護のなかま」にご登録いただいた方のみご覧になれます。「介護のなかま」のご登録(無料)について詳しくは以下をご参照ください。
https://kaigo-postseven.com/156011