お笑い芸人が開発!シート1枚でリハビリできる“超アナログ脳トレグッズ”が生まれた理由「世界のリハビリ難民を救いたい!」
お笑い芸人のキャリアをもつ介護エンターティナー・石田竜生さん(40才)は、作業療法士として介護施設を巡り、リハビリ体操の指導をしている。「全国のリハビリ難民を救いたい!」と熱い想いを抱く石田さんが新たに開発したアイテムが話題になっている。一体どんなものなのか、開発の背景を聞いた。
石田竜生さん
1983年 富山県出身。大学卒業後、作業療法士として老人保健施設で勤務。その後、デイケアで働きながら大阪よしもとの養成所に通い、フリーのお笑い芸人としても活動。介護とお笑いを融合させた「介護エンターテイナー」と名乗り、ボランティアやセミナーを日本各地で開催。YouTubeチャンネル「介護エンターテイメントチャンネル」で体操やレクレーションのコツを配信中。
介護エンターティナーが発信する最新の脳トレアイテムとは?
「デイサービスや施設でリハビリ体操や脳トレをやったとしても、家に帰ってからそれを実践できない人たちもいる。そんなリハビリ難民を救うことはできないだろうか?」
介護エンターティナーとして全国の介護施設やデイサービスを10数年かけて訪問する中で、石田竜生さんは、そんな想いを抱くようになったという。
「介護施設やデイサービスでは、スマホやパソコンを使って映像を流しながらリハビリ体操をしていることが多いんです。また、数字や漢字を使った『脳トレ』は、タブレットを使うこともあります。
こうしたデジタル機器は、高齢者のかたが自宅に帰ったときひとりでは操作できないのではないか。こうした“リハビリ難民”を減らさなければ、本当の意味での介護予防とは言えないと思うんです」(石田竜生さん、以下、石田さん)
「高齢者が自宅でひとりでもできるリハビリ」を考え抜いてたどりついたのが、新たなリハビリのためのアイテム『脳トレステップシート』だ。
「デジタル時代に逆行する、超アナログなアイテムです(笑い)」
時代と逆行する超アナログの脳トレアイテム
数字を使って頭と体のリハビリをする『脳トレステップシート』。レジャーシートのような素材でできていて、マス目の中に0~9までの数字が印字されている。
「今はいろんなテクノロジーが発達していますが、電源を使わずに持ち運べるもの。なるべく「アナログ」なものにしたいと意識して商品開発をしました。それから、材料費が「安い」ということも大事なポイントなんです。
介護施設では脳トレやリハビリにかけられる予算があまりないことも多くて。脳トレに使う機材を全員分揃えるとなるとかなりのお金がかかりますからね。とにかくアナログで安価なものを目指しました」
→介護エンターティナー石田竜生さん「老いを楽しむリハビリ体操」動画は980万回再生!
使い方は簡単!数字を踏むだけで運動に
畳半畳分ほどのシートを床に広げ、椅子を置いて座りながら数字を踏んで足を動かしていく。または、テーブルに置いたり、壁に貼ったりして手で数字を追いかけるという使い方もできる。
「数字を使ったのは体操のバリエーションを増やしやすいのと、数字ならお孫さんとも一緒に楽しめると思って。それから数字は全世界共通なので外国のかたでも楽しめます。
使い方はいたってシンプル。たとえば、足し算。「2足す3はいくつですか?」と問題を出して、マス目の中から正解の5を探して踏んでもらいます。あえて離れた数字『1と6』を同時に踏んでみましょうとか、それだけで足を結構動かすことになるんですよ」
数字を組み合わせる脳トレは、いくつでも作ることができるという。
「『バナナ(877)を足で踏んでみてください』とか、語呂合わせでも面白いですよ。6480(虫歯ゼロ)、4649(よろしく)とか、言葉と数字を組み合わせて、数字を順番に踏んでもらうんです。
あるいは、歌を歌いながら1から順番に1→2→3→4と、数字を踏んでいくという使い方もあります」
石田さんのYouTubeチャンネルでも『脳トレステップシート』の使い方を動画で紹介している。
→【YouTubeチャンネル】介護エンターテイメントチャンネル
頭と体を一緒に動かすことができる
石田さんは『脳トレステップシート』のメリットをこう話す。
「数字を探して足を動かすという動作は、脳の活性化につながりますし、数字をその場で踏むだけでも運動になります。
シート上の手前の数字を踏む動作は、立ち上がりの動きに対するリハビリになります。足を伸ばして向こう側の数字を踏む動きは、転ばないために踏ん張るような体制になるのですが、これは転倒予防のリハビリとしてもおすすめなんです。
また、壁にシートを貼って立った状態で手で数字を追いかけるという使い方をすると、体のバランス感覚を鍛えることもできるんです」
夢は世界進出!
石田さんの思いが詰まった『脳トレステップシート』は、全国の施設にモニターとして使ってもらって声を集め、商品をブラッシュアップした。
実際に使った方から「いろんなルールを作れてみんなでワイワイ出来るのが楽しい」という声が非常に多い。基本のやり方はあるが、自由に使ってもらえればいいのだそう。
資金調達と認知拡大のためにクラウドファンディングを活用し、使い方の解説DVDとマニュアル付きで1枚2000円で出品した(※現在は終了)。今後はAmazonなどネット販売を行う予定だという。
白髪のカツラを被って介護施設を巡る、唯一無二の活動を続ける石田さん。介護エンターティナーの今後の目標は、超アナログな脳トレを世界に広めること。
「ひとりでリハビリ体操ができずに困っている人、体操と言っても何をしたらいいのか分からない人、外へ出ていく手段がなく家にこもりがちになってしまう人たちに、脳トレステップシートを届けたいですね。全世界に通用する「数字」だけに、言葉の壁もなく使えるので、今後は海外のリハビリ難民にも届けられるといいなと思っています」
写真提供/石田竜生さん 取材・文/吉田麻衣子
●大注目!“懐メロプリンス”中田亮さん(34才)独占インタビュー「夢は “紅白”出場!全国のシニアのみなさんと一緒に」