駅弁の女王が選ぶ“推し弁”10選|何度でも繰り返し食べたくなる絶品駅弁
駅弁女王の異名を持つ旅行ジャーナリスト小林しのぶさんは、駅弁を30年以上も食べ歩き、食べた弁当の数はなんと1万食以上。そんな小林さんに、何度も食べたくなる“推し弁”を10食選んでもらった。
ふたを開ける時は今でもワクワクする
新作は必ずチェックし、毎回2個は購入するという小林しのぶさんの10選は、「何度でも繰り返し食べたくなる」駅弁。
数ある中から選んだ基準は、ちょっとした総菜にまで手を抜かずに手作りをしているかどうか。
「見栄えを重視したものより、卵焼きやつけ合わせの漬物にまで心配りがあるものにこそ魅力を感じます。掛け紙を外してふたを開ける瞬間は、いつもワクワクします。幕の内弁当は日本酒のあてになるので、ぜひ地酒とご一緒に!」(小林さん)
駅弁の女王が選ぶ“推し弁”ベスト10!
小林さんが何度も食べたくなると選んだ駅弁はいったいどの商品なのか!
スペシャル日の丸弁当 / 870円(お弁当の万年屋)
水戸駅・大洗駅(茨城県)
梅干しだけ? ではありません!
「ななかいの里コシヒカリ」に『吉田屋』の梅干し「八代目」が鎮座した一見、シンプル弁当。
「ご飯の中にはつくば鶏と土浦れんこん、鉾田ごぼうの鶏そぼろ入り。からくりに心が弾みます」(小林さん・以下同)
にしんめし / 1400円(ホテルハイマート)
上越妙高駅(新潟県)
“身欠きにしん”が郷愁を誘う味わい
秘伝のタレで煮た身欠きにしんの甘露煮をメインに、昆布巻き、和え物、味つけ数の子が入った“にしん満載駅弁”。
「にしんのおいしさが再発見できる。日本海の漁火を眺めながら食べたい」。
ひとくちだらけ / 1350円(つがる惣菜)
新青森駅・弘前駅(青森県)
津軽の郷土料理がひとくちサイズで!
すしこ、いかめんちなど、津軽地方の郷土料理、名産品を中心に青森県の味をひとくちずつ、24種類集めた欲張り弁当。
「酒の肴にもなる。青森の地酒『外ヶ浜』『田酒』などと一緒に」。
みやぎまるごと弁当 / 1500円(こばやし)
仙台駅(宮城県)
食材王国みやぎの味わいがぎっしり
仙台名物牛たん焼き、笹かまぼこをはじめ、登米名産あぶら麩煮、岩出山名産しそ巻き、亘理名物はらこ飯、ずんだ餅など、宮城の郷土料理が13種類も。
「これで五合は呑める!」。
松阪牛と本居宣長さんと松阪もめん / 3500円(あら竹)
松坂駅(三重県)
『松阪牛証明書』のお墨付き!
松阪が世界に誇る松阪牛、国学者の本居宣長、伝統工芸・松阪もめんをキーワードに誕生。松阪肉赤ワイン醤油煮が豪快にのる。
「『肉を味わえ』とばかりのシンプルさが潔い。追いかけ用のタレ・松阪肉煮汁も絶品」。
武士のあじ寿司 / 1500円(舞寿し)
修善寺駅(静岡県)
新鮮な伊豆のあじの旨みを堪能
伊豆近海の地あじを酢で軽くしめてのせた、「日本一のあじ寿司」の呼び声高い駅弁。
「新鮮で肉厚なあじは、食べるたびに感激感動を呼ぶ。酢飯の上に松崎の桜の葉漬を敷いているので香りさわやかです」。
兵庫県警版ひっぱりだこ飯 / 1480円(淡路屋)
西明石駅(兵庫県)
器も集めたくなる最新のコラボ版
しょうゆ味の炊き込みご飯に、真だこのうま煮やあなごなどをのせた兵庫の定番駅弁と兵庫県警のコラボバージョン。
「パトカーを思わせる白黒の特別仕様の陶器がユニーク。『間違いのない美味しさ×遊び心』が楽しい」。
★異色のコラボが続々! 進化し続けるひっぱりだこ飯
兵庫を代表する駅弁「ひっぱりだこ飯」は、1998年に明石海峡大橋開通を記念して作られたものだが、ここから派生して多くの商品が登場。
「コラボの幅が広く、最近は兵庫県警や海上保安庁といった意外なコラボも。器のデザインに加え、『さかなクンひっぱりだこ飯』には、たいの塩焼きやたい形のにんじん煮を盛りつけるなどの工夫も。新作を常にチェックしたくなる」。容器にぴたりとおさまる蓋(【1】500円)も別途販売されており、マニア心がくすぐられる。
【2】ひっぱりだこ飯(1250円)
【3】金色のひっぱりだこ飯(1500円)。ひっぱりだこ飯の累計生産1000万個突破記念弁当。銀色もある。
【4】さかなクンひっぱりだこ飯(1600円)。さかなクンのトレードマーク・ハコフグ帽をモチーフにしたオリジナル陶器。(淡路屋オンラインショップで購入可)
ほたて街道道中めし / 1290円(母恋めし本舗)
母恋(ぼこい)駅 (北海道)
1つずつの真空パックがうれしい
北寄貝のおにぎりで有名な「母恋めし」の姉妹品で、こちらは焼き目をつけたバターしょうゆ風味の帆立が入ったおにぎり。
「卵の燻製、燻製チーズなどもすべて手作りで、完売必至の人気駅弁です」。
SL大樹日光埋蔵金弁当プレミアム / 3000円(日光鱒鮨本舗)
東武日光駅(栃木県)
黄金のSL大樹と日光鱒寿しのコラボ
「ます、生湯葉、酢飯を重ねた上品な味わいの『日光鱒寿し』がSL大樹に搭載された駅弁は、石炭スコップ形のスプーン、日本刀を模したナイフなど小物も楽しい」。
昨年完売した人気駅弁だが、黒のSLは限定2400個で復活。写真の新作・金のSLは限定1200個。
【冷凍便】あったかおうち駅弁3種×各2食セット 5960円<送料別>(まねき食品)
姫路駅(兵庫県)
煮あなごと焼きあなごをのせた「あなごめし」、色とりどりのおかずが楽しめる「おかめ弁当」、すき焼き風の牛肉をのせた「但馬牛牛めし」の3種類のセット。
★姫路駅の人気駅弁を自宅で冷凍駅弁★
電子レンジで温めるだけで、作り立てと同じ味がいつでもどこでも楽しめる冷凍駅弁が登場。
「ご飯もおかずも、駅で買ったものと遜色なし」。(まねき食品オンラインショップで購入可)
いまどきの新作駅弁5選
昔ながらや老舗の駅弁の他にも、新しい駅弁がどんどん誕生している。旅行ジャーナリストの小林しのぶさんと、駅弁ライター望月崇史さんの2人にいまどきの新作駅弁を5つ教えてもらった。
※原稿内の(小)は小林さん、(望)は望月さんのコメント。
【1】盛岡じゃじゃ麺と牛めし弁当 / 1500円(斎藤松月堂)
一ノ関駅(岩手県)
盛岡名物じゃじゃ麺がお弁当に
盛岡三大麺の1つで、ピリ辛の肉みそが特徴のじゃじゃ麺と牛めしの盛り合わせ。加熱式容器で温めるとよりおいしくいただける。
「自家製の肉みそが太麺と絡み、味わい深い」(望)
【2】うずみいなり / 1200円(浜吉)
福山駅(広島県)
福山名物をいなりずしにアレンジ
2022年の福山城築城400年を記念して誕生した新作。「うずみとは、具をご飯の下に埋めて食べる福山の郷土料理のこと。ぜいたくを秘かに楽しむこの料理をヒントにした駅弁です」(望)
【3】家康公の駿河御膳 / 2000円(東海軒)
静岡駅(静岡県)
葵の御紋のりは個包装でパリっと
NHK大河ドラマ『どうする家康』の放送に合わせて開発された高級駅弁。「茄子みそ、鯛の切り身、安倍川もちなど、家康公の好きなものが詰め込まれています」(望)
【4】三種の神器弁当 / 900円(札幌駅立売商会)
札幌駅(北海道)
お弁当の定番おかずが主役
幕の内弁当の三種の神器と呼ばれる“焼き魚” “蒲鉾” “玉子焼”がメイン。
「三種のおかずがそれぞれ大きくて、これまでありそうでなかったお弁当です」(小)
【5】黄ニラあなごめしと岡山づくし / 1580円(三好野本店)
岡山駅(岡山県)
岡山の旨いもんをギュッと凝縮!
岡山名産の黄ニラを添えた焼き穴子と煮穴子の穴子めし、黒毛和牛・千屋牛など、岡山自慢の旨いもんが一堂に会した新作。
「黄ニラと穴子が合うのが驚きでした」(望)
教えてくれた人
小林しのぶさん / 旅行ジャーナリスト
駅弁の食べ歩きは30年以上に及び、食べた駅弁の数は現在1万食以上に。“駅弁の女王”の異名を持つ。
望月崇史さんすら駅弁ライター 望月崇史さん
放送作家、ライター。全国の駅弁食べ歩き歴20年。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」で駅弁のウェブ記事を連載中。
撮影/浅野剛、小原亮二 取材・文/北武司、山下和恵、正木友実子、勅使河原桜
※女性セブン2023年7月27日号
https://josei7.com/
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