日本全国”ご当地”おにぎり20選|あなたの故郷のおにぎりは何ですか?
農作業や漁のお供に重宝されてきたおにぎりは、その土地ならではの特徴を活かして独自に進化。各地で愛され続けるご当地おにぎりは、地域によって形や具に個性が。その土地ならではのご当地おにぎりを、料理研究家の渡辺あきこさんに再現してもらった。家で作ってみませんか?
目次
「三角型にのり」だけがおにぎりじゃない!
「コンビニおにぎりの影響もありいまは三角型が当たり前になっていますが、形にも地域色があります」と教えてくれたのは、料理研究家の渡辺あきこさん。
のりも昔はぜいたく品だったため、おにぎりに使えたのは生産地や商業の中心地のみ。北海道の昆布は、江戸時代に北前船で大阪に運んだのをきっかけに、中継地点の富山などにも食べ方を変えながら広まったという。
「おにぎりには日本の食文化の歴史も詰まっているんですよ」
青森、北海道など北日本は円盤型が主流
■北海道:「コーンバターおにぎり」
形:円盤型 包むもの:-
香ばしくて甘いコーンにファン急増中。北海道の「コーンバターおにぎり」は、とうもろこしの炊き込みご飯を握り、焼きおにぎりに。仕上げにバターとしょうゆをのせて軽く焼く。ホカホカおにぎりが北海道の定番。
■青森県:「筋子おにぎり」
形:円盤型 包むもの:のり
赤く輝く海の宝石、筋子は自家製が定番。円盤型に握ったご飯に塩漬けの筋子をのせ、のりで巻く。地元では、筋子をしょうゆやみそなど様々な味で漬けている。
■山形県:「弁慶飯」
形:円盤型 包むもの:青菜漬け
青菜(せいさい)が弁慶の袈裟(けさ)、みそが赤ら顔と伝わる「弁慶飯」。握ったご飯の両面にみそを塗り、山形名物の青菜(せいさい)漬けを巻いたら香ばしく焼く。青菜は青じそで代用しても。
■新潟県:「けんさ焼き」
形:円盤型 包むもの:-
歴史に名を残す伝説のおにぎり「けんさ焼き」。みそ・おろししょうが・砂糖の合わせだれを塗った焼きおにぎり。上杉謙信が剣先に刺して焼いたといわれている。
■長野県:「小梅おにぎり」
形:円盤型 包むもの:-
No.1生産地の梅干しは小梅が常識。刻んだカリカリ小梅をご飯に混ぜ、丸く握る。小梅の生産量日本一で、長野で梅干しおにぎりといえばコレ!
静岡、愛知…海沿いはのりで包む傾向が
■東京都:「おかかおにぎり」
形:三角型 包むもの:のり
かつおぶしをしょうゆとみりんで味付けた「おかかおにぎり」。かつおぶしをだしに限らず具材として使ったのは、全国からの流通が多かったため。
■静岡県:「かつおの角煮おにぎり」
形:三角型 包むもの:のり
獲れたてのかつおを甘辛く味付け保存食として親しまれる。具のかつおやまぐろの角煮は、地元ではポピュラー。しょうゆと砂糖、しょうがで煮た甘辛い味付けに。
■愛知県:「天むす」
形:三角型 包むもの:のり
小ぶりな手土産が愛知から全国に広まった「天むす」。めんつゆと水で溶いた小麦粉を衣にして小えびを揚げ、ご飯と握る。三重発祥の名古屋名物。
富山、福井など北陸はまんまる!
■富山県:「とろろ昆布おにぎり」
形:ボール型 包むもの:とろろ昆布
富山が消費量日本一のとろろ昆布で包んだおにぎり。梅干しを握り、のりではなくとろろ昆布をまぶす。北海道と大阪を結ぶ北前船の航路だったため昆布が流通し、消費量も日本一に。
■福井県:「きな粉まぶしおにぎり」
形:ボール型 包むもの:きな粉
福井ではきな粉をおやつではなく食事にも使う。大豆がよく採れたので、きな粉をまぶした。味付けは塩が基本だが、好みで砂糖を使う家庭もある。
大阪、京都など近畿は俵型が一般的
■大阪府:「昆布の佃煮おにぎり」
形:俵型 包むもの:-
北前船にのせられた昆布が食卓の定番に。昆布の佃煮か塩昆布をご飯に混ぜ、握る。北前船の終着地だったため、富山同様に昆布文化が広まった。
■京都府:「ちりめん山椒おにぎり」
形:俵型 包むもの:-
雅な花街で生まれた名物を混ぜ、小ぶりに品よく。花街発祥と伝わるちりめん山椒。おちょぼ口に合うよう小さめに握ったといわれている。
■和歌山県:「めはりずし」
形:俵型 包むもの:高菜漬け
熊野古道の旅路にも欠かせないソウルフード。“目を見張る”ほど口を開けて食べたことに由来。高菜でご飯を包み、具は高菜や梅干し。熊野地方に広がる。
■滋賀県:「しじみの佃煮おにぎり」
形:三角型 包むもの:高菜漬け
滋養強壮に琵琶湖の恵みをたっぷり。しじみの佃煮をご飯に混ぜて握る。かつて琵琶湖でしじみが豊富に獲れたことから、島根と同様に広まった。
中国・四国地方は海産物で…
■山口県:「わかめおにぎり」
形:三角型 包むもの:-
乾燥させたわかめがご飯の蒸気でしっとりに。わかめご飯の素をご飯に混ぜて握る。県内でも日本海側はわかめの名産地。乾燥させて炙り、粉砕したものがご飯のお供に。
■香川県:「鯛飯おにぎり」
形:三角型 包むもの:-
豊富な漁獲量を誇る鯛をぜいたくに握る。鯛と昆布、酒、しょうゆを入れて作った炊き込みご飯を握る。鯛は瀬戸内海で漁獲量が多く、周辺の県でもおなじみ。
福岡、宮崎など九州地方は個性派揃い
福岡県:「かしわおにぎり」
形:三角型 包むもの:-
ごぼうのだしが染みた鶏の炊き込みご飯。鶏肉やごぼうを入れた炊き込みご飯を握る。九州北部で鶏肉は“かしわ”と呼ばれている。駅弁がきっかけで全国区の人気おにぎりに。
■熊本県:「高菜おにぎり」
形:三角型 包むもの:-
独特の酸味とコクがクセになる漬物料理。みじん切りにした高菜漬けを油としょうゆで炒め、ご飯に混ぜて握る。地元では、阿蘇地方で作られる“阿蘇高菜”が有名。
■宮崎県:「肉巻きおにぎり」
形:円盤型 包むもの:肉
畜産王国ならではのパワフルなおにぎり。ご飯を硬く握って豚か牛肉の薄切り肉を巻き、焼く。しょうゆ、みりん、砂糖、水を煮詰めたたれを絡める。
■沖縄県:「ポーク卵おにぎり」
形:四角型 包むもの:のり
ハムエッグに代わる朝食の定番。スパムを香ばしく焼き、やや甘めの卵焼きを重ねて、のり巻きのようにご飯と包む。地元ではスーパーにも並ぶ定番おにぎり。
教えてくれた人
料理研究家 渡辺あきこさん
和食を中心に、家庭料理のレシピを国内外にテレビ等で発信。また、日本各地を訪ね、郷土料理を通して食文化の研究も行っている。
撮影/安井真喜子
※女性セブン2020年10月15日号
https://josei7.com/