【腰痛改善】今日からスタート!「毎日“ちょこっと”運動」をイラストで解説
腰痛は今や国民病というべきほどで、腰にまったく痛みを覚えたことのない人は少ないだろう。
常日頃から酷使している腰や下半身は加齢とともに不具合を起こしやすい。「年だから…」とあきらめず、痛みと向き合ってみよう。
痛みを軽減するには、腰に負担のかからない正しい姿勢を身につけるだけでなく、腰を守ってくれる筋肉をつけるための運動が不可欠。毎日、”ちょっこっと”できる運動を平和病院副院長で、脊柱外科・横浜脊柱脊髄センター長の田村睦弘先生に教えてもらった。
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「運動によるセルフケアは“自分の体に対する意識”が育てられ、体の使い方が上手になります。例えば、腹筋運動をすることで日常的に腹圧の存在を意識することができます。立つ・座るなどの動作で腹筋を上手に使えるようになり、正しい姿勢を保ちやすくなります。さらに、運動をすることで自分の体がどう動いているのか、体がかたい部分はどこか、筋肉がついてきたかどうかなど、自分の体を知るきっかけにもなるでしょう」(田村さん、以下「」同)
ハードな筋トレは必要ない。坐骨神経痛の痛みが原因でこわばっている筋肉をゆるめ、血行を改善するストレッチなど軽度な体操からはじめるだけでいいと田村さんは言う。
「ストレッチにより股関節やひざの可動域が広がれば、座りやすく立ちやすくもなります。腹筋も、腰に負担がかからないように、力を入れて筋肉を意識するだけでかまいません。体操中に坐骨神経痛の症状が出ている部位が痛くならない程度に、楽しみながら行いましょう」
腹圧を高める目覚めの腹式呼吸
腹式呼吸で腰の緊張をゆるめ、腹圧を高められる呼吸法。朝起きてからすぐにできるので、毎日の習慣として取り入れやすい。
両ひざを立て、4秒数えながら鼻から息を吸ってお腹を膨らませる。8秒数えながら口から細く長く息を吐いてお腹をへこませる動作を5回繰り返す。へそ下に力が入るのを感じること。
●朝起きたら5回繰り返す
筋肉を伸ばす ひざ引き寄せ+ひざ裏伸ばし体操
布団から起き上がる前に、寝ている間にこわばってしまった筋肉をゆるめる体操。片脚ずつ丁寧に動かしていくと、脚まわりの血行がよくなる。
【1】
両ひざを立てた姿勢から、片脚のひざ裏を両手で抱える。ひざを胸にゆっくり引き寄せて20秒キープ。
【2】
ひざ裏が痛気持ちいいところまで伸ばして20秒。お尻や太もも裏につっぱりを感じながら1~2回伸ばす。
●朝起きたら左右1~2回ずつ
股関節を伸ばす股関節開き体操
腰痛改善のためにやっておきたい股関節のストレッチ。痛みがあればムリをせず、股関節まわりを気持ちよくほぐすぐらいでOK。
あおむけで片ひざを立て、息を吐きながらゆっくりと外側に倒し、力を抜いて20秒キープ。体がかたい人は、脚が倒れる位置にクッションや座布団を置くと楽にできる。
●朝起きたら左右1回ずつ
歩くための準備運動 ひざ引き寄せ体操
腰を支える骨盤筋や股関節、脚などを動かして歩きやすくするための、お出かけ前の準備体操。椅子を使って片脚ずつ行う。
【1】
椅子の背もたれに仙骨をつけて深く座る。片脚のすねを両手で抱えるようにして、ひざを胸に引き寄せる。足裏はしっかりと床につけて。
【2】
ひざを胸にゆっくりと引き寄せ、おへそをのぞき込むようにして20秒キープ。背中も自然と伸びる。
●出かける前に左右1回ずつ
筋力アップ1 おへそのぞき体操
1日おきに行うだけでも、日常のちょっとした動きが楽になる筋トレ。「首が痛む人、めまいを起こす人は行わないでください」。
両ひざを立て、おへそに両手を重ねる。肩甲骨を床につけ、息を吐きながらおへそをのぞき込むようにして上体を起こす。みぞおちを引っ込めることを意識して5秒キープを5~10回繰り返す。
●1日おきに1セット5~10回
筋力アップ2 お尻浮かし体操
太ももやお尻、背中、腹筋など広い範囲に効く体操。1日おきに続けることで筋力が徐々にアップし、腰の悩みが改善する。
両ひざを立て、息を吐きながらお尻を浮かせて背中を床から離していく。両手のひらで床をしっかり支え、背中がもっとも上がったところでお尻をキュッとしめて5秒キープを5~10回繰り返す。
●1日おきに1セット5~10回
教えてくれたのは…
田村睦弘さん/医療法人平和会平和病院副院長、脊椎外科・横浜脊椎脊髄病センター長。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。主な著書は『徹底対策シリーズ 坐骨神経痛を自分で治す4週間プログラム』、『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(共に主婦の友社)、『女性のつらい坐骨神経痛はこうして改善する!』(PHP研究所)。
イラスト/成瀬瞳