1週間だけ徹底的に減塩する【反復1週間減塩法】を成功させる食事の鉄則
万病のもととなる塩分を減らしたい…、でもなかなか難しい減塩対策。そこでご紹介するのが、”ミスター血圧”こと東京女子医科大学東医療センター元内科教授の渡辺尚彦さんが考案した「反復1週間減塩法」だ。
これは、1週間だけ徹底的に減塩し、その後、それまでの食事に戻るという方法。ただし、減塩期間の1週間は1日5g未満の塩分量にする。
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1週間だけのがまんとはいえ、慣れ親しんだ味を突然変えるのはきつい。ところが、ちょっとした工夫で、薄味でもおいしく感じられるようになるという。
おいしく、無理なく塩分量を減らすための12の具体策を活用し、楽しみながら減塩しましょう!
【1】食品成分表示の塩分量を 必ずチェックする習慣をつける
日本では食品表示法により、加工食品には、栄養成分(炭水化物、たんぱく質、脂質、食塩相当量かナトリウム量)と熱量(カロリー)の表示が義務づけられている。
「せっかく表示されているのですから、塩分量をチェックする習慣をつけましょう。意外なところでは、牛乳にも塩分が入っています。味覚が繊細になってくると、牛乳にしょっぱさを感じられるようになります。また、同量のさばの缶詰でも、メーカーによって塩分量が異なりますから、値段で比較するのではなく、塩分量の少ない商品を優先的に選びましょう」(渡辺さん・以下同)
【2】朝食はフルーツグラノーラを。 1食分の塩分量0.2gの理想食
朝は血圧を上げるホルモン・レニンやアルドステロンが一気に出るため、朝食では特に減塩を意識しよう。なかでも、おすすめはフルーツグラノーラ。
「私も毎朝食べています。1食分の塩分はわずか0.2g。足りなければ、牛乳、ヨーグルト、バナナなどのフルーツを足しましょう。合わせても、塩分は0.5g程度です」
【3】外食はもちろん、 塩気の多い加工食品は避けよう
「私が独自に行った外食での塩分摂取量の調査によると、外食の味が濃いと感じる人の1日の塩分摂取量は約7gでした。外食がおいしくないと感じられれば、減塩は成功しているといえます」 減塩の近道は外食を避けることにある。また、塩、みそ、ソースなどの塩分を含む調味料をはじめ、塩気の強い加工食品であるハム、ソーセージ、干物、練り製品、漬物なども摂らないこと。 「目に入るところに置く調味料は、塩やしょうゆではなく、酢や七味唐辛子に変えましょう。どうしてもしょうゆを使いたい場合は、霧吹きのようなスプレータイプのボトルに入れ、食材に吹きかけて使いましょう」
【4】降圧効果にすぐれた 豆類を食事に取り入れよう!
減塩生活中におすすめしたい豆類は、納豆。塩分を尿で排出してくれるカリウム、血中コレステロールを改善する食物繊維、血液をサラサラにするナットウキナーゼが含まれるからだ。
「ただし、納豆に付属しているタレには塩分が多いので使用はNG。代わりに酢を使いましょう。酢にも降圧作用があるので、納豆にかけるとW効果になります」
また、枝豆やピーナッツにも血圧を下げる働きがある。「枝豆は、塩ゆでやゆでた後のふり塩は避けること。ピーナッツも塩分量の多いバターピーナッツはダメ。渋皮に含まれるポリフェノールに降圧作用があるので、皮つきでいただきましょう」
【5】刺身はわさびだけで食べると 鮮度とおいしさがわかるように
減塩生活中、刺身はしょうゆではなく、わさびだけで食べるので、魚の臭みがごまかせなくなり、食材本来の味がよくわかるようになる。
「減塩生活を続けると舌が敏感になり、酸化した魚の脂を感じやすくなります。その結果、安い刺身などは生臭くて食べられなくなったという患者さんも多いですね」
【6】だしは数種類を合わせて うま味を倍増させる
かつおだしは、昆布だしと合わせて使った方が、アミノ酸が倍になるため、奥行きのある味わいに。だしは複数をブレンドして使おう。
また、かつおだしの場合、芳醇な香りを持つ一番だしに対し、二番だしはしっかりしたうま味が特長。料理に合わせて使い分けて。インスタントのだしには塩分が多く入っているので使用はNG。
【7】メイン調味料として 味の種類が豊富な 酢や柑橘類を活用
米酢、りんご酢、バルサミコ酢、黒酢…。種類も豊富で、和洋中の料理を問わずに使えるのが酢。また、レモン、ゆず、かぼすなどの柑橘類は、味だけでなく、香りや季節感も楽しめる。これらは、減塩生活では欠かせない調味料だ。
「一口に酢といっても、種類はさまざま。味にメリハリをつけるものもあれば、風味を豊かにするものもある。料理や好みに合わせて使い分けましょう。患者さんの中には、好みの"マイ酢"を持ち歩き、外食時に活用している人も」
【8】華やかな彩り、 さまざまな食感で 食べる楽しみを増やす
減塩料理には彩りも重要。見た目が華やかだと、脳に"この料理はおいしい"と伝達され、食べた時、よりおいしく感じられるからだ。また、食感も工夫をすれば食べる楽しみが増す。たとえばサラダ。なるべく複数の野菜を使い、切り方や調理法を変えて下処理をしよう。
「酢の物を作る際、下処理としてきゅうりやにんじんなどを塩もみするが、減塩中は塩の代わりに砂糖で行いましょう。塩と同様の脱水効果があり、減塩になります」
【9】麺類やおでんの汁は 塩分がたっぷり。 飲んだらアウト!
「練り製品や昆布など、おでんの具材はどれも塩分が多い。食材から溶け出した塩分で、汁の塩分濃度も高くなっています。ラーメンやそば、うどんの汁も同様。残すのが正解です」
塩分の多い具材は、一度水煮して塩気を出してから、ほかの具材と煮よう。
【10】香辛料には、塩分を 尿と一緒に排出する カリウムが豊富
大葉、みょうが、ねぎ、しょうがなどの香味野菜や、スパイスやハーブなどの香辛料は、料理の風味を上げてくれる。
「特に香辛料には、尿と一緒に塩分を排出するカリウムが含まれています。おいしさをアップするだけでなく、減塩効果も高められ一石二鳥」
【11】香りや風味は 焼いたり揚げると プラスされる
食材を焼いたり揚げたりすると、香ばしさや、揚げ油のうま味が加わって、食材の味が引き立つ。特に、肉は普通に焼くよりも、外側をカリッと焼いた方が、食感と香りが楽しめる。
「ステーキに塩を振らずに焼くと、味がぼやけておいしくありません。ところが、表面をカリカリに焼いてから、こしょうとにんにくをたっぷりかけると、香ばしさが出て、薄味がカバーされます。魚や肉の煮物も同様。香ばしく焼いてから煮ると、味に深みが出ますよ」
【12】うま味の強い食材を ミックスして 薄味をカバー!
薄味を補うには、うま味成分たっぷりの食材を活用しよう。うま味には、肉や魚などの動物性食品に含まれるイノシン酸、きのこ類に豊富なグアニル酸、昆布、チーズ、干ししいたけをはじめ、多くの野菜、豆、肉、魚、しょうゆやみそに含まれるグルタミン酸、貝類が持つコハク酸などがある。
「うま味成分を持つ食材をミックスすれば味が複雑になり、物足りなさを軽減できます。さらに、唐辛子やラー油などの辛味を加えれば、味にアクセントがつきます」
覚えておきたい!調味料別「塩分早わかり」一覧
普段よく使う調味料の塩分量って知っていますか? 意外と少ないのがケチャップ、マヨネーズ。基本を知って上手に使い分けよう
精製塩: 塩分 5.9g
粗塩 小さじ1(5g): 塩分 4.8 g
濃口しょうゆ :塩分 0.9 g
薄口しょうゆ: 塩分 1g
減塩しょうゆ :塩分 0.5 g
めんつゆ (3倍濃縮): 塩分 0.6 g
米みそ: 塩分 0.8 g
減塩みそ: 塩分 0.6 g
ぽん酢しょうゆ: 塩分 0.3 g
マヨネーズ 小さじ1(4g):塩分 0.1 g
トマトケチャップ 小さじ1(5g):塩分 0.2 g
ウースターソース :塩分 0.5 g
※特記以外の分量は小さじ1(6g)。
イラスト/尾代ゆうこ
教えてくれたのはこの人
渡辺尚彦さん/ 東京女子医科大学 東医療センター元内科教授 。医学博士。愛知医科大学・早稲田大学客員教授、日本歯科大学病院臨床教授。専門は高血圧を中心とした循環器病。主な著書に『血圧を下げる最強の方法』(アスコム)、『血管いきいき! 減塩の基本』(宝島社)などがある。
※女性セブン2018年12月20日号
●1週間塩分を摂らない【新減塩法】で今度こそ失敗しない! "ミスター血圧"の名医考案