猫が母になつきません 第336話「ねどこ」
猫という名前の由来は「寝る子」からという説もあるくらいよく寝る猫。そのせいか寝床にもこだわりがあって自分のベッドを掃除するように命令されたり、人間のベッドで寝ようとしたときに布団が乱れていようものなら叱られたり、いつも気を使います。母はあまりそういうことを気にする人ではないのですが、最近毎日のように布団を干すようになりました。布団だけでなくクッションやら座布団やらラグマットやら、そこら中にあるものをとにかく干す。これがなかなか面倒で、お天気がどんよりしていても干すので急に雨が降ったら大急ぎでとりこまなくてはならないし、母がとりこんだものはほとんど元の場所に戻らないので寝かせるとき寝床ができていなかったらまずは布団探しから。母は最近「何かしなきゃいけないことなかったかしら」が口癖ですが、母がどうしてもしなくちゃいけないことと言ったら歯磨きくらい。用事がないのでとりあえず布団を干すようになったのだろうと思います。そして昨日干しても忘れてしまうので今日も干す。のんびりすればいいのにと思いますが「しなきゃいけないこと」が何もないさみしさもわかるし運動にもなるのでとりあえず「干し放題」にしています。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。