猫が母になつきません 第329話「いってくる_その1」
ついにこんな日が…。その日は日曜で、母は近所の公民館に行ってくると言って家を出ました。しばらくして母のカバンにつけている紛失防止タグで居場所を確認すると随分遠くまで行っている。でも時々動きを確認していたら、帰途についているようだったので帰ってくるのを待っていると電話が鳴って「救急隊の者なんですけど」。もういろんな光景が次から次へと脳裏に浮かびました。「お母さんが駅で具合が悪くなって救急要請がありました」。母は駅のホームでめまいと吐き気で動けなくなってしまったということでした。「こちらに来られますか?搬送しますか?」「まだ嘔吐がありますか?」「あります」「搬送してください、私は病院に直接行きます」という会話があって搬送先を探してもらい、母は脳外科のある病院に搬送されることになりました。思えばこの連載が始まって7年ちょっとの間に私はすでに3回、母は今回初めて救急隊のお世話になるわけで…多すぎです。とにかく弟に連絡して妹にも伝えてくれるように言って、母の着替えなどを大急ぎでバッグに詰め、車に乗り込みました。つづく
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。