100円ショップの介護に役立つグッズ5選|失敗しない選び方を家事アドバイザーが指南
介護経験を持つ家事アドバイザーの矢野きくのさんは、「100円ショップは介護に使える商品の宝庫」と語る。しかし100円だからと適当に購入すると失敗してしまうことも。節約アドバイザーとしても活躍する矢野さんに、介護におすすめのグッズのほか、損しないための100円グッズの見分け方を教えてもらった。
介護で活用した100円グッズ
「実の祖母を在宅で介護をしていました。また、遠方に住む義理の両親が入院して要介護になたったとき、義理の兄夫婦が主に介護をしてくれていましたが、夫と私も折を見て通っていました。
そんな介護経験の中で役立ったのが100円グッズ。100円ショップには介護に役立つアイテムがいろいろあるんですよ」
こう語るのは、家事アドバイザーとして活躍する矢野きくのさんだ。シニア向けの家事のコツをメディアで発信するほか、節約アドバザーとして家事の効率化や省エネについても詳しい。そんな矢野さんに、介護をはじめ、シニアのためのお役立ち情報を発信いただく企画。今回のテーマは“100円ショップ”。矢野さんが提案する100円ショップの活用術とは。
介護に役立つおすすめ100円グッズ5選
100円ショップの情報は、私の仕事がら得意な範疇なので、介護に使える便利なグッズがあることは知っていました。遠距離介護のときに病院に持って行くと、義理の父母だけでなく、同じ病室の患者さんやご家族、看護師さんからも評判だったものがありました。それが、以下の5つの100円グッズです。※価格はすべて税込みで110円。
1.持ちやすい:うがい受け
うがいしたあとの吐き出しや、嘔吐のときに役立つうがい受け。持ち手がついているため、介護者が正面から使うときにも安定して受けることができます。
2.飲み残しても安心:ストローコップ
中央の穴にストローを入れて使えるコップになります。持ち手がついているのでこぼさず飲みやすいのも特徴。また上部にしっかりと閉まるキャップがついているため、飲み残しても安心です。
3.友人のお見舞いに持参:ストローキャップ
ペットボトルの口に使うストローつきのキャップです。本体にシリコンストローと、付属で1本一般的なストローがついています。
このグッズが役立つのは、ベッドに横になっているときもペットボトルの飲み物が飲めることです。コップだとどうしても起き上がらないと飲めませんが、このグッズを使うとこぼすことなく横になったままでも飲めるのです。
私は入院している友人のお見舞いにも必ずこのストローキャップを持って行くようにしています。
4.衣類の汚れ防止に:使い捨てエプロン
介護をするときの衣類の汚れ防止に役立ってくれるのが使い捨てエプロン。8枚入りなので気兼ねなく1回ずつ使い切りできます。着脱しやすいように正面の首元に切れ込みが入っているのも特徴です。
4.杖の置き場に困らない:杖ピタッと
杖をどこかに置きたいとき、立てかけるだけでは倒れてきてしまうことも。そんなときに役立つのが『杖ピタっと』。杖をはめ込めこんで使います。マグネットつきなので、病院でのベッド脇のスチール棚に貼り付けることもできますし、バーを引き上げれば机などに掛けておくこともできます。
損しない100円グッズの見分け方
たかが100円、されど100円。100円だからといって適当に買ってしまうと失敗してしまいます。100円ショップで買っていいもの、避けたほうがいいものの見分け方について考えてみたいと思います。
100円と聞くと「安かろう悪かろう」で商品の品質がよくないと心配される方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ここまで100円ショップが増えた背景には、商品を買った人が満足しているからという理由もあるでしょう。
とはいえ、これはちょっとおすすめできないグッズもあります。私もかつてやってしまった失敗経験から、避けたほうがいい100円グッズについて解説いたします。
100円グッズで避けたほうがいい4ジャンル
100円ショップで避けたほうがよい商品にはいくつか傾向があります。
1.色形を揃えたいもの
ファイルボックスを複数並べて収納に使いたい場合、同じものをあとから追加して色形を揃えたくても、在庫がない場合が多々あります。100円ショップの傾向として、その都度安く製造してくれるメーカーに発注することがあるので、同じ用途のものでも色形が頻繁に変わってしまう場合があります。みつけたらそのときに欲しい分の数を購入したほうがいいかもしれません。
2.耐久性が求められるパーツがあるもの
靴下やパンツのように商品の一部にゴムを使っているものなど、耐久性が求められるものはあまりおすすめできません。
私自身の経験ですが、「入院中に使うものだから、とりあえず100円ショップのものでいいか」と靴下を買ったことがあるのですが、数回使ってゴムが伸びてしまったことがあります。
3.包丁やハサミなどの刃物類
これは商品にもよりますが、全体的な傾向として刃物は一般的な商品よりも切れづらいものが多くあります。
以前、包丁を買ったことがありましたが、すぐに切れ味が悪くなり研いでも改善しなかったんです。切れ味の悪い包丁は怪我をする可能性もありますよね。
ただし、最近はクオリティの高いものも出てきているので「試しに買ってみる」くらいの気持ちで購入するのであればいいでしょう。
4.壊れやすいパーツがあるもの
蝶番(ちょうつがい)など、商品の一部に複雑で壊れやすいパーツがあるものは避けておいたほうが無難かもしれません。
薬箱用にプラスチック製の中の見えるボックスを購入して使っていたところ、蓋を開け締めしているうちに蝶番の部分が壊れてしまいました。とはいえ、サイズ感は薬箱としてちょうどいいので、また壊れるかもしれないと覚悟して(笑い)リピートして買っています。
100円グッズのおすすめは「少量使い切り」
100円ショップだからこそのおすすめの商品もあります。一般的な商品より“量”が少ないのも100円グッズの特徴のひとつ。
たとえば、七味唐辛子あど小瓶に入った調味料やスパイスが100円ショップには豊富に揃っています。スーパーなどで買うより断然安いのでおすすめ。調味量は、開封してから早めに使い切ったほうがいいので、少量を安く買い、状態がいいうちに使い切れば、お得というわけです。
また、接着剤なども少量使い切りの100円グッズとしておすすめです。
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かつて昭和の時代の100円ショップといえば、ファイルやプラスチック製の保存容器や整理ボックスなどが主たる商品でした。しかし平成、令和ときて、現在の100円ショップは、生活に関わるすべての商品が置いてあるといっていいほど取扱商品の幅が増えています。とくに「かゆいところに手が届く」便利なグッズが多いのも最近の100円ショップの特徴です。
100円グッズでちょっとした不便がラクになることもあります。介護のシーンにあわせて、ぜひ活用してみてくださいね。
執筆
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/