74才にして健診数値オールAの医師が教える血液をきれいにする食生活「加熱野菜と黒ごまを」
私たちの体内を流れる血液の量は、体重のおよそ1割を占めるといわれ、体重60kgの場合、5Lもの量が全身を巡っていることになる。その“血液の質”が健康を左右するという説が、いま大きな話題を集めている。検査にも数値にも表れない「血液の汚れ」を落とすための食生活を専門家に教えてもらった。
きれいな血を作るには和食がいい
がんから婦人病まで、全身を蝕む「血液の汚れ」を落とすためには、どんな対策が必要なのか。自然療法の名医として知られ、自身も74才にして健診数値オールAをたたき出すイシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)さんがまず推奨するのは、食生活の改善だ。
「血液は日々、口から入ってくる栄養素から構成されます。つまり、きれいな血を作るためには何をどう食べるかが肝要なのです」
石原さんがすすめるのは和食を積極的に取り入れることだ。
「欧米型の食事は脂肪やコレステロールが高く、血液を汚すものが多い。実際にアメリカはそのことを問題視し、1970年代後半から国を挙げて食事内容の改善に取り組んでいます。穀類、野菜、魚などをしっかり摂り、牛乳、肉、バターなどを減らした結果、2011年には心筋梗塞による死亡者が58%、がんの死亡者を17%まで減らすことができた。日本が欧米と比べてコロナの罹患数、死亡者数が少ないのは、和食のおかげだという説もあります」
野菜は生ではなく、加熱調理を
和食の中でも積極的に摂るべき食材として、石原さんは根菜類を推奨する。
「東洋医学において、土に根を張る根菜類は体を温め、血を浄化するといわれています。ごぼうやにんじん、れんこん、山いもなどをしっかり食べてほしい。なかでもごぼうに含まれる『アルギニン』は女性ホルモンの分泌を促してくれるため、婦人科系の不調にも効果的です」
根菜類とともに食卓にのせたいのは血管拡張効果や血流改善効果を持つ野菜だ。
「玉ねぎやにら、にんにくが含有するアリシンや、セロリに含まれるピラジンには血管拡張効果があります。また、ほうれん草のクロロフィルは血流の改善が見込めます。食べるときのポイントは、生野菜を避けること。日本人は古くから野菜には火を通して食べてきたため、生のまま摂取するとうまく消化できない人が多いうえ、生野菜は体を冷やします。セロリは炒め物やスープとして、ほうれん草はおひたしとしてなど、調理することを心がけてください」
滋養強壮効果がある黒ごまも、調味料として常備しておきたい。
「黒ごまは漢方の世界において、血をきれいにする薬として用いられてきました。たんぱく質や糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な言わば完全栄養食。抗酸化作用のあるセサミンも含まれています。黒ごまを自然の塩と炒めた『黒ごま塩』をご飯にかけて食べるのは手軽に始められるのでおすすめです。市販のものでもかまいません」
体に良い食材も食べすぎに要注意
野菜と黒ごまを駆使して、血液の汚れを落とす食生活を心がけたいが、食べすぎには要注意だ。
「必要以上の栄養は、血液を汚します。特に現代人は圧倒的に食べすぎの人が多い。1日3食しっかり食べても体を動かしているなら問題ありませんが、そうでないのなら朝は野菜ジュースなどで済ませ、固形物を摂らない半日断食がおすすめです。昼はうどんやそばなど消化がいい軽めの食事にして、夜は和食で好きなものを腹八分目まで食べる。日中にたくさん食べてしまえば消化のために胃腸に血がたまり、脳や手足の血流が悪くなります」
実際に石原さんのもとを訪れた患者の多くが、食事内容を改めたことによって不調が改善されている。
「特に印象に残っているのは、生理不順と不妊に悩んで来院した30代後半の女性患者です。歯茎が紫色で、顔も真っ赤で、一目見ただけで血流が滞っていることがわかりました。朝はにんじん2本とりんご1個をジューサーにかけたジュースのみ、昼はそばやうどん、夜は和食中心の食生活に変えてもらい、1日2~3回はすりおろしたしょうがと黒砂糖を入れた『しょうが紅茶』を飲んでもらったところ、数か月で生理不順がなくなり、半年後に妊娠しました」
■血液の汚れを落とす食材リスト
●根菜類
東洋医学において、土に根を張る根菜類は体を温め、血を浄化するといわれている。特にごぼうに含まれる『アルギニン』は女性ホルモンの分泌を促してくれるため、婦人科系の不調にも効果が期待できる。
●玉ねぎ、にら、にんにく、セロリ
玉ねぎやにら、にんにくが含有する『アリシン』や、セロリが含む『ピラジン』は血管拡張効果を持っている。
●ほうれん草
ふんだんに含有する『クロロフィル』には血流改善効果が。
●黒ごま
漢方の世界において、血をきれいにする薬として用いられてきており、たんぱく質や糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な完全栄養食。抗酸化作用のある『セサミン』も含まれている。
教えてくれた人
石原結實(ゆうみ)さん
イシハラクリニック院長。自然療法の名医として知られる石原さん。生島ヒロシさんとの共著『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(青春新書インテリジェンス)には血液の汚れを落とす方法ほか、健康長寿のヒントが満載。
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2022年4月21日号
https://josei7.com/
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