豊富なメニューや毎週の行事食!食事が充実している高齢者向けの住まい【まとめ】
オープン間近の話題の施設や地域で評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」。
高齢者施設で入居者の健康の基礎として重要な役割を果たしている食事。また、日々の生活の大きな楽しみとしている入居者も多い。食事がどうしても口に合わないために転居したという話があるくらい生活の質を大きく左右する。今回は過去に紹介した中から食事に力を入れている施設をピックアップした。
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30種類以上のメニューが用意され、和食、洋食、中華を自由に選択できる「サクラビア成城」
都心近郊の閑静な住宅地として不動の人気を誇る成城に、3000坪にも及ぶ敷地を有する豪華な介護付き有料老人ホームがある。森ビルとセコムが共同出資する株式会社「プライムステージ」が運営する「サクラビア成城」は、四季を感じさせる樹木と共に静かに時を重ねてきた。
「フィレステーキ」「野菜の天婦羅盛り合わせ」「お刺身盛り合わせ」。リゾートホテルのメニューと見紛うような料理は、サクラビア成城で毎日味わうことのできるものだ。30種類以上のメニューが用意され、和食、洋食、中華を自由に選択できる。
食事は予約制ではなく、メニューにあるものを自由に選ぶことができる。飽きがこないように日替わり・週替わりのメニューがあり、さらに季節に合わせた特選メニューを選ぶこともできる。高齢者向けの施設では、その日の食事内容は決まっていることが多いが、ここではレストランで食事をするのと変わらない。1週間後に食べたいものを予約するのではなく、その日その時に食べたいものを食べられるので、食事に縛られない生活を送ることができる。全てのメニューにカロリーと塩分が表示されており、自分で健康管理をするための目安にもなっている。ちなみに豪華客船の『飛鳥』に乗っていたシェフが腕をふるっているそうだ。
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自分でご飯、汁物をよそう楽しみのある「ドーミー亀有Levi」
昔から変わらぬ商店街や大規模な商業施設があり暮らしやすい亀有の街。株式会社「共立メンテナンス」が運営するドーミーシニアシリーズのサービス付き高齢者向け住宅「ドーミー亀有Levi」はJR常磐線亀有駅から徒歩12分、小学校や保育園にも程近い落ち着いた住宅街に2016年4月に開設された。
共立メンテナンスは元々、食から始まった会社だ。メニュー開発は本社の専門部署で行っており、いくつものチェックをクリアしたメニューが提供されているという。
ここではその日の食欲、体調に合わせて自分でご飯、汁物をよそうことができる。これは自立のための機能維持、向上のための仕組みでもある。自立のために必要な体の機能が衰えないような工夫、仕組みを日常生活に取り入れている。至れり尽くせりの環境ではなく、食事の際に入居者自身がご飯をよそうようにしているのもその一つだ。
日々の食事は3つの方針
1:玄米や雑穀米の導入
2:発酵食品、大豆及び大豆製品、青魚の多用
3:緑黄色野菜や根菜、きのこ、海藻のバランスよい導入
のもと、本来の日本食を意識して作られている。
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→リハビリと食事が充実したサービス付き高齢者向け住宅<後編>を読む
”お客様を内側から強くする食事”がテーマの「アルタクラッセ二子玉川」
人気の街として人を引き付けている二子玉川。住宅地として、ショッピングエリアとして、仕事場として多くの人が集まる。その二子玉川に「アルタクラッセ二子玉川」がある。「アルタクラッセ」とはイタリア語で「最高クラス」という意味だ。1983年に訪問入浴サービスとして創業し、30年以上にわたって訪問介護などの在宅介護サービスを中心に事業を拡大している株式会社「セントケア・ホールディング」がその長い歴史と豊かな経験を活かしてつくった。
こちらも食事に力を入れている施設だ。テーマは「お客様を内側から強くする食事」。高齢者にとっての食事は生活の質(QOL:Quality Of Life)の維持・向上という点でも重要だ。口から食事ができなくなったことをきっかけに体力を落としてしまうことも多い。アルタクラッセ二子玉川では、入居者の家族とスタッフが集まって話す機会を年に2回作っている。食事についてもそこで情報共有をし、入居者の好みや状態に合わせる努力を続けているという。
日々の基本的なメニューは決まっているが、入居者の状態に合わせて柔軟に差し替えているとのこと。例えば、バナナジュースを自宅で毎朝飲むのが日課だった入居者に個別で作って出していたという。
また、毎日毎食、管理栄養士をはじめ食事を作ったスタッフが、入居者の食事状況を確認しているという。入居者とも積極的に会話をしており、食材の硬さや味付けのフィードバックをもらっているそうだ。さらに調理に携わっているスタッフ同士で「これぐらいの大きさにしたら食べられる」など入居者の情報共有をしている。
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行事食が月に4、5回もある「浅草ケアパークそよ風」
介護付有料老人ホーム「浅草ケアパークそよ風」は、下町の人情味があふれる浅草にある。浅草寺、雷門、浅草花やしきなども近隣にあり、情緒豊かなやさしい街だ。建物は活気あふれるかっぱ橋道具街通りに面していて、浅草の街に映える和モダンな外観のため、外国人観光客がホテルと間違えて入ってくることもあるという。
そら豆ご飯、お吸い物、鰆の菜種焼き、山菜の天麩羅3種(タラの芽、姫筍、こごみ)、山うどの木の芽和え、茶碗蒸し、季節の果物。これはどこかの料亭のメニューではない。浅草ケアパークよそ風の春御膳のお品書きだ。
こちらの入居者の中には、見学時に試食した食事がおいしかったことが選ぶ決め手になった人も多いという。実際、高齢者向けの施設で食事に力を入れている話はよく聞く。しかし、ここ浅草ケアパークそよ風のように行事食が月に4、5回もあるところは少ない。
例えば4月の行事食の予定表には、1日昼食「花見御膳」、8日昼食「花祭り」、15日昼食「誕生日会」、21日昼食「誕生日会」、25日昼食「美食まつり」と行事食が週に一度のペースであるのだ。もちろん毎回メニューは違う。例えば、花祭りのメニューは「桜海老の炊き込みご飯、すまし汁、天麩羅盛り合わせ、春の炊き合わせ、白滝のたらこ和え、フルーツ」。美食まつりは「うなぎと山菜ご飯、味噌汁、桜海老のかき揚げ、茶碗蒸し、春キャベツの中華和え、いちごムース」と春を楽しめるメニューが満載だ。
入居者に食事を楽しんでもらうための工夫はこれだけではない。器も樹脂やプラスチックではなく陶器にして、料理は手作り、出来たてにこだわっている。また、昼食前に介護スタッフか看護師が口腔体操を実施している。口腔体操で口や舌周りの筋肉を動かすことによって、唾液が出て咀嚼と飲み込みがしやすくなる。これを毎日継続することで誤嚥(ごえん)を予防する効果が期待できる。
誤嚥とは食べ物や飲み物が、誤って気管へと入り込んでしまうことだ。もし誤嚥してしまったとしても、ちゃんと咳き込むことができれば気管に入ってしまった食べ物を吐き出すことができる。しかし、高齢者になるとこの力が弱くなり、誤嚥性肺炎を起こしてしまう。口腔体操は食事を楽しむことに加えて、健康を維持する重要な役割を果たしているのだ。
施設側も調理人の採用や食材の選択、どこまで味付けや好み、やわらかさなどについて個別対応をするか工夫を凝らしている。見学の際に実際に提供しているメニューを試食できる施設も多いので、自身の舌で味わってみてはいかがだろうか。
→食事で入居を決める人多数の介護付有料老人ホーム<前編>を読む
→食事で入居を決める人多数の介護付有料老人ホーム<後編>を読む
撮影/津野貴生
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。
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