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リハビリと食事が充実したサービス付き高齢者向け住宅<後編>

ドーミー亀有Levi

 2016年4月に開設された「ドーミー亀有Levi」。前編では最もこだわっているリハビリについて紹介した。しかし、そのこだわりはリハビリだけではなく、食事にもあった。引き続き、支配人の吉岡育人さん、副支配人の中村睦美さん、シニアライフ事業部副部長の田口浩子さんのお話と共に紹介していく。

自分でご飯をよそうのも自立への工夫

「共立メンテナンスは元々食から始まった会社です。食事には非常に力を入れています。メニュー開発は本社の専門部署で行っており、いくつものチェックをクリアしたメニューがお客様に提供されます」(田口さん)

 食事に力を入れているということで、入居者と同じメニューをご馳走になった。その日の食欲、体調に合わせて自分でご飯、汁物をよそうことができる。これは自立のための機能維持、向上のための仕組みでもある。

「自立のために必要な体の機能が衰えないような工夫、仕組みを日常生活に取り入れています。わざと至れり尽くせりの環境にはしていません。食事の際にご自身でご飯をよそうようにしているのもその一つです」(吉岡さん)

「何でもかんでも身の回りのことをスタッフが行うのではなく、自立のためにご自身でできることはしていただいています」(田口さん)

 この日の昼食は、味噌カツ、チンゲン菜と白小板の酢醤油和え、清汁、香物、蕎麦の実ご飯。入居者と同じようにご飯と汁物をよそってみた。はかりも用意されており、食べ過ぎてしまうこともない。ちなみに朝食はウインナー卵巻き、パンプキンスープ、バターロール、デザート。夕食はタチウオの塩?漬け焼き、里芋のそぼろあん、味噌汁、香物、ご飯、デザートである。

 味噌カツはしっかりと味がついており、食べやすいように薄切りにしてある。付け合わせの野菜も新鮮でおいしくいただいた。チンゲン菜の和え物も酢醤油の味が馴染んでいて、味噌カツを食べた口にはさっぱりと合う。蕎麦の実ご飯はほのかな蕎麦の香りが食欲をそそる。「病院食」のようなものではなく、楽しめる食事になっている。

 日々の食事は3つの方針、
1:玄米や雑穀米の導入
2:発酵食品、大豆及び大豆製品、青魚の多用
3:緑黄色野菜や根菜、きのこ、海藻のバランスよい導入
を立て、本来の日本食を意識して作られている。


「厨房、食堂は直営で自社スタッフが調理していますので、お客様の声がすぐに反映できるようになっています。生野菜、お刺身もメニューに取り入れています」(田口さん)

 高齢者施設における食事は、入居者の楽しみであり、健康維持、向上のための要である。ドーミー亀有Leviは、食事に対する方針がはっきり決まっており、それを実現するための仕組みが整っている。厨房と入居者の距離が近く、日常的な会話を通じてお互いにコミュニケーションが取りやすそうだ。

食事と共に力を入れているコミュニケーション

 日常生活を自分自身の力で維持していくことが大切であるとドーミー亀有Liveは考えている。自立を支援し、目的であり、日常生活の質の維持・向上を図ることの重要性がスタッフの意識として統一されている。確かに至れり尽くせりのサービスばかりがよいというものではないだろう。

「洗濯物を畳むスペースを用意して、ここでもご自身でできることはしていただくようにしています」(中村さん)

 それを実現するために必要なのが、入居者とスタッフのコミュニケーションだ。入居者がしてほしいこと、入居者自身で実際にはできること、そしてそれをスタッフ間で共有すること。これができていないと、入居者の満足と日常生活の向上を実現することはできない。

 入居者とコミュニケーションを密に取れるように、フロントには生活相談員が常駐している。日常生活の小さな困りごとから様々な悩みまで幅広く受けてくれる。話をするだけでも心の安定には大きな意味がある。そして、もう一つ重要なコミュニケーションは、入居者同士の交流だ。


 入居者同士が自然な形でコミュニケーションが図れるようにカラオケルームがあり、予約制で自由に使うことができる。また、カラオケの他にも様々な活動があり、入居者同士の交流も頻繁に行われている。

 日々の活動カレンダーは「歌って踊ろうわくわく体操」「体幹作り棒体操」「スポーツ風吹き矢」といった体を動かすものから、「リボンフラワーアート」「数字がいっぱい! 脳トレーニング」「感性引き出す季節の塗り絵」など手先や頭を使うものまで、数多くのプログラムが組み込まれている。入居者は自分に合ったものを自由に選ぶことができるが、参加を強制されることはなく、入居者のやりたいことや自主性が重んじられている。

 リハビリと食事は高齢者の生活を支えるための最重要ポイントだ。ドーミー亀有Leviには高齢者の健康維持、日常生活の質の向上をしっかりと支えるための環境、スタッフが充実していると実感した。

施設_ドーミー1

【データ】
施設名:ドーミー亀有Levi
公式WEBサイト:https://www.dormy-senior.com/series/kameari/index.php
所在地:東京都足立区東和1-17-26
最寄駅:JR常磐線「亀有」駅徒歩約12分
類型:サービス付き高齢者向け住宅
運営主体:株式会社共立メンテナンス
敷地面積:1896.25平方メートル
延床面積:2819.02平方メートル
居室数:67室
定員数:70人
入居要件:概ね60歳以上、入居時自立・要支援・要介護
構造:RC造地上4階建
開設年月日:2016年4月
料金:Aタイプ(18.30・19.52平方メートル) 入居時費用164,000円、月額費用209,640円(賃料、管理費、基礎サービス費、食費)
Bタイプ(一人入居の場合/36.00平方メートル)入居時費用286,000円、月額費用270,640円(賃料、管理費、基礎サービス費、食費)

撮影/津野貴生

【この記事の前編】
リハビリと食事が充実したサービス付き高齢者向け住宅<前編>

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