高齢者や介護中の人に”手肌にやさしい”消毒液の選び方 5つのポイントを専門家が指南
コロナ禍で定番となった消毒液だが、手荒れに悩む人が増えているという。高齢者や介護中の人には、とくに手肌にやさしい消毒液を選びたい。そこで、肌にやさしい成分やハンドケアに詳しい美容の専門家に、選び方やおすすめアイテムを聞いた。
6割の女性が消毒による手荒れを経験
手洗いやうがいに加え、コロナ禍で定着したのが手指の消毒だ。外出先でも家の中でも頻繁に消毒をするのがすっかり日常となったが、消毒の影響で手荒れに悩む人も増えている。
「手洗い・消毒生活2年目の手肌に関する調査」(マンダム調べ)によると、消毒商品の使用機会が増えたことで、約6割の女性が、「乾燥」「あかぎれ」「ひび割れ」など手肌の悩みが発生したと答えている。
また、介護中の人の中には、「認知症の母が手洗いを嫌がるようになり、せめて消毒をしてほしいのですが、それも拒否することがある」「介護で水仕事や排泄ケアなどのたびに手を消毒するのでいつも手が荒れている」「ただでさえ手が乾燥気味なのに、外出先の消毒液が指先のひび割れに染みる」といった悩みも。
そこで、高齢者や介護中の人におすすめの消毒液や消毒方法について、トータルビューティアドバイザーの水井真理子さんに聞いた。
消毒液で手肌のトラブルが悪化する場合も
「高齢者の方はとくに感染が心配ですから、消毒にはかなり気を使いますよね。
年齢を重ねた肌はただでさえ水分と脂分が失われがちですが、さらに消毒液のアルコール(エタノール)分で乾燥が進んでしまうこともあります」と、水井真理子さん(以下、同)。
手荒れの原因は、主に皮脂不足。特に手のひらは皮脂腺がなく、手の甲も顔に比べると皮脂腺が少ないので、若い人でさえ乾燥しやすい。若い頃とは違って年齢を重ねた肌は皮脂を作り出す力が落ちてくるため、手もより乾燥しやすくなるという。
「手肌表面の皮脂膜によって、水分の蒸発を防いでいます。しかし、皮脂が不足すると表面のバリア機能が壊れ、水分が蒸発し、手荒れにつながります。
バリア機能が壊れると、外気の乾燥や紫外線などの影響も受けやすくなり、乾燥がさらに悪化してしまいます」
手洗いを頻繁にすることで皮脂が洗い流され、消毒液のアルコールによってさらにうるおいが失われていくという悪循環に。
「最初は手指がカサつく程度でも、徐々に進行して、ひび割れやあかぎれに悪化すると、手洗いや消毒のたびに染みて、傷が治りにくくなってしまいます。そうなる前に、手肌にやさしい消毒液で、保湿をしながら消毒することを習慣にしたいですね」
手肌にやさしい消毒液の選び方5つのポイント
手肌をしっかり消毒できて、肌のうるおいを守るためには、どんな消毒液を選ぶべきか?
1.アルコール濃度をチェック
まず、アルコールの濃度は、厚生労働省によると70%以上95%以下が推奨されているが、60%台でも一定の有効性があると報告されている(※)。
アルコールの濃度が高いほど消毒効果も高いが、肌への刺激も強くなるため、 手荒れが心配な人は、アルコール分が60%のものを使ってみるという手もある。
※厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」より。
2.アルコールの原材料を確認
「アルコールが何から抽出されたものなのか、原材料を確認してみてください。
サトウキビ由来など、植物由来の素材からアルコールを抽出したものは、化学的に合成したものより肌にやさしいとされています。パッケージに“植物由来”のアルコールや、“サトウキビ”など植物の名前が記載されているので、購入前にチェックしてみるといいでしょう」
3.アルコール以外の成分を選ぶ
消毒液の中には、アルコール以外の消毒作用のある成分を使っているタイプもある。
「界面活性剤の一種であるベンザルコニウム塩化物なども消毒作用が期待できるといわれているので、アルコール消毒で肌荒れをしやすい人は、使ってみるとよいでしょう。
また、ユーカリや柑橘系の精油にも抗菌作用があるといわれています。香りを楽しめるのでリフレッシュにもなりますよ」
4.保湿成分が配合されているか?
「最近の消毒アイテムには、スキンケア用品にも配合されているヒアルロン酸やワセリン、スクワランオイルなどの保湿成分が配合されたタイプも増えています。消毒効果に加え、肌にやさしいものを選ぶのがおすすめです」
5.スプレーかジェルかで塗り方も変わる
消毒液は、主にスプレータイプとジェルタイプがあるが、
「スプレータイプは、すぐ乾くので手軽。急いでいるときには便利ですが、ムラになりやすいので、スプレーしたらしっかり手指をこすり合わせ、まんべんなく行き渡らせるようにしてください。
一方、ジェルタイプは、乾くのに時間がかかりますが、ジェルを手のひらに出して手指全体になじませやすいので、スプレータイプよりもしっかり広範囲を消毒できると考えられます。シーンに合わせて、使い分けをするのもいいでしょう」