風吹ジュンさんインタビュー|「老いに抗わない」コロナ時代の生き方
今年で女優デビュー45年目となる風吹ジュンさん(68才)。老いに抗わない生き方、60代で登山に初挑戦したこと、そしてコロナ時代を安らかに暮らす心の在り方を教えてくれた。
人生、笑顔が結んでくれた縁が多い
ひだまりのようなぬくもりとそよ風のようなふわりとした軽やかさ ――風吹ジュンさんの明るい笑顔に触れると、自然と気持ちがほぐれてこちらも笑顔になってしまう。
「お話しながらこの人好きだなと思うか、苦手だなと思うかで、相手の表情も変わってきませんか?
好きだなと思えば自然に自分も笑顔になるし、相手もその気持ちを受け止めて笑顔になってくれるもの。
これまでの人生の数々の出会いを振り返ると、笑顔が結んでくれたご縁というのはとても多いんです。好感を持って笑顔で人と接するというのは、人づきあいの第一歩だと思っています」
その信条は芝居にも生きている。
「演技のスタイルはさまざまですが、自分は感性でお芝居をするタイプ。
母親役なら、息子役や娘役の役者さんを実の子供のように愛情を持って接するのが私のルールなんです。
劇中の親子関係で考えるのではなく、役者さんの素の人柄に素敵な部分を見つけて〝この人好きだな〟と思うと愛情がふくらみます」
日本人は好感を持って人と接することが苦手に見える、と語る風吹さん。
「海外では目が合えば誰とでも気軽に『ハロー!』と挨拶するのに、日本ではカフェで店員さんに『こんにちは』と声をかけられても、無言で注文している姿をよく見ます。
そんなときに一言返せば、店員さんとパッと目が合ってお互い笑顔になれるのに。
山ではすれ違う人同士で挨拶しますが、この感覚ってすごく大事だと思うんです。
なんて、かく言う私も登山を始めたばかりの頃は恥ずかしくてうまく挨拶できなかったのだけど(笑い)」と照れ、山との出会いを明かす。
風吹ジュンさん67才の初登山で限界突破
「60才の節目に中学の同窓会が開かれ、登山家になった旧友と再会し、『帰省したら一緒に登ろうよ』と誘ってくれたのが始めたきっかけです。
登頂の達成感は格別で、昨年は北アルプス屈指の難所・剱岳へ登頂! 67才の大冒険です。
もしも山に興味があるのに年齢を理由に尻込みしている人がいたら、もったいない。山なんて私にはとても…と感じても、自分の体力に合わせて少しずつ運動すれば体はきっと応えてくれます。
私は登山に挑戦することで、自分が考えていた”限界”を突破することができました。
還暦を迎える前は『これからどうしよう』と漠然と不安でしたが、60代で得られた自信を糧に、再来年の古希は胸を張って迎えられそうです」
限界を決めず、どうすれば可能性を広げられるか模索する。
→『はぁって言うゲーム』をデザインしたゲーム作家が解説!今、話題のカードゲーム5選とその楽しみ方