『ドクターX』7話 田中圭がチャラい医療インフルエンサーになって帰ってきた!
『科捜研の女』『相棒』と並ぶテレビ朝日の人気ドラマシリーズ、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』第7シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)第7話。過去シリーズに登場していた田中圭が医療インフルエンサーになって再登場したり、小泉進次郎っぽい大臣(徳重聡)が手術されたり、ラストはまさかの大恋愛展開!? だったりと盛りだくさんの回をシーズンすべてを観てきたライター&イラストレーターの北村ヂンが振り返ります。
田中圭『ドクターX』に凱旋!
第1シリーズ、第5シリーズに登場していた外科医・森本光(田中圭)が東帝大学病院に帰ってきた。
実家は地方で病院経営をしているボンボン。しかし「大門未知子(米倉涼子)のような外科医を目指し」実家の病院を継ぐことを拒否して留学したり、地方の病院に飛ばされたり、紆余曲折あった人物だ。
患者に対して誠実ではあるが、基本的に頼りないポンコツだった森本だが、今回は人気のインフルエンサーとなって再登場。
エクスチューブという動画配信サイトで「Dr.森本 元気モリモリチャンネル」を解説するエクスチューバーなのだ。
田中圭自身も、第5シリーズの頃は『おっさんずラブ』での大ブレイク前夜。人気俳優となって『ドクターX』凱旋だ。
医療インフルエンサーの現実
森本は、医療機関としての実績以上に、病院のブランディングを重視する蜂須賀隆太郎メディカルソリューション本部長(野村萬斎)に招へいされたわけだが、医師として呼ばれたのか、ネット対応のコンサルとして呼ばれたのかはよく分からない。
「医者がオペで救える数には限りがあります。けど、僕のように情報を広く発信すれば、何千、何万という人たちを情報で救うことができる!」
これが森本の考える次世代のドクター像らしい。ただ、バズッているのは「巨大バケツプリンを作ってみた」「新しいバイク買ってみた」「1週間で腹筋割ってみた」といった、医療とは関係のないチャラい動画ばかり。
現実のYouTubeでも、専門家の運営するチャンネルが増えているが、専門家の発信する情報よりも、キャラクターの方が重視されるため、結局、バラエティーよりな企画に手を出す専門家も少なくない。
ある意味、リアルだ。
徳重聡の小泉進次郎モノマネが炸裂
今回は患者として、小泉進次郎っぽい大臣が登場。
第6シリーズにも政界のプリンス・八村正義という小泉進次郎っぽい議員が登場していたが、それとは別キャラ。今回登場した榎本宗七(徳重聡)は環境大臣。もうそのまんまだ。
「頭の中におぼろげに浮かんできたんです。オ・ペの2文字がね。オペラかとも思ったんですが、オペでしたね」
さっそく進次郎構文が飛び出す。『ドクターX』シリーズ、小泉進次郎が好きすぎるだろう。
この榎本大臣が東帝大学病院に緊急入院するが、病状は軽度の副鼻腔炎(時々、鼻水が出る程度)。環境サミットを前に逃亡したのではないかと言われている。
手術する必要もないくらい、どうでもいい病状だが、このせいで大門行きつけの定食屋のおばちゃんの手術が延期されてしまう。
そういえば、コロナ禍で病床がひっ迫する中、小泉進次郎が虫垂炎の手術で即入院して即手術できたことが話題となっていた。
「一般人? じゃあこいつは何人なのよ?」
「私は大臣だ!」
「バカなの?」
本当にどうでもいいことを、さも意味ありげに語る榎本大臣。口調も小泉進次郎に寄せた、徳重聡の怪演が光っている。
外科手術をネット中継!?
もう一人の患者、定食屋のおばちゃん・七宮安江(根岸季衣)はDr.森本の大ファン。森本が動画の中で、
「今は医療機関がひっ迫していますからね。不要不急の要件での病院への外出は控えましょう。ちょっとおなかが痛いくらいは様子を見て、今は我慢我慢!」
と言っていたことから、自らの体調の悪さに気付きながらも、病院に行くのを拒んでいたのだ。入院後、榎本大臣のせいで手術が後回しになった際にも、
「お国のために働く大臣が優先なのは当然。そういう大事な人を先にやってもらって、私は最後でいいの」
なんて、けなげなことを言っている。
こういう真面目な一般人が医療を受けられず、アホな大臣が優先されるというのは頭が痛いが、現実でもそういう傾向にあるのが……。
自分の不用意な発言のせいで、七宮の胃がんの発見が遅れたと知った森本はショックを受け、自分が責任を持って手術のスケジュールを押さえると宣言。しかし、病院側は榎本大臣の手術を優先させたい。榎本大臣は副鼻腔炎で入院したと知られたくない。
すべてを丸く収めるため、蜂須賀は「榎本大臣の病気は胃がんである」と発表。緊急手術をネットで生配信すると告知した。要は、榎本大臣に見せかけて、七宮の胃がん手術をネット中継するという作戦。……いくらネットでも手術風景を見たがる人がそんなにいるとは思えないが。
執刀医は森本。無事に成功すれば三方丸く収まるところだが、手術中に予想外の事態が起こり、森本の手には負えなくなってしまう。
「ど、どうなってるんだ? もしこのオペが失敗したら私はどうなるんだ?」
「これは大臣の手術ということですので、その場合は亡くなっていただくということに」
「冗談じゃない! 助けてくれ! 私を殺すな!」
最後までアホなこと言っている榎本大臣。
これが例えば、小室圭さんの件のオマージュだったらいろいろと怒る人がいそうだが、小泉進次郎ネタだと誰も怒らなそうなのがすごい。
大門にまさかのロマンス展開か
結局、何だかんだで大門が登場して「失敗しないので」と手術成功。
森本を招へいしたことも、入れ替え手術のネット中継も蜂須賀本部長のアイデアだ。しかし、切れ者っぽく振る舞っているわりに、施策はだいたいうまくいっていない。
毎度毎度、大門に助けてもらって何とかなっている形だ。蜂須賀本部長、実はポンコツなのでは……!?
外科を軽視する蜂須賀としても、大門の実力&価値は認めざるを得ないところ。何とか自分の手駒に引き入れようということなのか、蜂須賀は大門をディナーに招待する。
ラスト、ハイヒールで転びそうになった大門を蜂須賀が抱きかかえ、手を握るという古典的な展開が。
これまで、大門を女性扱いする医師はほぼおらず、当然、色恋沙汰は皆無。恋愛に対する耐性もなさそうだ。
手を握られた大門は、見たことのないような表情を浮かべていた。ここにきて、まさかのロマンス展開もあり得るのか?
文とイラスト/北村ヂン
1975年群馬県生まれ。各種おもしろ記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。……といいつつ最近は漫画ばかり描いています。