中村メイコさん「黒柳徹子さんと“悪口合戦”しても険悪にならない理由」を明かす
「天に唾を吐く」「口は災いのもと」――悪口がいかに悪影響かを示したことわざは多い。しかし令和のいま、その常識は変わりつつある。年を重ねてなお健康で活躍している女性たちはこの“災いのもと”を器用に使いこなしているのだ。
黒柳徹子と中村メイコが“悪口合戦”できるわけ
「お互い手をつないでいきましょう?」と言われたのに「ヤダ! 私、あなたと手をつないで死んでいくなんて考えられない。損に決まってるもの。私があなたの面倒見なきゃならなかったり、嫌だ」と返す。
ムッとした相手は「私、あなたに道案内なんか、されたくないわ」と切り返してきた。だが、「私もあなたの道案内はしない!」と、また反撃にあう。
何ともスリリングな悪口の応酬は、9月27日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で黒柳徹子(88才)と中村メイコ(87才)が交わしたもの。
断捨離など終活にいそしむ中村が、旧知の仲の黒柳の無計画さを心配してさまざまな提案をするも拒絶され続け、挙げ句の果てには「誰かがどうにかするだろうっていうのが徹子さんぽいのね」とチクリ。
そんな歯に衣着せぬ発言は黒柳以外にも向けられ、親交の深かった故・美空ひばりさん(享年52)のことを「『あたしはお金というものを持ちません』って。本当におかしい人、あの人」と振り返ったり、64年連れ添う作曲家の夫・神津善行さん(89才)のことを「すごいわよ、おんなじことばっかり話すんだから」と笑い飛ばしたり。
そんな悪口にヒヤヒヤしつつも思わず聞き入ってしまうのは、2人が芸能界きっての口達者だから、というだけでもなさそうだ。
妥協と擦り合わせが人間関係
「あれは私たちのファンにとっては“いつものネタ”。お互い、よく言っていることだから」
2人のやりとりの真意を中村に聞くと、あっけらかんと笑いながらこう打ち明ける。確かに悪口を言い合っても険悪にならないのは、相手との信頼関係があってこそ。
中村の近著『大事なものから捨てなさい メイコ流 笑って死ぬための33のヒント』(講談社)にも、黒柳のことを「食事をしたりお茶をしたりすることもないし、まして旅行に一緒に行くなどあり得ない」と評しながらも、弔辞を読んでもらいたいほどの信頼を置いていることを明かしている。
中村は2才で天才子役としてデビューして以来、芸能生活は85年。87才にして芸能活動や執筆を精力的にこなすバイタリティーにあふれる理由は「言いたいことをため込まないこと」だという。
言いすぎはよくない、でもがまんもよくない
「特に、嫌なことや苦手なことは仲よくなる前に、先に相手に伝えておいた方がいいと思っています。いまの時期でいえば、私は暑いのはいいけれど寒さが大の苦手。いつもそう言っていたおかげで、いまでは寒い場所での取材はしないということが事務所の方針になりました」
とはいえ、嫌いなことを一方的に主張するわけではない。
「例えば、私は甘いものが苦手だから、『あんみつ3杯食べたわ』って言う人のこと、同じ人間だと思えない(笑い)。だけど人間関係ってそういう一人ひとりの個性で成り立っていますよね。『あなたは好きかもしれないけれど、私は嫌い』じゃあ、それで関係は終わってしまう。かといって自分の好みを押し付けるのはルール違反ですよね? だから、『あなたとは違うけれど、このへんで妥協するか』って擦り合わせていくのがつきあいだと思うんです。
『私はあんみつ食べるけど、コーヒーでもお茶でも別のものをどうぞ。嫌じゃない限りつきあってね』っていうのが大事なんじゃないかしら」(中村)
自分の個性はそのままに、相手の個性も認めつつ、嫌なことがあればお腹にため込まずに、口に出す―こうしたスマートな悪口を交えたコミュニケーションを身につけることこそ、年を重ねた女性のたしなみなのかもしれない。
写真/本誌写真部
※女性セブン2021年11月25日号
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