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健康

肌をつまむだけ!東洋医学から生まれた健康法「整膚(せいふ)」で不調をリセット

 東洋医学から生まれた「整膚(せいふ)」という健康法をご存じだろうか。運動も食事制限も道具も不要で、ただ「つまんで離す」だけで体のすみずみまで不調が改善するという。つまむのも強い力ではなく、ぶどうの皮をむく時と同じくらいの感覚でいいので、痛さも感じない。行う時間帯は好きなタイミングで構わないという。場所も時間も選ばずできる健康法をこの機会にマスターしよう!

「肌つまみ」のメリット

 肌つまみには、「気血(きけつ)」の循環を改善する効果がある。「気」とは体内を巡るエネルギーのことで、血液を表す「血」とともに全身を巡ることで体の調子が整い、病気になりにくくなる。

「人の体を流れるリンパ液は、ウイルスや細菌から体を守る免疫機能にも関与します。気血がよくなるとリンパ液の流れもよくなるため、免疫機能が向上し、老廃物や病原菌が体内にたまりにくくなります。すると、新陳代謝がスムーズに行われ、体の冷えやこりといった不調が改善されていくのです」

自律神経の乱れを整える事にも効果的

 その結果、自律神経の乱れも整う。自律神経とは内臓や全身の血管、分泌腺を支配している神経のこと。体内環境を整えて健康的に過ごすためには、自律神経を正常にコントロールすることが不可欠となる。

「自律神経には緊張状態のときに優位になる『交感神経』とリラックス状態のときに優位になる『副交感神経』の2種類があります。起きているときは交感神経が優位になって人間は活動的になるのですが、そのバランスが崩れると日中にだるさや眠気を感じて気分がすぐれなくなります。逆に、副交感神経が優位にならなくてはいけない夜に交感神経が優位になると、不眠に陥る。自律神経は自分の意思でコントロールすることはできません。不規則な生活やストレスによって乱れてしまったときは、ストレスを取り除いて整える必要があるのです」

 興奮したときに肌をつまむとリラックスでき、ストレスが緩和される。すると、睡眠の質も高まる

「現代人は不眠で悩んでいる人が多い。『健康診断の結果は悪くないのに体がだるい』と感じる多くの人は、不眠を改善すればスッキリするはず。また、肌つまみで自律神経が整うと血圧も安定します。血圧は、食生活などが原因で血管がつまり数値が高くなることもありますが、原因がはっきりしない場合も多い。交感神経の緊張が続いたことで血管が収縮し、高血圧や動脈硬化につながることもあります」

1回10分はNG! 1回1分を10回の方が効果UP!

 反対に、副交感神経の優位が続くと、低血圧を起こしてめまいや頭痛の原因となりかねない。肌つまみは長くつまみ続けるほど効果が高まるものではなく、1か所につき1分程度で充分だ。

「早く効果を出したいからと欲張って長時間続けていると、今度は刺激を与えすぎることになり、効果が半減します。1日に何回行っても構わないので、一気に10分間つまむのではなく、1回1分を10回行う方が効果的です」

 老若男女、どんな人が行っても問題ないが、皮膚が炎症を起こしている場合は直接その部分をつままないこと。

「炎症がある周辺をつまむこと。気血の流れがよくなって、傷の治りが早くなります」

 行う時間帯も好きなタイミングで構わない。気が向いたときに、つまめるところをつまむだけでも効果はのぞめる。

「頰は自律神経を安定させ、あごの下はのどの粘膜を強くする。体調が悪いときは、内臓があるお腹まわりをつまむといい。厳密なルールがないところも、肌つまみの特徴です」

 暴飲暴食に走る前に、肌をつまんで落ち着こう。

皮膚をつまむと血流がよくなる仕組みとは?

 皮膚をつまんで引っ張ると、血管や皮膚の内部が広がり、ポンプで吸い上げるように、毛細血管のすみずみまで血液が流れやすくなる。

 つまんでいた指を離し広がっていた血管が元の狭さに戻ることで、血液がポンプで押し出されるように流れて血流がよくなる。

基本的な肌つまみのやり方

 皮膚の表面を親指と人差し指でやさしくつまみ、少しだけ引っ張る。その後、親指と人差し指は皮膚から離さず、引っ張った皮膚を元の場所に「置く」ような感覚で戻す。爪を立てたり、パッと指を開いて離すのはNG。

【肌つまみ1】内臓の不調を正す

【便秘解消】

腸の上を1~4の順番でつまむ

 腸がある部分を意識し、右の骨盤のやや内側あたりをつまみ、へその右左、左の骨盤のやや内側へと【1】~【4】の順番で1分かけてつまむ。両手の小指以外の4本指で行う。下痢の場合は逆回転。左の骨盤の内側から始め、同様につまむ。

【食欲不振、胃の痛み、吐き気】

【1】食道にそってつまむ

 左右の鎖骨の間をつまみ、胸の中心あたりまで小刻みに指をずらしながら、1分かけてつまんでいく。食道の上をなぞるイメージで、まっすぐ上から下へずらしていく。 

【2】胃の上をつまむ

 左の脇腹付近、胃を意識しながら、両手の親指と人差し指で1分つまんで引っ張る。胃液や胃酸の分泌を正常に整え、胃の動きを活発にする。

【肌つまみ2】心を落ち着かせる

【不眠、イライラ、緊張を解消】

【1】頭皮をかき上げる

 両手をパーに開き、指を髪の生え際に当て、頭頂部に向かってかき上げる。前頭部、側頭部、後頭部と手の位置をずらしながら1分間繰り返す。

【2】頬をつまむ

 親指と人差し指で、頰骨あたりを1分間つまむ。左右同時につまんでも、片側ずつ順番に各1分間つまんでも、どちらでもOK。

【3】あごの下をつまむ

 あごの下を親指と人差し指で1分間つまむ。皮膚を引っ張りすぎないように注意。唾液の分泌が促進され、高いリラックス効果が得られる。

教えてくれた人

徐堅さん/整膚学園・学長

イラスト/おしろゆうこ

※女性セブン2021年10月28日
https://josei7.com/

●体臭でわかる危険な病気|「大便臭」はがん、「炊きたてのご飯」は自律神経失調症の赤信号

●「いわし」「さば」健康料理術|老化防止、血糖値改善、不眠やうつ対策にレシピ5品

●内臓のバランスを整える「チネイザンマッサージ」とは?イライラ対策になる肝臓マッサージのやり方

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