予知夢、予知能力は本当か?未来予知の可能性を科学者が解説
《コロナ終息は2024年9月、2024年に米国の実業家によって、地球から火星にある探査機へ仮想通貨の大量送金が行われる、消費税18%に、荒川氾濫、令和19年沖縄地震発生、令和の次の元号は万至、2020年に政府から全世帯に配布された、新品未開封の布製マスクが後の世で高額に、2058年にはペットボトルもタクシーもない、令和6年1月10日(水曜)十勝沖地震発生。震源地は十勝沖深さ35km。最大震度7(帯広、釧路など)マグニチュード8.2、津波観測有、高さ3.0~5.0m、令和6年北海道に台風が上陸し大きな被害も、中国の国名が「華国」に》
上記は、2058年から来たと自称する「國分玲」さんのツイッターをはじめ、SNS上でささやかれている“未来に起こること”だ。
インターネット上などで“未来予知”が流行
今年7月に放送された、トークバラエティー番組『週刊さんまとマツコ』(TBS系)にて、1999年に発売された漫画『私が見た未来』が紹介された。これは、作者のたつき諒(りょう)さんが見た予知夢をもとに描かれた漫画で、その表紙には「大災害は2011年3月」と書かれている。出版されたのはその12年前のため、東日本大震災を予言したと、注目されたのだ。
一方、31年前の1990年5月2日付の岐阜新聞朝刊に掲載された「2020年、人類の半数が伝染病に」という記事も話題になっている。コロナ禍の“いま”を予測したかのような内容だが、これは地球温暖化の健康被害を予測する世界保健機関(WHO)の報告書をまとめたもの。温暖化がマラリアなどの伝染病の大流行をもたらし、世界人口の半数近くが伝染病にかかる恐れがある、といったことが記されていた。
こちらは、データをもとにした“予測”だが、未来は予知できるのではと思えてくる情報がいま、注目されている。しかし、本当に未来はわかるものなのか。科学的に解明していきたい。
事故、災害、身近な人の婚期や死期…ズバリ当てる人、どうなってるの? 「第六感」「虫の知らせ」といった言葉もあるように、実は誰しも未来に起こることを察知する力がある。その能力のメカニズムについて聞いてみた。
科学的にはないが 心理的体験としてある
未来を予知する力“予知能力”は存在するのか。この疑問に、
「科学的にはありません。しかし、心理的体験としては存在します」
と言うのは、明治大学情報コミュニケーション学部教授で『「超常現象」を本気で科学する』(新潮新書)などの著書がある石川幹人(まさと)さんだ。どういう意味なのか。
「ある条件を設定し、誰がやっても同じ結果になるというデータが蓄積されると、“科学的にある”と認められます。予知は、誰がやっても同じ結果にならないため、“科学的にはない”と判断されるのです。しかし、個人の体験として未来がわかったという人が多く存在するのも事実なので、心理的体験として存在すると考えられています」(石川さん・以下同)
予知能力を含む人間の“超能力”や“第六感”について、1930年代から研究されてきた。
「その中でひとつわかっているのは、超能力は無意識だと発揮しやすい、ということ。アメリカの超心理学者チャールズ・ホノートンの実験によると、外向的な人間がリラックスした状態で、かつ無意識な状態になると、超能力が高まることが判明しました」
睡眠中、人は無意識な状態になる。ならば、寝ているときに超能力が高まれば、予知夢を見られるのではないか。
身の回りでよく起こる恐怖や不安を夢に見る
そこで、夢の研究をしている東洋大学教授・松田英子さんに、その可能性を聞いた。
「超能力として予知夢を見られるかといえば、“見られない”といえます。ただし、夢の内容には、今後起こりうる危機の想像が含まれることが多く、それが予知夢と捉えられることがあります」(松田さん・以下同)
私たちは起きている間に、膨大な量の情報を得ている。眠っている間にそれらの情報を整理し、その一部を夢に見るとされる。また、不安や恐怖にかかわる事態が実際に起こったとき、うまく対処できるようシミュレーションするため、事故や悩みごとの夢を頻繁に見るともされている。
「たとえばロシアの消防署でこんなことがありました。当直の隊員が火事の夢を見ると、必ず火事が起こる。その調査で、予知夢というものがあるとされました。しかしその後、隊員たちは当直の日に火事の夢を見ていたことが判明。つまり、火事発生の有無にかかわらず、火事の夢を見ていたので、夢を見た日に火事が起こる、と捉えたのです」
隊員たちは火事があれば直ちに出動しなければいけないという状況の中で眠っていたため、火事の夢を見やすくなっていたのだ。
「宝くじが当たったという予知夢の報告が多いのも、消防隊員の例と同じです。宝くじを買った人の多くが、当たることを考えながら眠るので、当選の夢を見やすくなるのです。そして、実際に当選した人が“当たる夢を見た”というわけです」
つまり、確率の問題なのだ。
「日本は地震や水害が多く、噴火も懸念されており、天災に対する警戒心や恐怖心が強い。ですから、多くの人が噴火や地震、洪水などの夢を見ています。その後に、小規模であれ災害があれば、予知夢を見たと解釈されますが、日本は自然災害が多いですから、夢と一致する確率は高いんです」
教えてくれた人
石川幹人(まさと)さん/明治大学情報コミュニケーション学部教授
松田英子さん/東洋大学教授
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2021年9月30日・10月7日
https://josei7.com/