老舗百貨店の介護サービス注目3選 デパートならではの丁寧な接客でシニアに評判
老舗百貨店が介護サービスに乗り出している。利用客の高齢化にともない、扱う商品やサービスも介護世代をターゲットにした百貨店は増えている。百貨店が手がける介護サービスとは、どんなものなのか。ファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんに解説いただいた。
百貨店が介護サービスに続々参入
新型コロナウィルス感染症拡大防止による休業や時短要請、インバウンド消費の減少など、百貨店は今、苦境に立たされている。高齢の富裕層を中心に、ブランド品など高額商品や外商による売上はそれほど落ち込んでいないとされているが、新たな売上を伸ばすための施策として、百貨店の強みを生かした新たなサービスを続々と始めている。そのひとつが“介護サービス”だ。
百貨店は60才以上の利用者が半数を占めているといわれ、百貨店ならではの丁寧な接客や商品説明がシニア層の顧客に喜ばれている。
しかし、介護が必要な高齢者が店舗に行けなくなるという問題も生じており、長年の顧客であるシニア層に向け、介護サービスを始める百貨店が登場している。
百貨店の介護サービス注目3選
三越や高島屋など老舗百貨店が手がける介護サービスが話題だ。それぞれの特徴を解説する。
1.三越:介護や看護のVIPサービスを提供
三越は、関東を中心に展開する老舗デパート。特に60才以上のシニア世代から絶大な信頼を得ている。そんな三越では、保育や介護、看護サービスを展開するポピンズの『ポピンズVIPケアサービス』を特別価格で受けられる(ポピンズとの直接契約)。
・入会金:三越伊勢丹特別価格7万7000円、介護コースが1時間4180円(3時間以上から)、家事コース1時間3080円(3時間以上から)、ナースケア1時間7700円(4時間以上から)など
いずれも利用者に合わせたきめ細やかなオーダーメイドのサービスを行っている。
また、三越では、ほかにも家事代行『ベアーズ』や『整理ING(セイリング)』などのサービスも販売している。
2.阪急阪神グループ:デイサービスや会員制サロンを展開
大阪・兵庫などを中心に阪急百貨店などを展開する阪急阪神グループでは、『いきいきライフ阪急阪神』事業を2017年から開始し、「リハビリ特化型デイサービス」やカルチャースクールや旅行などを楽しむための「会員制サロン」などを提供している。
デイサービスについては、リハビリによる日常生活動作の維持・向上を目指し、介護保険で利用できる。
また、会員制の『ライフデザインサロン』では、オンライン&対面形式での講座・レッスンを提供。元宝塚歌劇団のタカラジェンヌによる朗読講座や、プロのタップダンサーによる腰掛タップダンス、日本美術史、チェアエクササイズ、俳句の会など、ユニークな講座も。
3.高島屋:リハビリ特化型デイサービスを運営
高島屋は京都発祥の圧倒的ブランド力を誇る百貨店だ。高島屋は本格的に介護事業に参入。機能訓練特化型デイサービス『タカシマヤ ユアテラス 二子玉川』を今年3月から開設した。
介護保険で利用できるサービスとして、さまざまなリハビリテーションを導入。要介護認定を受けていない人は自費サービスで利用も可能。
また、オプションサービスとして、「リハビリテーション科医師によるアセスメント・プログラム作成」「理学療法士によるマンツーマントレーニング」「高機能トレーニング機器レンタル」などがある。高級感溢れる施設で、高島屋ならではの丁寧な接客やひとりひとりに合わせた介護サービスが受けられる。
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百貨店を長く利用してきた人は、質の高いサービスを求めているため、介護サービスにおいても百貨店ならではの丁寧な接客やコミュニケーションはマッチしているといえるだろう。
百貨店は「物」を売るだけではなく、顧客の生活に合わせたサービスを売る時代へシフトしている。今後、介護サービスにも多様化が求められる中、介護業界に参入する百貨店が増えていくかもしれない。
文/大堀貴子さん
ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。