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トーストにコーヒー…ついやりがちだがNGな朝食例 プチ断食後には「低GI」メニューを

 健康のために「食事は1日3回食べるもの」「朝食は抜かない方がいい」などと言われる一方で、朝食抜きのファスティングやプチ断食、朝食抜きなど、食にまつわるさまざまな健康法が登場している。本当のところ、朝は何を食べるのがいちばんいいのか。食とダイエットの専門家に聞いた。

朝食は人生を整えることにつながる

「私は食のオタクなので、朝食は毎朝60~70品目を少量ずつ用意し、日々味わって楽しむのが日課です」

 そう話すのは、フードコンサルタントの小倉朋子さん。

「朝食をおいしく食べる、欲して食べるというのは、ある意味、人生を整えることにもつながると思っています」(小倉さん)

 小倉さんのように好きなおかずを準備しても、いつでも朝食をおいしく食べられるわけではない。ダイエット外来専門医の工藤孝文さんも、こう話す。

「朝食は、前日の夕食の内容や食べた時間などに影響されます。通常、食べ物が胃に滞在するのは2~3時間で、肉や天ぷらなど脂肪分が多いものは4~5時間かかります。朝食を食べられない、あるいは、食べたくない状態は、夕食時間が遅すぎたか、食べすぎた場合がほとんどです。

 本来、胃の中が空になっている状態で就寝すれば消化器系統を休ませることができますが、食べすぎや、飲みすぎによる二日酔い、遅い夕食を摂ってそのまま眠ったような場合は、消化がきちんとされず胃もたれして、朝食がおいしくなくなるのです」(工藤さん・以下同)

医師指導のもとでのプチ断食は体によい影響も

 近年、流行している1日2食やプチ断食などのファスティングは、朝食による健康効果を台無しにしてしまわないのだろうか?

「プチ断食などのファスティングは、消化器官を休ませ、自律神経を整えることなどができるため、体にもよい影響を与えます。以前、私も11日間水しか飲まない断食にトライしたことがありますが、肌もきれいになり、いい経験でした。断食の方法はいろいろですが、医師の指導のもとで行うなら、1日1~2食のファスティングはいいと思います。

 ただ、朝から労働している人はエネルギーが必要なので、朝食と昼食はしっかり食べた上で、週1回程度、夕食を抜く形でプチ断食を行うのが、健康的で安全ではないでしょうか。夕食を抜いたことで消化がきちんとされるため、次の日の朝食を食べる意欲につながります」

1食抜いた後は“低GI”の朝食を(朝食例)

 1食抜いた後は“低GI”の朝食メニュー(玄米や全粒粉パン、オートミールなど)にして、どか食いをしなければ血糖値の変動も安定するといわれている。試してみよう。

 医師・工藤孝文さんの朝食は、コーヒー、ヨーグルト、ライ麦パン、チーズ、いちごジャム。ヨーグルトには、おからパウダーとオーツ麦、亜麻仁油を投入。低GIのライ麦パンで血糖値上昇も穏やかにしている。

ついついやりがちなNGな朝食事例とは

 朝食は起床後1~2時間以内に食べるといいというが、何を食べてもいいのだろうか? 時間栄養学を専門とする、早稲田大学教授の柴田重信さんが言う。

「朝食で体を目覚めさせ、一日のエネルギーを体にいきわたらせる必要があるので、脳のエネルギーとなる炭水化物は不可欠です。また、ホルモンや筋肉の生成に必要なたんぱく質は、朝食では不足しがちなので、これらのたんぱく質もしっかり摂ることが重要です」

 日本で炭水化物といえば、ご飯、パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、いもなどがあるが、血糖値が上昇しにくい、オートミールのような低GIの炭水化物を選ぶのも最近のトレンドだ。だが、次のような朝食は、注意が必要だ。

●野菜サラダにヨーグルト

「これは、ダイエット志向の女性が好みそうな朝食ですが、ビタミンやミネラル、たんぱく質は摂れても、炭水化物不足で空腹が満たされず、昼までパワーが持ちません。この場合、シリアルなどを加えるといいでしょう」(柴田さん)

●トーストにコーヒー

「いかにも定番のよくある朝食ですが、たんぱく質が皆無。 コーヒーに牛乳を入れたり、ゆで卵や目玉焼き、ツナやさば缶などを1品足すとたんぱく質が摂れてバランスがいいですね」(工藤さん)

●甘い菓子パンのみ

「菓子パンはカロリーが高いわりに栄養価が低いのが難点。人は、商品名にパンやバーとつくとお菓子だと思わなくなる傾向がありますが、菓子パンは実質お菓子。そこをサンドイッチに変え、豆乳と一緒に食べると、栄養バランスがぐんとアップします」(小倉さん)

 ここまで見てきたように、朝食は起床後1~2時間以内に摂取する必要があるため、手早く用意でき、脳のエネルギーとなって体をリセットする炭水化物が充分含まれ、ホルモン生成などに必要なたんぱく質が不足しないことが、最低限の条件となる。

「たんぱく質を摂って日光を浴びるとセロトニンが生成されます。セロトニンは、16時間後にメラトニンという睡眠ホルモンに変わり、安眠につながります。そんなサイクルを作るためにも、朝食でたんぱく質を忘れずにきちんと摂ることが重要です」(工藤さん)

 朝からお茶漬けサラサラでは、たんぱく質不足でホルモンが生成されない。工藤さんが実践する朝食例も参考にしながら、朝食の条件を再確認しよう。

教えてくれた人

柴田重信さん/早稲田大学理工学術院教授。薬学博士。専門は時間栄養学。新刊『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門』(講談社)など著書多数。
小倉朋子さん/フードコンサルタント。トータルフード代表取締役。メニュー開発、食事作法、箸文化、トレンド、ダイエット、食育などに精通。
工藤孝文さん/工藤内科(福岡県みやま市)院長。ダイエット外来、糖尿病内科、漢方治療が専門。テレビ雑誌でも活躍中。

取材・文/北武司 料理作成/松田真紀

※女性セブン2020年9月16日号
https://josei7.com/

●健康になる”空腹時間”の実行スケジュール3つ|朝食・昼食・夕食どれを抜く?

●80才の美容家「1人の朝食も贅沢な時間に」【喜寿でも元気でキレイな人の食習慣】

●ひとり暮らしの認知症の母が準備した朝食が切なすぎた話

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