血糖値急上昇をさせない!食べるならどっち?注目の指標GL値で比較
血糖値の乱高下を避けるには、どんな食品を食べるとよいのだろう。それはズバリ、血糖値の上がりにくい食品を食べればいいわけだが、これまで、どんな食品を食べると血糖値が上がりやすいのかの指標とされてきたのが、GI値(グリセミック・インデックス値)だ。
GI値は炭水化物を50g含む分量の食品を摂った場合の血糖値の上がり具合を、50gブドウ糖を摂った時の基準値(100)と相対化した数値(%)。この数値が高いほど血糖値が上がりやすい食品とされ、GI値が70を超えると高GI値、つまり、血糖値の上昇リスクが高いとされてきた。
血糖値上昇リスクの指標、注目すべきは「GL値」
ところがこのGI値だけでは、本当のリスクが測れないと総合内科専門医の團茂樹さんは言う。
「例えばGI値が80のにんじんは、これまで血糖値が上がりやすい食品とされてきました。ところがこれは、にんじん約2.5本を食べた時の値に相当し、指標としては現実的でない。血糖値上昇リスクの指標にするなら、1食に摂取する食品や料理に含まれる糖質量から算出するGL値(グリセミック負荷値)の方が、よりわかりやすく、現実的といえます」(團さん)
このGL値を割り出すのが以下の式だ。
1食あたりの「GL値(g)」=1食あたりの糖質量×GI値(%)÷100
この数字が低いほど、血糖値を上げにくい食品や料理ということになる。
繰り返しになるが、GI値とは、ブドウ糖50gを摂取したときの血糖値上昇度を100とし、炭水化物を同じく50g含む量の目的食品を摂った場合の血糖値上昇度を相対化した数値(%)。70以上だと高GI食品だが、炭水化物量を50gにするには、現実的でない難しい食品もある。
GL値は、1食中に含まれる糖質量にGI値をかけて100で割ったもので、常識的な1食中あたりのブドウ糖換算量(g)を表す。
たとえばスイカはGI値が72だが、1食を「1切れ(180g)」とした場合は12。バナナは同58で同1本(100g)12。リンゴは同34で同1/2個(127g)あたり6となる。こうしたGL値も考慮すべきなのだという。
なるべくなら、GL値の低い食事をとりたいところ。
血糖値を急上昇させないために、食べるならどっち? 主食、おかず、間食のGL値を比較してみた。
GL値の比較:主食の場合
糖質量が多くても、調理法や混ぜた食材で吸収率が変わる。穀類は白米や小麦粉など精製された原料はGL値が高く、血糖値が上がりやすい。クロワッサンのバターやラザニアのチーズのように脂質やたんぱく質と組み合わせると、糖質の吸収が緩やかになるのだ。
ご飯(精白米)は、1食あたり150gで糖質は55g、GI値は75、GL値は41となる。白米の糖質量だけで比べると、パンや麺類などの主食と比べてかなり多め。1膳(150g)でもGL値が41なので、おかわりはがまんしたい。
◆大麦ご飯(GL値15)VS.玄米ご飯(GL値34)
白米に比べてGL値の低い大麦や玄米。特に大麦には、食後の血糖値の上昇を抑えるβ-グルカンという水溶性の食物繊維が豊富で、GL値は白米の半分以下。ただし、白米に混ぜて炊く場合は、半量以上にしないと、あまり効果がない。玄米は食物繊維やビタミンなど栄養価の面では優れているが、GL値だけなら勝者は大麦。
パンは、一般的な食パンの場合、6枚切り1枚(60g)でGL値が24。白米よりGI値は高いが、GL値は低い。ただし、ジャムなどつけるものへの配慮は必要だ。
◆クロワッサン(GL値17)VS.小麦全粒粉パン(GL値10)
バターがたっぷり練り込まれたクロワッサンは、大きめサイズ1個分(57g)でも、GL値が17と食パンより低い。これは、バターの脂分が血糖値の上昇を緩やかにするから。さらにGL値の低いのが全粒粉パン。小麦をまるごと粉状にした全粒粉は食物繊維が豊富で胃での消化滞留時間が長く、血糖値の上昇が緩やかになる。
◆カルボナーラスパゲッティ(GL値9)VS.茹でたそば(GL値24)
見た目こってりのカルボナーラスパゲッティだが、GL値は日本そばの半分以下。これは、カルボナーラスパゲッティに使われる生クリームや卵、ベーコンなどの脂質やたんぱく質がパスタをコーティングして、糖分の吸収を抑えてくれるから。
◆茹でたうどん(GL値32)VS.インスタントラーメン(GL値40)
麺だけでの対決なら、茹でうどん1玉分(250g)より、インスタントラーメン1袋分(85g)の方がGL値が高い。とはいえどちらも数値が高く、とくにインスタントラーメンは白米と同等に高いので、野菜や卵などのたんぱく質を一緒に摂って。
◆ラザニア(GL値8)VS.ピザ(GL値24)
ボリューミーなイメージのラザニアだが、GL値はピザの1/3程度。ピザにもラザニアにも使われているチーズには、ほかのものと一緒に食べると血糖値の急激な上昇を抑える働きがあるといわれる。チーズに加え、牛ひき肉などのたんぱく質も豊富に含むラザニアの方が、GL値は低い。
◆えびグラタン(GL値18)VS.ピラフ(GL値44)
ピラフにはご飯、えびグラタンにはマカロニが入っているので、どちらも高めと思いきや、えびグラタンの方がGL値はグンと低くなる。これもやっぱり、低糖質なチーズのおかげ。また、えびにも糖質がほとんど含まれておらず、たんぱく質も豊富。食べるならピラフよりえびグラタンがおすすめ。
◆カレーライス(GL値83)VS.焼きそば(GL値35)
小麦粉が主材料の中華麺を使用している焼きそばだが、カレーライスよりは低GL。カレーライスはそもそも、GL値が高い白米のほか、一般的なルウには小麦粉が含まれている。さらに野菜の中でも糖質の多いじゃがいもやにんじんなどの具も。食べる時は、ご飯の量を減らすなどの工夫をしたい。
◆塩むすび(GL値20)VS.オールブラン(GL値10)
手早く食べられるおにぎりだが、塩むすびはGI値80にも。しかも、早く食べられる分、血糖値の吸収も早くなる。一方、食物繊維豊富なオールブランは、GL値をおにぎりの1/2に抑えられる。
◆フィッシュバーガー(GL値23)VS.ハンバーガー(GL値21)
肉より魚の方がヘルシーで体によさそうだが、フィッシュバーガーは具材の白身魚に小麦粉の衣をつけて揚げ、さらに糖質の高いタルタルソースも使っている。僅差だが、ハンバーガーが勝利。
GL値の比較:おかずの場合
おかずを彩る肉類・魚介類・野菜などは、素材そのものの糖質は低く、血糖値上昇にはほぼ影響なし。ただし、料理によって小麦粉やデンプンの多いいも類を使うと、GI値もGL値も上がる点に気をつけて。
糖質制限食の代表格、牛ステーキは高たんぱくで、糖質はゼロの優秀食材なので、糖質制限食として好まれている。ただし、付け合わせのじゃがいもやコーン、甘だれソースには要注意。
◆ハンバーグ(GL値9)VS.メンチカツ(GL値20)
メンチカツ(2個)とハンバーグ(1個)は、ともに分量150gでひき肉を使っているが、小麦粉の衣をつけて揚げる点で、GL値にダブルスコア以上の差がついた。ただし、ハンバーグのソースは甘味料入りなので注意が必要だ。
◆チキンナゲット(GL値7)VS.ギョーザ(GL値15)
ギョーザ約6個分、チキンナゲット約5個分で比較。ギョーザの皮に使われている小麦粉の量が、チキンナゲットより多い分、ギョーザの方が血糖値上昇に悪影響を及ぼすが、チキンナゲットはソースにも注意を。
◆ポテトコロッケ(GL値16)VS.えびフライ(GL値10)
えびフライ(大2本)はえびに小麦粉とパン粉をまぶしているため高糖質だが、救いは具材のえびがたんぱく質という点。一方のポテトコロッケ(中1個)は、糖質の多いじゃがいもに衣をつけて揚げる、糖質オン糖質のダブルパンチ!
GL値の比較:間食の場合
血糖値コントロール中に甘味は一切ダメというわけではない。「食後のデザートは血糖値を急上昇させますが、3時のおやつは血糖値が落ちる時間帯なので大丈夫」と團さん。おやつ選びの基本を知ろう!
◆ショートケーキ(GL値24)VS.大福(GL値42)
GI値はほとんど変わらないが、GL値で比較すると大福の方が倍近く高くなる。これは和菓子に砂糖たっぷりのあんこや大福の皮が血糖値を上昇させやすいから。一方、ショートケーキは生クリームの脂質が糖質吸収を穏やかにしてくれるのだ。
◆ポテトチップス(GL値20)VS.せんべい(GL値16)
GI値では、お米が主原料のせんべいが2枚あたり(44g)91、じゃがいもが主原料のポテトチップスが1袋あたり(60g)60。ところがGL値では、せんべいが16、ポテトチップスが20と逆転する。どちらにしても数値が高め。食べる量は控えめに。
◆アイスクリーム(GL値28)VS.シュークリーム(GL値14)
シュークリーム(1個)のGL値はアイスクリーム(1カップ)の半分。これはヒトが冷たい食べ物の甘みを感じにくいため、アイスクリームに大量の糖類を使用しているから。そもそもの糖質量が多い。
◆白ワイン(GL値1)VS.ビール(GL値7)
一般的なビールの糖質は350ml缶で11g。対して、白ワイングラス1杯分の糖質は辛口なら2gと少なめ。GL値でもビール7、白ワイン1と、白ワインが少ない。ちなみに焼酎、ウイスキーなどの蒸留酒は基本的に糖質ゼロ。
◆レーズン(GL値39)VS.ぶどう(GL値6)
ぶどうは1房、レーズンは1/2カップの量。果物の果糖は血糖値が上がりやすいうえ、最近の果物は甘みが強く、ぶどうやバナナ、柿などは特に糖質量が多い。レーズンなどのように果物をドライフルーツにしたり、シロップ漬けにしたりすると、より糖分がアップするので注意を。