認知症の祖母の「徘徊」に口出しせず付き添ってみたら…
突然、だまって外に出て行き、あてもなくさまよい歩くように見える「徘徊」。介護中に起こると、家族にとってはとても心配な行動だ。
86才の祖母を在宅介護しているライター・奥村シンゴ氏。祖母は認知症の症状もあり、徘徊することが増えてきたというが、最近、たまたま祖母が家を出る段階で気づき、そのままその徘徊に付き添ってみた体験をリポート。一緒に歩いて気づいたこととは?
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認知症祖母を在宅介護して6年目が経過するが、最近「徘徊」の頻度が週2回程度と増えてきた。
徘徊は、認知症の症状の一つで、見当識障害や記憶障害などの影響で起こることが多いという。祖母の場合も、私の知らぬ間に家を出て近所を歩き回ることがあるのだ。
先日、徘徊する祖母に付き添うことができたので、その時の様子と一緒に歩いたことで、気づきがあったのでお伝えしようと思う。
普段の倍以上の速さで歩く祖母
ある日のこと、突然朝方に玄関のドアノブをガチャガチャガチャする音が聞こえたので、見にいくと祖母が物凄い鬼の形相で「これなんで開かないの?外に出たいの」と出かけようとしてる。
「ばあちゃん、今日施設行くのはお休みだから家でゆっくりしてよ。後で散歩に一緒に行こうね」と私が言うのにも聞く耳を全くもたない。
徘徊を止めることは不可能だと思い、祖母と一緒に外に行くことにした。
祖母はここ3年程で体重が15キロ程増加し、140センチ少しに64キロあり、足はむくみがひどく、かろうじて片杖でゆっくり歩行できる程度。
しかし、この時は普段の歩行速度からすると信じられないぐらい速いスピードで歩き始めた。
以前、ケアマネジャーに「 徘徊の時は考えられないほど早く歩いて行かれることが多いんです。何キロも先で発見されたケースも少なくありません」と言われたことを思い出した。