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介護保険法改正で注目!要介護認定で正しく評価をうけるコツ

 介護中の家族にとって、介護サービスを保険でまかなう割合は大きく、介護保険法の改正で、自己負担金額が変わるかどうかなどは、たいへん気がかりな話だ。

 また、介護認定の変化で負担額が変わることも。在宅で祖母の介護を6年間続けているライター・奥村シンゴ氏が、自身の体験をもとに正しく認定を受けるコツなどを伝授する。

 * * *

 最近、祖母のケアマネジャーや訪問看護師など、周囲から

「要介護認定が厳しくなり、おばあさまと同じような症状でも要介護度が下がるケースが相次いでいます」

 という話をよく耳にする。

 このたび改正された介護保険法で、自治体が高齢者の自立支援や重度化防止に注力するインセンティブとして、国が交付金を設けることになった。頑張った自治体にはより多くの交付金が支払われる制度だ。

 国からインセンティブを市区町村に与えることは、言い換えれば「市区町村は国からノルマを課せられるようなもの」で、評価を受けたいがばかりに、今後は、自立支援がうまくできているように見せるために、今までの要介護度を下げて判定されてしまうのでは…という懸念が沸いてくる。

介護保険法改正で家計に大打撃を受けるかも

 また、介護保険料の自己負担額割合も変更になる。年金収入などで340万以上の世帯は介護負担が2割から3割負担(※1)になり、1割負担増になるだけでも月3万以上の介護費用が上がる恐れがあるのだ。

※1:利用者本人の合計所得金額が220万円以上で、本人を含めた65才以上の人が世帯に1人なら、『年金収入+その他の合計所得金額』が340万円以上の場合(夫婦など2人以上なら463万円以上の場合)、利用者負担が2割から3割にアップする。

 祖母の場合は、(介護保険法の改正とは関係なく)昨年1割から2割負担になった。

 週2回、デイサービスとショートステイかお泊まりデイ、週1時間の訪問看護を利用し、車椅子とベッドを貸与している状況で1割負担の時は月6万円程の負担だったが、2割に増えたことで月10万円程まではねあがった。

 1割負担が上がるだけでも本人や家族にとっては大打撃なので、3割の負担となればやりくりがかなり困難になる世帯も続出するのではないだろうか。政府の方針には疑問を覚える。

 加えて、要介護度認定が変わってしまうと大変なことになる。

 祖母は要介護認定(※2)が今年4月にあった。今回で3回目となるが、幸いと言うべきか前回と変わらず2年間要介護4だった。

 デイサービス、ショートステイ、訪問看護など介護サービスを従来通りの額と頻度で利用することができ一安心しているところだ。

※2:要介護認定の有効期間は2年(24か月)。改正介護保険法では、有効期間の更新が最大3年(36か月)になる。

介護認定で正しい評価を受けるコツを伝授

 そこで、在宅介護6年目の私が要介護認定で正しく評価されるコツを伝授したいと思う。一個人のアドバイスだが、介護家族実体験に基づく意見をぜひ参考にしてもらえればと思う。

 祖母は認知症と変形性膝関節症と間質性肺炎を患っており、食事、排尿・排便、着衣・着脱、金銭管理、内服薬などの日常生活から情緒不安定、独り言、徘徊、ひどい物忘れ、昼夜逆転、同じ話を繰り返すなどの症状がある。

●要介護認定時に一番みている人最低一人の同席は不可欠

 本人のみだとうまく伝えられないことや認定調査員も初対面が多く30分程で判断する必要があるため、誤った介護認定を受ける可能性があるので、一番よく面倒をみている人を最低一人は同席することが不可欠だといえるだろう。

●要介護認定前に直近半年以内の具体的なエピソードを思い出す限り書いておく

 私は訪問調査に向けて、必ず事前に直近半年程を振り返り、本人や家族が困った出来事やエピソードを思い出す限り具体的に書き出すことにしている。

 たとえば、「昨年12月の19時頃に夕食を済ませてしばらくし突然『お泊まりデイに行きたい』と言い出し、私が『また明日行こう、今日はここで寝るねんで』と言っても聞かず、私がトイレに行ってる間に家を飛び出して探しに行くと、警察から連絡があり、家につれて帰るという徘徊症状がみられた」といった内容。

 このように時期、時間、季節、状況、結果を具体的にエピソード形式で書くと伝わりやすいだろう。

●夜間介護の困り事を具体的に伝えると効果的

 これはケアマネジャーや訪問看護師から認定調査の度に言われる。

 夜間はいろいろ症状が変化しやすく、介護する側にとっては負担が大きくなるからだ。

 祖母の例を挙げると「トイレの便器と反対に向いて排泄し、多い時は1日10回程度はするのだが、その度に家族が介助する必要がある。ショートステイを週2回利用しているが、週5回は介助する必要があり、寝る暇もなく家族は疲弊している」と伝えるようにしている。

●普段からケアマネジャーや訪問看護師との密な連携を

 主治医の意見書は要介護度の決定に大変重要だと聞くが、私はケアマネジャーや訪問看護師と家族の連携があってこそだと思っている。

 祖母の主治医は認知症専門医ではないが、毎週認知症患者の往診にいろいろな施設や自宅に出向いている。

 祖母も月1回デイサービスで往診対応をうけており、ケアマネジャーは「意見書をよく書いていただいています」と言っている。

 主治医は往診対応中心なので、家族がそれほど接する機会はないのだが、訪問看護師やケアマネジャーが随時祖母の状況を送ってくれているので、往診時に主治医は訪問看護師やケアマネージャーからの報告書を参考にしながら診断書を書いてくれる。

 もちろん主治医選びは大切だが、ケアマネジャーや訪問看護師との日頃の連携は、要介護度で正しい評価をしてもらう上で不可欠と言えるだろう。

 以上をご参考に、要介護度を正しいを受け、無理のない在宅介護を送っていただきたいと切に願う。

文/奥村シンゴ

プロフィール:大学卒業後、東証一部放送・通信業界で営業や顧客対応などの業務を経験し、6年前から祖母の認知症在宅介護を経験中。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディア、阪神地区のテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。他時折テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。

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