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認知症の母が暮らす極寒の岩手で悲鳴…冬の介護に必要なものとは?

 作家でブロガーの工藤広伸さんが遠距離介護する認知症の母は、岩手・盛岡に1人暮らししている。今年の冬、東北地方には寒波が到来。例年に比べて寒さが厳しく、豪雪の不安も…。今回は、遠距離介護における冬の寒さ対策についてのお話だ。

極寒の岩手に住む認知症の母の寒さ対策

 2012年から始まった8年の遠距離介護の中で、最も寒い今年の冬。

 岩手県盛岡市は、朝の最低気温がマイナス10℃以下の日や、日中も0度を超えない厳しい冷え込みが続いており、築50年以上が経過し断熱材が入っていない実家でわたしは、寒さで悲鳴をあげています。

 そんな実家で暮らす母は、認知症の症状からマイナス10℃がどのくらい寒い気温なのかを理解できません。朝の予想最低気温がマイナス14℃であっても、自分で寒さ対策をすることは難しいのです。

 そのため今冬は、母の様子を東京から見守りカメラで確認するだけでなく、実家の室温まで見守りを行っています。

 今回は、室温を遠隔で見守りながら暖房機器を操作する方法をご紹介します。

冬の介護で活躍する遠隔介護アイテムとは?

 まず、盛岡市の寒さを知るために欠かせないのが、お天気アプリです。

 スマートフォンをタップするだけで、盛岡市の気温・湿度・気圧がリアルタイムで分かります。また、天気予報が最大17日先まで表示されるので、実家の室温を注意して見守るべき日が分かります。

 併せて活用しているIoT機器※が、スマートリモコンです。

 スマートリモコンは、スマートフォンのアプリから、テレビやエアコンなど赤外線でコントロールできる家電を遠隔で操作できます。

 スマートリモコンは予約設定が可能で、エアコン側で予約設定をしなくとも、スマートリモコン側の設定のみで、暖房が稼働します。
 
 例年の冬ならば朝5時に電源を入れ、暖房27℃、風量2にしておけば、朝6時には実家の居間の室温が12℃くらいになっていました。

 ところが今冬はこの設定のままだと、室温が10℃を超えないので、毎朝4時に入れ、暖房30℃、風量3と強めの設定に変更しました。

 先日、盛岡市の朝の最低気温がマイナス14℃の日がありました。スマートリモコンで、東京から岩手の実家の居間の室温をチェックしたら1℃と表示され、どんなに暖房を強く設定しても、古い実家ではマイナス14℃には勝てないことが分かりました。

 居間はこのような寒さ対策ができますが、台所にはエアコンがありません。しかもフローリング。居間以上に寒い台所は、どのような寒さ対策をしているのでしょう?

※IoT機器=Internet of Things、インターネットを介して遠隔操作できる機器のこと。

→離れて暮らす親の見守りカメラのプライバシー問題に心がザワついた話

灯油ファンヒーターのスイッチを遠隔操作で…

 本当は台所にもエアコンを設置して、先ほどご紹介した方法で遠隔操作したいのですが、電気容量の関係でエアコンの増設ができないため、未だに灯油ファンヒーターを使わざるを得ません。

 また雪国では、エアコンよりも灯油ファンヒーターのほうがすぐ暖まり、床に近い位置で温風が出るので、床付近の温度がすぐ上がり重宝します。そのため、エアコンと併用している家も多くあります。

 わが家では『Switchbot』というIoT機器を使って、灯油ファンヒーターの遠隔操作と、台所の室温をモニタリングしながら、寒さ対策を行っています。『Switchbot』は、人間の指のような小さなアームがスイッチから出てきて、ボタンを押してくれる装置です。

 灯油ファンヒーターの電源ボタンのところに、強力な両面テープでスイッチを貼り付け、ネットと接続すれば、スマホで遠隔操作が可能になります。同じシリーズの温湿度計もネットとつながっており、台所の室温が10℃以下になると、自動でスイッチが作動します。母を寒さから守るために、やむを得ず行っている方法であり、火災のリスクがあるためあまりオススメはできません。

 また、ファンヒーターのタンクに灯油を補充する必要があり、灯油の入ったポリタンクからポンプを使って行います。母はポンプの使い方も、ポリタンクの場所も分からないので、妹が定期的に通って補充しています。

 このようなIot機器を使って、母をなんとか寒さから守っているのですが、外の雪だけは解決できません。雪は、どう対処しているのかを記します。

→認知症の母のために息子が実践する目からウロコの家事ルール

雪かきに介護保険サービスは使えるか?

 岩手県盛岡市は太平洋側に位置しており、日本海側と比べると雪の量はそれほど多くはありません。今冬は寒いのですが、積雪は10センチ程度です。

 雪かきは、介護保険サービスに含まれません。そのため、ほぼ毎日自宅を訪れるヘルパーさんに、雪かきの依頼はできません(保険外で対応してくれるところはある)。

 そこで市が提供している雪かきボランティアの利用を検討したのですが、必要になるタイミングは皆さん同じで、しかも急に必要になるケースが多いため、こちらの都合で雪かきをお願いできず、利用しませんでした。

 本格的に雪が積もった場合は、実家から車で1時間ほど離れた妹にお願いして、雪かきをしてもらいます。よっぽどの雪の量でない限り、雪かきはお願いしないので、8年の遠距離介護の中で数回程度しかありません。

 毎年1月から2月は、わたしの遠距離介護の期間を延長したり、回数を増やしたりして寒さに対応しています。

 現在、コロナ禍で往来が難しい状況にありますが、今冬の寒さは本当に凄まじいので、1か月半ほど長期で実家に滞在し、母を見守りながら厳しい冬と戦っています。

→コロナ禍での工藤さんの介護帰省の方法は?

 今日もしれっと、しれっと。

→工藤広伸さんの他の記事を読む

工藤広伸(くどうひろのぶ)

祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)。音声配信メディア『Voicy(ボイシー)』にて初の“介護”チャンネルとなる「ちょっと気になる?介護のラジオ」(https://voicy.jp/channel/1442)を発信中。

●認知症の母がコロナ禍で”マスクしねばねぇの?”と言う意味は…

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