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健康

多剤併用すると危険な薬|”薬やめる科”の医師が教える薬の飲み合わせ

 病気を治し、健康を守るための薬をのめばのむほど体が蝕まれていく――そんな“不都合な真実”がある。コロナ禍で病院へ足を踏み入れづらいいまだからこそ自分の体と向き合い、その薬を本当にのむ必要があるか、胸に手を当てて考えてほしい。

薬やめる科の医師が指摘…薬ののみ過ぎの危険

 厚生労働省の調査によると、1か月に1つの薬局から受け取る薬剤の数が5種類以上にのぼる人の割合は、40才から64才は4人に1人、65才から74才は3人に1人といわれている。75才以上になれば4人に1人は7種類以上もの薬を受け取っている。

 とはいえ、いきなり大量の薬が出されるわけではない。内科や耳鼻科、整形外科…さまざまなクリニックに通うたび、少しずつ薬が増えていき、気づいたときにはかなりの量を服用することになってしまったというケースが多い。「お医者さんの指示だから問題ない」と受け入れてしまいがちだが、そのまま漫然とのみ続けることには大きな危険がつきまとう。

「薬やめる科」を設ける松田医院和漢堂院長の松田史彦さんが指摘する。

「薬の種類は膨大で、次々と新薬が登場するため、すべての副作用を製薬会社や医師が把握するのは不可能に近い。しかも、どんな薬であっても、添付文書に記載されていない副作用が出る可能性があります。例えばじんましんや頭痛、だるさ、足がつるなどの症状が出たときに薬の服用をやめたらおさまったというケースもあるのです」

→「血圧は低めがいい」が最終結論!高血圧、薬の種類と向き合い方

多剤併用で特に危険な薬は…

 その程度ならまだしも、なかには重大な状態に至る可能性を持つ薬もあると松田さんが続ける。

「特に危険なのは、睡眠薬や抗不安薬などメンタルにかかわる薬。その理由は依存性が強いことにあります。

 2週間から1か月程度のんだだけでも、服用しなければ眠れない状態に陥る患者も少なくない。この種の薬は連用すると効きにくくなり、量を求めるようになりますが、当然副作用のリスクも増える。記憶力や判断力が鈍くなったりするケースも散見され、本人は気づいていないことも多いために、認知症と勘違いされてしまう人もいます」

 単剤であっても、予期せぬ副作用が出る可能性があるのが薬だ。ほかの薬剤と一緒にのめば、なおさら、何が起きてもおかしくない。

「薬はいわば“化学物質の塊”。それを複数のみ合わせるということは、それらが体の中でミックスされている状態。いわば“化学物質のカクテル”を飲んでいるのと同じことになる。2種類くらいならまだしも、それ以上になると、どんな副作用が出るのかは医師も薬剤師も本当は誰もわからないというのが実情です」(松田さん)

65才以上が処方されている薬の種類のグラフ(2015年日本調剤調べによる)

 実際に日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で発表した内容によると、薬によって有害なことが起きる確率は処方された薬の数に比例し、6種類を超えると発生頻度が大きく増加すると報告されている。たかせクリニック院長の高瀬義昌さん(高ははしごだか)が指摘する。

「なかでもうつ治療薬や頻尿防止の薬などの抗コリン作用を持つ薬剤は、併用すると認知機能が低下する可能性があります。抑うつ傾向にある高齢者に頻繁に処方される『デパス(エチゾラム)』も頻尿防止の『トリプタノール(アミトリプチリン)』も抗コリン作用があります。

 アルツハイマー型認知症は脳の中のアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質が不足する病気ですが、抗コリン作用を持つ薬にはアセチルコリンをブロックする働きがあるのです。そのため、抗コリン作用を持つ薬を併用すると認知機能が低下します。実際に、併用することで認知症のリスクが高まるというデータもあります」(高瀬さん)

→医療費削減に画期的な新薬か 薬とのつき合い方見直しに注目の意外な薬とは?【医師監修】

教えてくれた人

「薬やめる科」を設ける松田医院和漢堂院長/松田史彦さん、たかせクリニック院長/高瀬義昌さん

※女性セブン2021年1月28日号
https://josei7.com/

●長生きのためにやっても意味ないこと5つ|習慣で飲んでいる薬、無理な減塩…

●市販薬に頼らず、すぐに病院へ行くべきケース|食欲不振が長引く、熱を伴う腹痛…

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