お雑煮研究家に教わるお雑煮の秘密と個性的なご当地レシピ10選|もちなし雑煮、蒸し雑煮も!
正月のお雑煮は、おもちは、丸もちか、角もちか? すまし汁か、白みそか…。日本全国のお雑煮を食べ歩いて研究を重ねているお雑煮研究家・粕谷浩子さんに、日本各地のお雑煮の特徴や作り方を教えてもらった。いつもの味ではないお雑煮も、ぜひ挑戦してみて!
お雑煮とは? もち+汁+具材
お雑煮の定義は、もちと具材が汁の中に入っている状態。汁の味つけ、具材は千差万別です。
「『うちのお雑煮は普通です』と誰もが言いますが、実はそれが全部違うんです」と、お雑煮研究家の粕谷浩子さん。
「お雑煮は、背景にその地域の物語がある家庭料理。だしの種類もたくさんあり、焼きはぜ、焼きあご、焼きえびなども。具材も特産物や伝統野菜が入ったりして、ご当地感満載なんです」 (粕谷さん)
2大派閥「白みそ汁・丸もち派」と「すまし汁・角もち派」の作り方と、人気急上昇中の注目お雑煮の作り方をご紹介!
もちの形は丸もち派?角もち派?
岐阜・関ヶ原より東が角もち、西が丸もちと、およそ分かれています。もちの形は出身地を表しているかも!?
■おもに東日本の角もち派!
焼いて汁に入れたり、煮たり。東日本でも、山形・庄内地域では丸もちを使うところも。
■おもに西日本の丸もち派!
汁に入れて、そのまま煮ることが多い。ただし、西日本でも四国の高知は、角もち派。
お雑煮に使える簡単水だしの作り方
お雑煮研究家・粕谷浩子さんおすすめするだしの作り方はとっても簡単。
「麦茶ポットなどに水とかつおぶしや昆布など適量を入れて一晩おけば、本格的なだしが完成」
ニッポン各地のお雑煮レシピ10選
その地域の食材を生かした豊かで自由なめくるめくお雑煮の世界。ゆるやかに、でもたしかに継承されてきた、常識にとらわれないお雑煮たちをぜひ楽しんでください!
東京:すまし仕立てのお雑煮
香ばしい焼きもちがだしの香りを引き立てる
<材料>(2人分)
・もち(あれば角もち)…2個
・鶏もも肉…1/4枚
・生しいたけ(十文字の飾り切り)…2枚
・小松菜…2株 ・なると(3mm厚さの薄切り)…4枚
・三つ葉…少々 ・だし…2カップ
【A】
しょうゆ・みりん…各小さじ1
塩…小さじ1/4
<作り方>
【1】鶏肉は小さめの一口大に切り、周りが白く色が変わるまでゆでてざるに上げる。小松菜はゆでて3cm長さに切る。
【2】鍋にだし、鶏肉、生しいたけを入れて火にかけ、煮立ったらアクを除き、5~6分煮て【A】で調味する。
【3】椀になると1枚を敷き、こんがりと焼いたもち、鶏肉、小松菜、しいたけを盛り、汁を注ぎ、なるとと三つ葉をのせる。
大阪:白みそ仕立てのお雑煮
一緒に煮込んだ野菜の旨味がまろやかに溶け込んで
<材料>(2人分)
・もち(あれば丸もち)…2個
・里芋…2個
・大根…3~4㎝
・にんじん(あれば金時にんじん)…1.5~2cm
・三つ葉…少々
・だし…2カップ
・白みそ…大さじ4
・塩・みりん…各少々
<作り方>
【1】里芋は2~3等分の輪切りに、大根、にんじんは7~8mm厚さの輪切りにする。
【2】鍋にだし、里芋、大根、にんじんを入れて火にかけ、10分煮る。みそを溶き入れ、塩、みりんで味を調える。
【3】椀に大根1枚を敷き、軟らかくゆでたもち、具材を盛り、汁を注ぎ、三つ葉をのせる。
北海道:オニオンスープ風のお雑煮
玉ねぎの甘さが揚げもちのコクと相性抜群!
<材料>
・もち(あれば角もち)…2個
・玉ねぎ…1個
・だし…2カップ
【A】
しょうゆ…大さじ11/2
砂糖…大さじ1/2
揚げ油…適量
<作り方>
【1】もちは4等分に切り、160℃の揚げ油で5~6分揚げる。
【2】玉ねぎは5mm幅のくし形切りにする。鍋にだし、玉ねぎ、【A】を入れて火にかけ、玉ねぎがくたくたになるまで15~20分煮る。
【3】椀に【2】を盛り、【1】をのせる。
富山:えび雑煮
北陸は比較的シンプル系が多いなか、異彩を放つ華やかなお雑煮。昆布だしにえびや魚肉だんごからいい味が!
茨城:常陸太田雑煮
豆腐と白みそをすりつぶしてだしでのばし、砂糖と塩で調味。すまし主流の関東圏内で、個性際立つ甘系雑煮。
香川:白みそあんもち雑煮
甘いあん入りもちがとろりと溶けた白みそ仕立て。関西圏と違って四国らしくいりこだし。あおさを少々のせて。
徳島:うちちがえ雑煮(もちなし雑煮)
白い大きな物体は豆腐。お雑煮の定義を思いきりはずしてもちは入らず、祖谷地区特産の「岩豆腐」がドーン!
福岡:蒸し雑煮
いわゆる茶碗蒸し状態。この中に丸もちが入っているというからびっくり。朝倉市、筑前町、東峰村の一部地域に伝わる。
熊本:納豆雑煮
かつおと昆布のだしに甘めのしょうゆで調味。ここから丸もちを取り出し、納豆をからめて食べるという変わり種。
沖縄:中味汁
唯一お雑煮文化のない沖縄。中味とは豚の内臓のことで、琉球王朝時代から続く手間暇かけたハレの日の伝統料理。
※ここでご紹介しているお雑煮は、あくまで一例です。ひとつの都道府県や地域内でも、お雑煮の種類はたくさんあります。
教えてくれた人
粕谷浩子さん/お雑煮研究家
撮影/福尾美雪、大塚七恵 スタイリング/阿部まゆこ
※女性セブン2021年1月7日・14日号
https://josei7.com/
●簡単!基本のおせち|飾り切りのにんじん、しいたけで華やか”いり鶏”、レンジで”栗きんとん”|レシピ