健康寿命1位へ「長野県」の秘密|そば店が多い、魚代わりにおやき、野沢菜漬けの力ほか
魚代わりにおやきを食べる
名産品にめぐまれる長野の唯一の弱点は海がないことで、魚が豊富に捕りづらいところ。特に近年、魚に含まれる「オメガ3系脂肪酸」を多く含む良質の油は血流から免疫力まで健康に多大に寄与していることが明らかになっている。「海なし県」の長野はどう対応しているのか。
「昔から川魚を食べる風習があります。鯉を煮込んだ鯉こくやうま煮のほか、ふなやあゆなどもよく食べる。諏訪湖の魚を佃煮にして食べたり、海なし県なりに工夫してきました」
そうは言っても、日常的に魚介類を口にできる海辺の人たちの摂取量にはかなわない。白澤さんは長野の伝統食「おやき」がその役割を果たしているのでは、と指摘する。
「オメガ3系脂肪酸の血中濃度を調べたことがあるのですが、海が遠いにもかかわらず、なぜか長野の人の値は高かった。つまり、植物から摂っている可能性が高い。信州郷土料理のおやきには『くるみみそ』を使うものがあり、そこにはオメガ3系と同じ油分が含まれます。エビデンスはまだありませんが、血中濃度から考えると、おやきの効能のおかげではないかと考えています。おやきは、多くの野菜も摂れて理想的な食品です」(白澤さん)
海はなくとも、信州には豊かな自然がある。山の幸や畑から採れるものなど、古くから食べられてきた伝統食に再びスポットを当てれば健康を取り戻せるのだ。