免疫力を低下させる「宿便」、ぽっこりお腹の解消法|空腹時の白湯と梅流しが効果的
梅雨が明ければ、夏本番!衣類も夏物の出番がやってくるが、いざ着てみると、心なしかサイズがキツい。「コロナ太り」を疑って鏡を見れば、特に下腹が目立つ…。そういえば、顔色もくすんでいるような感じがするし、肌の調子もよくない──。
実はこれ、単なるコロナ太りではなく、お腹の中に詰まった「宿便」や「ガス」が原因かも。ポッコリお腹を生み出す腸内のやっかい者、「宿便」を撃退する方法を取材した。
ヘドロ状で臭い「宿便」が免疫力を低下させる
宿便とは、腸内に長く留まっている便のことを指すが、一体普通の便とどう違うのか。管理栄養士の稲尾貴子さんが解説する。
「通常の便通で出し切らなかった便のため個人差はありますが、ヘドロ状で粘り気があり、どす黒い色や強烈な悪臭を放つなどの特徴を持っています。3日に1回しか便通がない人や、お通じはあるものの常に残便感がある人、ジャンクフードを好んで食べ野菜不足の人などの腸にたまりやすいといわれます」
かつては、「宿便は大腸のひだにごっそりたまっており、腸洗浄などをすると数㎏単位で出る」というふうに喧伝されたこともあったが、現代医学では否定されつつある。
宿便の正体とは
東洋医学に詳しいみうらクリニック院長の三浦直樹さんが指摘する。
「消化器外科の先生がたが言うように、大腸を内視鏡で見ても残便は見つかりません。ただし、断食をしても便通はあるため、腸内に滞留する便が存在することは事実です。小腸の粘膜には絨毛細胞という非常に細かいひだがあり、そこに腸内細菌の死骸やはがれた腸壁、食べたもののカスなどがたまっています。私は、それが宿便の正体ではないかと考えています」
どうやら宿便は、はっきり視認できない形で腸に“潜伏”しているもののようだ。だが、その見えづらい宿便でも、たまれば体全体にさまざまな影響を及ぼす。
「腸内にたまった宿便は腐敗・発酵して腸壁を荒らし、消化機能を低下させます。すると、食物が未消化のまま、体にとって過度な刺激や毒となる成分が分解されずに腸から吸収され、肌荒れやアレルギー、リウマチやアトピーなど自己免疫疾患の原因にもなるのです」(三浦さん)
まさに体全体に悪さをするわけだ。
梅干しと大根で「腸の大掃除」を
それでは、宿便を出すためには、どのような対策が立てられるのだろうか。
●朝、空腹時に白湯を飲む
「まず試してほしいのは、朝の空腹時に白湯を飲むこと。便秘の解消法としても広く知られていますが、宿便を排出するときの方法としてもおすすめできる。毎朝マグカップに1杯程度を、ゆっくり時間をかけて飲むと、より効果が高まります」(稲尾さん・以下同)
注意すべきは、あくまで白湯にこだわること。
「お茶や麦茶よりも白湯の方が効果が高いのです。お茶にはカフェインが入っているものも多く、胃に負担がかかるほか、利尿作用があるので体内にたまってほしい水分が抜けてしまい、便を硬くし、かえって排出しづらい状態に。白湯ならば空腹の状態でも体に浸透しやすく、腸の活動やぜん動運動を促して、スムーズな排便につながります」
●昆布だしで煮た大根に梅干しを加えたものを食べる
加えて試してみたいのが腸の大掃除ともいわれる「梅流し」。昆布だしで煮た大根に梅干しを加えたものを食べて、腸のデトックスをする方法だ。
「作り方は簡単。大根を1cm幅に輪切りにし、昆布を入れてやわらかくなるまで煮て最後に梅干しをちぎりながら入れるだけ。味が薄くて食べにくければ、みそを加えてもかまいません」
実践する時間帯は白湯と同じく朝が望ましい。
「晩ご飯を軽く済ませた次の日の朝に、空腹の状態でまずは煮汁をたっぷり飲み、それから大根と梅干しを食べることを繰り返します。煮汁が腸を温め、大根の食物繊維がブラシのように宿便をかき出す働きをするほか、梅干しのクエン酸が洗剤のように腸内を洗ってくれます」
●「梅流し」は毎日行わない!
ただし、梅流しは毎日行ってはいけない。
「一度宿便が出たら終わりにし、消化のいい食べ物に切り替えて。毎日行うと腸が荒れてしまいます。腸内環境の悪化を感じたとき、リセットするために行うほか、お腹がポッコリしてきたときに限ってやってみてください。ただし持病のある人や通院中の人は自己判断で行わず、必ず事前に主治医に相談しましょう」
悪玉菌だけでなく善玉菌も押し流してしまうため、調子が悪いと感じたときだけに限った方がよさそうだ。ここぞというときの大掃除も大事だが、普段から調子を整えて、宿便がたまらないような腸内環境をつくることも重要なのは言うまでもない。
「普段からウオーキングなどの運動をして腸に刺激を与えつつ、白湯を飲む。コーヒーなど利尿作用があり体の中から水分を奪う飲み物は、摂りすぎないことです」
三浦さんも言い添える。
「現代はインスタント食品やスナック菓子など、添加物が入った食品を口にすることが多く、こうした食生活は宿便をためるもとになります、また、腸内の温度は42℃前後だといわれており、肉ばかり食べていれば消化が追いつかず、高温の環境で腐って老廃物になりやすい。食物繊維が摂れる野菜などもバランスを考えて食べるようにしてほしい」
自分の腸内環境がどうなっているのかを把握し、良好な状態に保つよう日常生活の中で小さな努力をする。それだけで宿便による不調から距離を置くことができるのだ。
教えてくれた人
稲尾貴子さん/管理栄養士。
三浦直樹さん/東洋医学に詳しいみうらクリニック院長。
※女性セブン2020年7月9日号
https://josei7.com/