狂犬病ほかペットから人に感染する怖い病気|年間5万人死亡、致死率100%の病気って?
狂“犬”病という名称に惑わされるが、犬に限らず、猫やイタチなどからも感染することもある。
「狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物にかまれることによって発症します。現在のところ有効な治療法はなく、発病後の致死率はほぼ100%。WHOの推計では、世界で年間約5万5000人もの人が、狂犬病が原因で亡くなっています」(佐藤さん、以下同)
日本では、1950年に「狂犬病予防法」が施行され、狂犬病の予防注射の義務化や輸入犬の検疫などが徹底され、近年は日本では発生していない。しかし、海外では未だ多くの感染者が出ているので、海外旅行の際は要注意。
なお、愛知県豊橋市で狂犬病の発症者が確認されたと報道された。これは国内で14年ぶりとなる狂犬病の症例となる(2020年5月25日追記)。
※厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
その他、ドブネズミなどの尿から感染するレプトスピラ症や、キタキツネから感染するエキノコックス症、ミドリガメやイグアナからうつるサルモネラ症、インコやオウム、ハトなどの糞に含まれるクラミジア菌を吸い込むことで感染するオウム病、マダニなどからうつるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などがある。
感染を防ぐために気を付けるべき9つのこと
動物からの感染を防ぐためには、ペットとは節度あるふれあいが大事だと佐藤さんは語る。そのためにも、以下のことに注意が必要だと佐藤さんは話す。
1.食べ物を口移しで与えない。
2.箸やスプーンを共有しない。
3.口をなめられたら洗う。
4.ペットとキスはしないこと。
5.動物に触ったら必ず手を洗う。
6.野良猫や野良犬などは安易に触らない。
7.寄生虫などがいる場合があるので、ペットに生肉は与えない。
8.動物の身の回りを清潔にする。
9.糞尿は速やかに処理する。
「ペットを飼っていなくても、公園の砂場や庭などには、野良猫や野生動物の糞尿が残っている場合も。ガーデニングや草むしりで土いじりをした後も、必ず手を洗うようにしましょう」
ペットからの感染症は発見が遅れがち
動物由来感染症に感染しても、はじめは、風邪やインフルエンザや、ありふれた皮膚トラブルに似た症状のことも多く、病気の発見が遅れがちになるという。
自分の体調がいつもと違うと感じたら、すぐ医療機関(内科、または外科)を受診しよう。その際、ペットの飼育状況や、もし野生動物と接触した覚えがあったらそのことを伝えた方が、その後の診断もスムーズだ。
動物は必ずなんらかの病原体を持っている。ペットの体をなでたり、一緒に遊ぶなどのスキンシップは大事なことだが、過剰な触れ合いは禁物。近すぎず遠すぎずの程よい距離感を保つよう心がけよう。
教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん
麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問(https://mamec.wolves-tokyo.com/)。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…)にて配信中。
取材・文/鳥居優美
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