新型コロナ肺炎から身を守る「免疫力」|鼻粘膜が弱い人は要注意
治療薬も特効薬ない脅威に克つには?
新型コロナウイルスの脅威は日に日に増すばかりだ。2月13日には神奈川県在住の80代女性が、20日にはダイヤモンド・プリンセス号の乗客だった80代の男女2人が死亡。国内の感染者数は800人を突破し(2020年2月24日現在)、すでに感染ルートが追えない状況に陥っている。21日には6才以下の未就学児への感染も確認されるなど、いつ、どこで、誰が感染してもおかしくない状況である。
新型コロナウイルスによる肺炎―治療薬も特効薬もないこの病を防ぐにはどうしたらいいのか。
その答えはいまのところ一択、「免疫力」を上げること。そこで、免疫の専門家と医師に解説いただいた。
→新型コロナに粘膜対策|目薬、ガム、水分補給を。免疫力チェックリスト付
感染するかしないかは免疫力の差
もっとも大きな問題は、インフルエンザに対するゾフルーザのような治療薬や特効薬がまだ見つかっていないこと。つまり、私たちは自力でこの未知のウイルスを防がなければならないのだ。
「だからこそ、外から侵入してくる細菌やウイルスを撃退して体を守る『免疫力』を高めることが重要になる」
こう話すのは、『それでは実際、なにをやれば免疫力があがるの?』(ワニブックス)の著者で純真学園大学客員教授の飯沼一茂さんだ。
同じように感染者の近くにいても、新型コロナウイルスに罹患した人もいれば、しなかった人もいる。この差を生んだものこそ「免疫力」だ。
「ウイルスに感染するかどうかは、免疫力が強いか弱いかによります。免疫力を上げれば、新型コロナウイルスに感染しにくくなります。また、仮に感染しても症状が軽くてすむのです」(飯沼さん)
免疫力には自然免疫と獲得免疫の2つがある
そもそも免疫力とは、「疫(病気)」を免れる力のこと。免疫はもともと人の体に備わっている防御システムで、大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の2つの段階に分かれる。
「自然免疫は、侵入してきたウイルスを破壊して小さくし、同時にウイルスの情報を読み取ります」(飯沼さん)
ウイルスが自然免疫を突破してしまったときに、その増殖を防ぐために働くのが、「獲得免疫」だ。
「自然免疫が侵入したウイルスから情報を読み取って『いま、こういうウイルスがきた』という情報をリンパ節に伝達。それを受けてウイルスと闘う何種類もの細胞を送り込み、撃退するのです」(飯沼さん)
鼻の粘膜が弱い人は要注意
全身の免疫の中でも特に、細菌やウイルスが体内に入るのを防ぐ役割をしている粘膜の免疫は、感染症対策においてもっとも重要だ。
「ウイルスの侵入経路になりやすいのは、口、鼻、目、耳、腸の粘膜です。なかでも口において有効な対策は、唾液をたくさん出すことです。粘膜を覆っている粘液にはIgAという抗体(細菌やウイルスを排除する働きをするたんぱく質)が含まれます。IgAは細菌やウイルスと結合し、それを唾液として飲み込んで体外に排出してくれます。万一体内に侵入してしまった場合でも、IgAが細菌やウイルスと結合していれば、自然免疫がスムーズに働いてくれます」(飯沼さん)
こうした免疫力の強さは、体の状態によって大きく変わる。星子クリニック院長の星子尚美さんが言う。
「特にかぜをひきやすい人、鼻粘膜が弱くてすぐに鼻がぐずつくような人は、意識して免疫力を上げるようにしてほしい」
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免疫力を高めてウイルスを寄せ付けないための具体策については、順次お届けする。
教えてくれた人
飯沼一茂さん/『それでは実際、なにをやれば免疫力があがるの?』(ワニブックス)の著者で純真学園大学客員教授。
星子尚美さん/星子クリニック院長。
※女性セブン2020年3月12日号
https://josei7.com/