記憶力を上げる脳のきたえ方|“記憶力日本一”6回連続優勝者が伝授
最近、「アレ取って」「ソレちょうだい」といったせりふが増えているそこのあなた! 物忘れは年のせいだなんて思っていませんか? 「記憶力低下の原因は、加齢ではありません」と断言するのは、“記憶力日本一”に6年連続で輝いた池田義博さん。今回は池田さんに、何才から始めても効果がある、記憶力アップ法を教えてもらいました!
◆記憶力を上げる生活習慣 あなたはいくつやっていますか?
□ささやかな変化に気づく
□おしゃべりをよくする
□ラジオを聴きながら家事をする
□年齢を気にせず挑戦する
□よく泣き、よく笑う
□ときめきを忘れない
【理論編】脳をだまして記憶力を底上げする3つの方法
「才能や年齢に関係なく、“技術”で記憶力は上がります」と、池田さん。脳と上手につきあうには、まずは脳の性格を知り、これを逆手に取ってきたえよう。
●脳は『嫉妬深い』一途さを見せよう
私だけに集中したら、覚えてあ・げ・る!
脳は、嫉妬深い彼女のようなものだと覚えておいてほしい。何かを覚える時は、覚えることにのみ集中しないと、脳は嫉妬して、記憶スイッチを入れてくれないのだという。
「テレビや音楽をかけながらの“ながら”作業は浮気と同じで論外です。雑念やノイズがない環境で、覚えることだけに集中すると、脳にも本気度が伝わり、情報が頭に入りやすくなります」(池田さん・以下同)
●脳は『寂しがり屋』何回も“会いに”行こう
しつこいと、愛着わいちゃうわよね!
脳は寂しがり屋でもある。あまり会いに来てくれないと…つまり繰り返して覚えようとしないと、“重要じゃない”と判断し、記憶を消してしまう。
「脳は、何度も入ってくる情報を長期間記憶しようとするため、記憶が定着する度合いは復習の回数に比例するといえます」
絶対に覚えたい情報があるなら、トイレや冷蔵庫など、目につきやすいところに書いて貼っておくのが効果的だ。
●脳は感激屋 いつも喜ばせてあげよう
楽しませてくれたコトは忘れないワ!
脳は、感情が伴った情報を優先して記憶する。旅などの楽しい思い出をよく覚えているのはそのためだ。
「脳に入ってきた情報は“海馬(かいば)”という部分で一時保存され、長期間記憶すべきかを選別しています。この時、楽しいなどの感情が動いて“扁桃体(へんとうたい)”という部分が刺激されると、隣の海馬にもその刺激が伝わり、感情が動いた時に覚えた情報を重要だと判断、長期間記憶するのです」
●いつもの習慣が物忘れを助長していた
簡単な漢字も平仮名で書いてしまう、名前を思い出せない俳優はスマホで検索…。こんなことを習慣化していないだろうか? これらの行動は、加齢によって物忘れがひどくなったがゆえに、ついやってしまうものではない。覚えようとしていないことが原因なのだと、記憶力日本選手権大会で6回連続優勝している池田義博さんは言う。
池田さん自身、もともと記憶力がよかったわけではなく、40代半ばから記憶力をきたえ、日本一を手にしている。つまり、きたえれば何才からでも記憶力は高められるのだ。
「人が情報を記憶するには、3つのステップが必要です。まずは情報を覚える(記銘する)こと。そして、覚えた情報を忘れないようにし(保持)、使いたい時にその情報を取り出せるようにする(想起する)。物忘れがひどいと思い込んでいる人は、特に、想起するのが苦手なケースが多いのです」(池田さん・以下同)
想起できないのは、覚え方が間違っているからだという。
「例えば、10個ある情報を脈絡なくバラバラに覚えても思い出しにくい。情報は整理し、それぞれをエピソードでつなげたり語呂合わせにするなど、関連づけて覚えましょう。そうすれば、1つの情報を取り出した時に、連鎖的にほかの情報まで引き出せます」
ただし、情報を整理し、関連づけるには、想像力と、“できる”と思い込むメンタルの強さが必要だという。
「年だから覚えられないと思わず、前向きな気持ちで生活すると想像力もメンタルもきたえられます」
そのためにも冒頭で紹介したような生活習慣が大切になるのだという。
「ラジオを聴くのもおすすめです。言葉から状況をイメージする習慣をつけると、想像力がアップします。さらに、家事などの作業を同時に行うと、脳が刺激され、記憶力は向上します」
記憶力は、特別な訓練をするよりも、生活習慣を変えるだけでもきたえられるのだ。